第55話 ………帰る
え? え? どういうことなんだ?
僕のパパの妹の旦那さんは、ママのお兄さん?
その人物は目の前にいて? ママのお兄さんという人物を今まで僕は存在すら知らなかったわけで?
妖怪退治をしていて? 今日はその人に殺されかけて?
それからいっしょに妖怪退治して? 今に至る?
「………………。」
「澄海くんしっかりしてー! 処理落ちしてるよー!」
タマに揺すられて思考を宇宙のかなたから回収する。
なんなんだよ、今日はただの面倒くせぇ肝試しだと思ってたのに、なんでそんな波乱万丈なことが起きるんだよ。
「………いやいや、受け入れられるわけないよ。今日一日―――というか、この数時間でこの情報量はおかしい。絶対おかしい。知る質がとんでもないじゃないか。」
僕を半殺しにした人物が、実は僕の血縁者で、それがパパの妹の旦那とか言われても脳の許容量がたりない。オーバーしてるって
もうわけがわかんねぇ
「クハハハ! そんなに難しく考えるなって。今日ここで知り合って、今日知ったことは、そういう星のもとに生まれた血の運命とでも思っとけ。」
「………意味が分からないよ。ただ肝試しに来ただけなのに、裏不思議に巻き込まれるし。………いきなり殺されかけるし、僕の出生の話になるし。もう、なにがどうなってんだよ………。」
やばい、混乱してきた。今日はママは心霊番組の特番で東京までロケに行ってるし、帰ってくるのは3日後。僕は右手で頭を押さえる。なんかクラクラする。これが知恵熱か?
今日の出来事はママに言った方がいいんだろうか
いや、それともママがずっと隠していたことだ。言わないで、知らないふりを続けておけばいいんだろうか
答えなんかわからない。僕にそんな話をされて、いきなりどうしろっていうんだよ。
僕にとっちゃイスルギさんが伯父だろうと、正直関係ない。
ママとイスルギさんの間に何があるのかはわからないけど、僕には何の関係もない
「…………………。」
頭を掻いてから、ため息を一つ。
「…………帰る。」
最初こそ衝撃を受けたけど、もう今の僕にとってはイスルギさんが伯父だとわかっても『へぇ、だからなに。』という気持ちになってきた。
考えるのも面倒くさい。ここに居ても何も始まらないし、なにも終わらない。
どうせ僕が考えたところで、何もわからないんだ。
僕は今日の出来事を脳内で反芻しながら立ち上がり、教室の出口へと向かう
「あ、まってよ澄海くーん! せめてティモちゃんを連れてってよー!」
「………知らないよ。気絶させたタマが責任を持って僕の家まで運べばいい。」
ため息を吐きながら振り返り、僕はドアに体重を預けた
「すみませんイスルギさん。私たちももう眠いしー、澄海くんにはちょっと心の整理をする時間が欲しいかなー。」
「おー。あんまり会う機会ないしな。今のうちに今日の報酬を渡しとくわ。ここは危ない場所で、危険もあったから危険手当も含めて、4人で適当に割ってくれ。」
「それは………? なに、ですか。」
「学校から渡された今日の討伐依頼の前金だ。300万。俺ぁ後の報酬だけでいいや。今回特に動いてねぇし。危険手当は飴ちゃんで。」
イスルギさんはクロに、パンパンに膨れた封筒を放った
「うわっわ! さ、300万………ですか!?」
「うぇあ!? 一人75万円!? すごいよクロちゃんー! おっちゃんのバイトの1年3か月分だよー!」
「た、タマちゃん。計算が、早すぎるよ………」
僕が計算しようと思ったタイミングでタマは答えをはじき出していた。金への執着か?
というか一瞬でおっちゃんのバイトの計算まで済ませやがった
えっと、あれ? おっちゃんのバイト代はどういう計算したらいいんだ?
