第54話 ★………はぁあああああああ!?
突然の闖入者―――上段空という白髪のお姉さん。
まぁ、僕の血縁者なんだけど。まさか今日僕が初めて会ったイスルギさんと接点があるとは思わなかった。
今は空が机に座って、タマと白髪どうしの会話をしている。
「―――なるほどねー。じゃあー、空さんは澄海くんの叔母さんにあたるんだねー。」
「そうだよ! 私は澄海の叔母! ってだれがおばじゃこら! お姉さんだ! まだまだピチピチの23歳じゃいこら! というかなんであなたたちはネコミミなの!? すげー!」
僕は耳を塞いで聞き流す。うっせぇ。ママの次に鬱陶しい。
僕たちはその辺の椅子を引いて適当に座って話している。
半壊した学校で、こうしてくつろいでいるのは、シュールな光景だなぁとしみじみ思う。
そして、このウザいのはパパの妹。パパよりも濃く宇宙人としての血を受け継いだらしく、すこしおばあちゃんに似た能力を持っている。場合によってはおばあちゃんよりもすごい能力かもしれない。
たしかに、その能力を使えば、この校舎を元通りにすることができるだろう
「に、23さい………ですか。礼子さんと、同い年………ですね。」
「そうだよ! 礼子と私は幼馴染でありライバルであり殺すべき怨敵だ! なんか思い出したら腹立ってきた! 私は絶対にあんなのが義姉妹だとは認めない!」
キーッ! とハンカチを噛みちぎる空。ママとも因縁があるらしい。どうでもいいけど。
というか、僕はそろそろ眠いから、早く帰って寝たいんだけど。
だってもうすぐ3時をまわるんだよ? ボーっとして頭が回らなくなってきたよ。
ティモなんか机に突っ伏して寝てる―――ってあれは気絶か
「ソラ。そろそろ時間がない。いつものをやってくれ。そしたらもう帰っていいぞ」
「もう! イスルギさんは相変わらず人使いが荒いなぁ! えへへ、役に立つでしょ!」
「アー、スゴイスゴイ。アリガタイワー。コレカラモ、ヨロシクオネガイシマスー」
イスルギさんは適当に手を振って適当な棒読みで適当に感謝してた
「えへへへへへへー!」
それで顔がだらしなく緩めている空はただのバカだ。
「よーっし、がんばっちゃうよー! みんな、ちょっと私から離れてねー!」
空はしゃがみこんでから両手を教室の床に付ける
今からするのは、この半壊した学校の修復。
それは、人間の力ではどうしようもない事だから、イスルギさんは、パパの妹の宇宙人である空を頼っているということか。
おばあちゃんの血筋の人たちは、時間に関する能力をもつ。
おばあちゃんが人から寿命を奪う能力
パパが予知夢を見る能力
そして、僕が時間を止める能力。
では空は?
空は、指定した範囲の物の時間を、1時間ほど巻き戻す能力を有している。
「範囲―300㎡! 指定―学校! 行くよ! 『時間旅行へご招待!』ひゃっほぉおおう!!」
(((( 中二病患者か。 ))))
机に突っ伏しているティモ以外のみんなの声が聞こえた気がした。たぶん、考えていることは同じなんだろうなぁ。
「あ………校舎が………」
というクロの呟きに顔を上げると、瓦礫や机が宙に浮き、元の場所に戻ろうとしている。
「おおー! すごいねー! 」
「そうだ! すごいだろ! この能力のおかげで私は傷ついても治る! つまり、どんだけエッチし「や―――!」常に処女でいられ「もうしゃべらないでー!」なんだとこら! まぁもう処女膜なんごぶら!!」
「しゃべるなって言ったよねー!」
タマが必死の形相で空を殴りながら遮ったけど、やはり僕にはさっぱり意味が分からない。きっとどうでもいいことだ。
ショジョとはなんなんだろう。たぶん、一度寝たら単語ごと忘れそうな語感だ。
帰ったら辞書で調べようと思ったけど、たぶん家に着く前に忘れるほうが早いな
1分足らずで、校舎は元通りに戻った。まぁ、その間に―――
「なかだs「もー!」あなr「こらー!」きじょう「いーかげんにしてー!」あ、自分でつなげたなー! じゃあ、ところてん!「………そ、そっちもイケるのー!?」それがわかるキミは相当腐っているね!」
とかタマと空が変な応酬をしていたけど。
僕には何がしたいのかさっぱりわからない
「ふぅ。さすがに範囲が広いと疲れるな! いよっしゃ! 私の出番は終わったから帰るぞ! 」
「おー。インスタント出番なソラに感謝。」
「インスタント出番!? くーっ! もっと出番が欲しいけど、私は能力を使った次の日はまる一日寝ないと活動できない体なんだ! 残念ながら私の登場は今回限りとさせてもらうよ! セクシー回では私を呼びな!」
空は教室の窓を開けると、
「毎年校舎が半壊するくらいストレスをため込むくらいなら私が受けるって言ってるのに! 修復しないといけない私の身になってよ! イスルギさん!」
「こっちにも事情はあるんだよ。さっさと巣に戻れカス。」
「ぶー! はいはい帰りますよ! 帰ったら労ってよね! ダーリン!」
「あー、気が向いたらな」
「にへへ! やったね! じゃーねー!」
―――ドヒュンッ!
