第21話 ………今日の朝ごはんは、コンビニおにぎり(シーフード)
『ぬぬう。外したでござる』
「‥‥‥。」
僕はため息を吐きながら僕に向けられた刀を迂回して、机へ投げたカバンからお札と数珠を取り出し、ポケットへ突っ込む
『辻斬りと言われたこの小田 助平の初断ちを避けるとは、なかなかやりおるな、小童。』
「‥‥‥知らねぇよ」
辻斬りか‥‥‥。どういう意味だろう。殺し屋って意味だろうか。それとも腕が立つ剣士という意味だろうか。
‥‥‥。どうでもいいか。
‥‥‥あと助平ってどんな名前だよ。親はDQNだったのか? ………って僕もじゃないか。
「‥‥‥。」
クロにクラスメートを一カ所に纏めるように目で指示を飛ばす。
邪魔だから僕の近くにいない方がいい。
「み、みなさん‥‥‥慌てないで‥‥‥。こっちに、集まってください‥‥‥」
と思ったら発声が小さかった。
みんなパニックで何も聞こえていない
『騒がしいでござる。斬るか。』
日本刀を肩に抱えてその辺の生徒の襟首を掴む
「え‥‥‥? 体が、動かな‥‥‥」
すると、その生徒に金縛りが起きる
この辺のゴーストは年期が長いからなぁ。自分が死んでいるってこともちゃんと把握してるし、新参者に比べると段違いで強いし力の使い方をよく判っている
「‥‥‥。」
死なれるわけにもいかないしなぁ‥‥‥。
ため息を吐きながらそいつの方に移動する
それに、ござるってのがわざとらしくてイライラする。
僕は助平の懐に入り込んでお札を左手で持ち、その手でお札ごと助平の喉をえぐりにかかる。
『ぬぬぅ。不覚。』
が、身を捻ってかわされた
えぐる気で行ったんだけど、お札を貼り付けるだけに止まった。
お札を貼り付ける材料はなんでもいい。
のりとかセロテープでも。ご飯粒でも、貼り付くことさえできたらそれでいいんだ。
なにもしないでくっつくわけがないじゃん。
………そんなプチ情報はなんの役にもたたないか。
‥‥‥でもまぁ、今はかわされた位置がちょうどいいや。
数珠を巻いた右手で生徒の襟首を掴んでいる助平の手を触れると、バジィッ! と電気が走ったような音ともに、助平の手が生徒の襟首から離れる
「‥‥‥さ、さっきの金縛りはなんだったの‥‥‥?」
「‥‥‥。さぁ。」
「なんでこんな怖いことに巻き込まれるかなぁ‥‥‥。後で時輝シメてやる」
心の中で合掌。さらば時輝、永遠に。
生徒は教室の隅に全力で逃げた
「‥‥‥答えて。なんで僕を狙ったの。」
右手をポケットに入れて数珠を隠し、喉にお札を貼り付けさせたまま助平の顎をを突き飛ばす
お札は霊体に貼り付けたら普通の人にもうは見えないらしい。だからもう見えないもんは隠す必要がない。
『武士に二言はないでござる。今殺すと決めたら殺す』
体制を整えて刀を構える助平。
武士? 辻斬りなんじゃなかったっけ?
あ、もしかして辻斬りって武士って意味だったのか。
「‥‥‥そう。じゃあ僕もおまえを殺----」
『逃げるでござる!』
数珠を巻いた右手を振り上げると、先ほどの衝撃を思い出したのか、助平は慌てて逃げ出そうとし、その拍子に机にぶつかった。
周りの連中からはいきなり机が倒れたように見え、悲鳴があがる。
すみっこから「澄海! おまえも早くこっちに来い!」という声が聞こえたが別にあんたと仲良くなった覚えはない。と、スルーした。
「‥‥‥このお札。透過させないよ。」
ゴーストは基本的に物体をすり抜けられる。
だけど僕が貼り付けたのはその透過を防ぐためのもの。
だから数珠も使わずに顎を掴んで突き飛ばす事ができたわけだし、現に今。机にぶつかって体制を崩している。
ママが平和夫に使っていたのと同じやつだから、貼り付けてから30秒くらいしか効果が持たない。
それに―――
『チィッ! コイツの仕業かっ!』
―――ほら、ゴーストでも簡単に外される。所詮今朝のご飯粒だしね。今度からアロンアルファを持参しとこうかな。
刀を振り回してきたので、刀を手掴みした―――ように見えるが、結界を張って刀の一部の時間を止めた。どうがんばっても刀は折れる方向にしか曲がらない。
力いっぱい引っ張っているようだけど、刀の時間が止まってるから動かす事は不可能だ。僕はたいした労力を使うことなく、綱引きを引き分けに終わらせる
『逃げられないでござる! 離すのじゃ!』
「………。」
うっさいので離してみた
『おわっ!?』
すると、引っ張っていた勢いに余って後ろにすっころぶ助平
『急に離すとは何事だ! 危ないではないか!』
どっちだよ。と、ため息をつきつつポケットから塩を包んだ紙を取り出し、下に落とす。
紙が地面に落ちる前に塩を上履きで受けつつ助平を蹴っ飛ばす
ゴロゴロと机を倒しながら転がり、やがて停止する。
『しかし好都合。拙者は戻るでござる』
こいつ、いつの時代に死んだんだろう。
めっちゃタフだな。
ため息を尽きながら装備をポケットに戻す
そして再び10円玉に戻る助平
あら、手だしできなくなったな‥‥‥。
人や物に入られると引っ張り出すのがめんどくさいんだよなぁ
ママだったら幽体離脱でちゃっちゃか終わらせるんだろうけど‥‥‥
僕はそういうのはできないし
はて、どうしようか。
「こっくりさんこっくりさん。どうか怒りをお鎮めください。」
クラスメートの協力により、10円玉から手を離す事なく机ごと隅に移動した時輝の声が聞こえる
別に助平が10円玉から離れていたなら指を外してもよかったのに。
「そそ、そして、どうか今日は、おお帰りくださいお願いします」
震える時輝の声を聞いた助平の返事は、『いいえ』
帰る気はないらしい。とことん嫌がらせする気か。
☆
あとがき
YES!
書くことがなぁい!
ということで、作者の昔話をば。
昔、高校生のころ書いていた小説は、フリーダムでしたね。
話を進めている途中でいきなり作者が現れてはネタバレして去って行ったり
キャラが作者を呼びつけては女生徒のスカートを風で舞い上がらせたり。
やりたい放題でした。
え? どうでもいい? すみません。もう自重しときますですはい
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