75万÷15か月は、えっと………あ、月5万円か
75から15ずつ減らして一回ずつ指折りで数えてやっとわかった。タマすごいな。
「遠慮はしないからねー! イスルギさん、ありがとー! コレで3日連続もやし炒めから脱却できるよー」
「おー。ガキが遠慮なんかすんじゃねーよ。気を付けて帰れよ。俺ぁちょっと宿直室で報酬を受け取ってから帰るわ。あそこは俺が事前に結界を張ってあるから絶対に安全だからな。たしか、今日の宿直は松本先生って人だったかな。………てかもやしって(笑)」
タマには飴を4つ手渡した。変な薬とかじゃないよな………よかった、普通の飴だ。
あー、肝試しの時も宿直の先生を一度も見なかったのは、今日はそこから出ないようにしていたからか。
だったら今日は最初からこの学校に宿直の先生なんかいらないと思うんだけど、イスルギさんは報酬をもらったらすぐにどこかに行くつもりらしい。だから宿直の先生は必要だったのか。
今日の宿直のゴリマツ先生、今夜はご迷惑をおかけしました。
校舎が崩壊しているのに宿直室に閉じこもらないといけないとは、かわいそうな限りだ。
あ、もしかして防音の結界とか張ってて気づいていないのかもしれない。
知らぬが仏。なるほど、今日肝試しをしたのは、ある意味宿直の先生に見つからないいいタイミングだったのかもね。
「ティモちゃん、起きて―。澄海くんちに帰るよー。」
「………きゅう」
「あー………クロちゃーん。手伝ってー。」
「う、うん。わかった」
「よい………しょっと。軽いなー。きちんと食べてるのにねー。ティモちゃんは肉食動物なのに、野菜ばっかり食べてるからねー。ふふっ草食系猫だー。」
それは猫としてどうなんだろう
ちゃんと栄養は取っているんだろうか。なんかおっちゃんの経済状況がわかんないんだけど。月五万でたしか家賃1万。携帯代、4人の食費で残るお金はないだろうな。むしろマイナスになっていないのならすごいと思う。
だとしたら、一人75万ってのも、結構すぐなくなってしまいそうだ
タマはティモをおんぶすると、ティモはタマの首にきゅっと手を回した
「それじゃー私たちは帰るねー。」
「さよう、なら」
「………(こくり)」
「ああ、じゃーな。」
僕はイスルギさんに軽く会釈してから教室を出た
いきなり伯父とか言われても対応に困る。
そんなこんなで、いきなり発生した討伐クエストがようやく終了した。
得るものは合った。そして更なる混沌を呼んだけど、もうその辺を考えるのは億劫だ。
もう全部成り行きに任せよう。そしたら全部時が解決してくれる。
こうして、長い長い僕たちの肝試しは幕を閉じた。
あとがき
今回は短めですが、これで裏不思議編は終了となりなす
次回、後日談というか、おまけを書きます。
その後、プロットを練るので時間をあけます。ご了承くだしあ
七不思議編のエピローグ。肝試し反省会です
文字数でいえば、いつもの倍くらい。
6000文字くらいかな
ふだんが2500くらいだから、まぁそんなかんじで
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ついった
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☆ここから割とどうでもいい話★
いつか高校時代に書いていた小説もここに乗っけてみるか
あろうことか完結していないで放置している
盛大に盛りすぎたのだ
まぁ、新人賞に応募してみて、結局1次選考で落とされるようなさくひんだから仕方ない
そこからその作品を書く意欲がなくなってしまった。
んー、あれ? でもこの小説『ねこバス』よりは人気があったような
あれー?
そんなことをふと思って、ちょっとSNSサイトにアップしてた自分の小説を確認してみた
ちょっと駄文はあるけどそこを直せば案外面白いんじゃなかろうか
まぁ、最初はキャラとかをわかりやすくするために
美羽
「WAHAHAHAHA!」
敦士
「NANIGOTODA!?」
みたいな感じで名前をセリフの前に乗せてたんだよね
ちなみにあんなセリフはありません
そんなキャラでもありません
なんかね、ふと見てみたら422話まで書いてたんだって
一日一話で描いてたから、一年以上続いてたんだなぁ
高3で描き始めたのに、君は頑張ったよ。
物語としてはね
『動物とお話ができる』というぼっちのような超能力者が、超能力研究機関から逃げてきた化け物みたいな能力の女の子とか男の子とか女の子とかを保護してしまうという話
壮大な物語ではなく、完全にコメディーです
ただ、文化祭の最中にノリで魔王サタンを召喚して生贄に主人公が魔界
ブッ飛ばされたりした。
うん。完全にギャグ進行でした
ティモとクロとタマの原型があります
うむ。気が向いたら添削して乗っけるかも
まあ、前言った『異世界トリップキャンセル』も進行が遅いからアップしてないで言ってるんだけど。
そんなことを言ってたらこの『ねこバス』も完結しないで終了してしまう可能性さえ存在するわけで
あー、俺最低だな。
うん、やっぱり完結に持っていけなかった作品は乗っけません。
どうでもいい話として聞き流してください、すみません
あーでも読んでもらいたいという気持ちもある!
あーもう! この性格が面倒くせぇ!
死ね! 俺死ね!
※読者のみなさん、作者は錯乱しております。深くお詫び申し上げます
いつか乗っけます。それがいつになるかわかりませんが。数年後かもしれません
高校時代の駄作だもの。恥ずかしい/// え? キモイ?
そんな目で見ないで………気持ちいいよ
ではでは
(このあとがき、何が言いたかったんだろう)