という効果音を残して窓から大砲のように飛び出していった空。
建物を直したら帰ったんだけど………時間にして5分もここにとどまっていない気がする。
なるほど。インスタント出番。言い得て妙だな。
この身体能力はハーフとクォーターの差か。
僕の倍くらいのスピードで飛び出していった。所詮クォーターは劣化ってことか。
「あ、嵐みたいな人………だったね」
「むしろ夕立じゃないかなー。出番も一瞬で終わっちゃったよー?」
パパの妹はせっかちというか一つの事しか見ていないというか。バカというか。
バカだな。究極の。
「あれで二児の母だからな。」
イスルギさんがポケットから飴を取り出して口に放り込みながら呟く。
「「うそぉ!?」」
そのセリフにタマとクロは目を見開いた。まぁ、そうだよね。ママと同い年で、しかも二児の母だなんて、ママでさえ僕一人なのに。
「………本当だよ。今9歳と7歳。」
空は僕の叔母にあたる人だから、そういう情報は入ってくる。だから僕が猫たちに答えておいた
「………名前は確か―――空動と美空だったかな。」
最後に会ったのは僕が5歳くらいの時だったな。長男の方はやけに僕に突っかかってきて生意気だったから軽く投げ飛ばした記憶がある。元気にしてるかなー。どうでもいいか。
「え? くゆるぎ? ゆるぎって………」
タマが目を見開いてイスルギさんを見上げる。あ? なに? 僕なにか変なこと言ったっけ?
「……………(→)」
「…………なんで視線をそらすのかなー、石動さーん。」
「……………(↑)」
「さいっっって―――――!! 」
なに? え? どういうこと? タマは何を怒っているんだ?
「……………(スッ)」
と、今度はイスルギさんはポケットから飴を取り出してタマに差し出した
「飴ちゃんなんかで許されることじゃないでしょー! そんなもん私に渡されても対処に困るよー! 口封じのつもりー!? 責任を取って空さんと結婚しなさいよー!」
「えっと………タマちゃん、どうしたの? なんで、おこってるの?」
「………僕もよくわからないんだけど」
「澄海くんは空さんの親戚なのにわからないのー!? それはちょっとおかしいんじゃないかなー!」
「………僕に怒鳴られても………」
「澄海くん、空さんの最初の子の名前を言ってみてー?」
「………空動………だったはず。変な名前だと思った。それがどうしたの。」
「じゃー、目の前の凶悪な性犯罪者の名前はー?」
性犯罪者? ってイスルギさんの事?
「………大山石動? ……………あ」
「やっと気づいたー? 似てるよねー。偶然かなー。空さんが好いているイスルギさんと名前が似てるのは偶然なのかなー?」
「………いやいや、まさか………」
まさか、そんなことがあるわけ―――
「………俺の子だ。」
マジだった。
「………うそ………それ、本当なの。僕は空の旦那さんを見たことなかったけど。」
「本当だ。礼子は俺を心の底から嫌ってるからな。それで合わせたくなかったんだろ。」
でも、なんで僕はイスルギさんの存在を今まで知らなかったんだ?
あ、なんか知らないけど、ママがイスルギさんの事を嫌っていたことは知ってる。
そんなこんなが関係してるんだろうな。
僕は空に子供がいることは知っていても、相手がイスルギさんだってことは僕には知らされていないってことか。なんかそんな感じがする。
「やっぱりねー! なのに自分の子を産んだ相手を殴る蹴るとか最低だよ! もう! しかもセフレとか、どうかしてるよー!」
クロの耳を塞ぎながら憤慨するタマ。ちょっと僕にはついていけないんだけど、どういうことなんだ?
「あー、っと、タマ。勘違いしているようだけど、一応俺は既婚者だぞ。空は俺の奥さんだ。俺だって一応は責任を取ってる。その辺を間違えるな。言ったろ、セフレのくだりは冗談だ」
「へー。奥さんを平気で殴ってるんだー。へー。」
「それはあれだ。スキンシップだ。本人もまんざらでもなさそうだっただろ。」
「そんなSM夫婦あってはならないよー!」
タマが必死でツッコミをしている。少し僕が理解できない言葉があるから、どう手助けしたらいいかわからないでいた。
ふーふーと息を切らしているタマを適当になだめて、クロの耳から引きはがすと、僕は話しを続けさせる
「………えっと、僕とイスルギさんは、遠い親戚ってことになるの。」
叔母の旦那がこの人ってことになるんだよね。なんか頭がこんがらがってきた
とりあえず、親戚ではあるけど、血は繋がっていないってことか?
「そうだな。というか、そんなに遠くない。むしろかなり近いぞ。俺はスカイの伯父になるな。」
「…………は? それはおかしくない? 僕からつながっているのは空とでしょ。」
「あー…………そこからか。お前、礼子の旧姓がなにか知ってるか?」
突然何を言い出すんだ。
「………知らない。ママの方の親戚については、僕は何一つ知らない。普通の家を出て縁を切って自立したって聞いた。」
「そうか………言ってなくて当然か。普通なわけねぇだろ。」
イスルギさんは、しゃがんで僕に視線を合わせると、衝撃的な一言を告げる
「礼子の旧姓は大山だ。大山礼子。俺の、妹だ」
「……………………はぁあああああああ!?」
今日初めて会った人と、偶然にも血のつながりがあったみたいだ。
☆
あとがき
上段空 通称『エアリアルママ』を描いていただきました
なぜそんなへんな言い方をするのかって?
描いた人がそう名付けたからだよ!
はいどーん!
体つきがエロイ!
ポーズがエロイ!
画像をクリックすると、ちょっとしたおまけがあります。見てみてください
制服っていいね。OL? いーね
これを30分で描いたというからすごい
感想やイラストは随時メールアドレスにて受け付けております
tassaso123*yahoo.co.jp
ついった
@tassaso1
☆ここから割とどうでもいい話★
また汚い大人からクレームを押し付けられた
はいはい、なにもしてないのに僕のせいになるんですね。慣れたよもう。
ということで、もっかい是正処置を書いてみた
『―――によってミスの発生を防ぐ』
これを上の人が添削して、書き直されてた
線を引かれて、僕の文字を消して、下に書いてあった文字が
『流失を防ぐ』
どうやらこれに書き直せと言っているようだ
違和感を感じたのは僕だけではないはずだ。
上司曰く『ミスの発生』=『流失』らしい
違和感が半端なくてイライラしたから、スマホの辞書機能で調べてみた
流失(――スル)
水などに押し流されてなくなること。「洪水で橋が―する」「―家屋」
なるほど。水に流してミスをなかったことにすると。
HAHAHA! だれがうまいこと言えと?
ばかばかしすぎて爆笑してから是正処置の紙(コピー用紙)を破いてゴミ箱につっこんだ
文字書きの人間にコレはケンカ売ってるとしか思えないわ。
あー、一日置きが守れなくなってきてすみません
ほんま堪忍してください。裏不思議編が終わったら、しばらくプロットを練る時間が必要になると思うんで、そのへんもなにとぞよろしくお願いします




