表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/82

第20話 こっくりさんのネタって、どういう質問したらいいのかな~?

「‥‥‥澄海、くん。これって‥‥‥」


「‥‥‥(コクン)」


 クロが僕の隣まで移動して耳打ちする。

 正直、かなりマズい。


「‥‥‥猫たちに絶対に指を離さないように伝えて。」


「う、うん‥‥‥。わかった‥‥‥!」


 ティモもタマも10円玉にゴーストが入ったことはもうわかってる。


 だけどこれがどういう儀式なのかをわかっていないから、手を離すかもしれない。それを避けるためだ


「あはっ、タマちゃんリズムちゃんっ! 10円玉が動いたよっ!」


「そーだねー。誰が動かしてるんだろうねー? 時輝く~ん。次はどうするのー?」


 タマは状況を把握している。頭の耳をこちらに向けてまさに聞き耳を立てていたから、情報はすでに伝わってるだろう


 冷静に今すべきことは、こっくりさんを無事に終わらせることだと、把握したようだ。



「えっと、こういうのって、誰かの好きな人とかを聞くんだっけ?」


 里澄が呟く。


 それを聞いたクラスメートたちは----



『『『リズムちゃんの好きな人は誰!?』』』


 時輝を含め、クラスメートが大合唱。


「へ!? ア、アタシ!? あ、10円玉が‥‥‥」



 それを聞き届けた10円玉が動き出す。


 そこは―――『す』


「いやぁあああ!! やめてお願いコックリさん! 誰かが動かしているなんて言ってごめんなさい許してえええ!!」


上段うえんだん 澄海すかいを殺せぇ!!』


 その辺の男子の首を叩いて気絶させ、盾を作る。


 普段の里澄言動からクラスメートや僕でさえすでに知っていることだが、クラスメートはみんな里澄を好いていることに変わりない。


 こっくりさんというチートを使い、情報を確実にすると、やはりクラスメートは怒りで我を忘れた。


 今まで狂ったように襲いかかられなかったのは僕が里澄に無関心だったからにすぎない。


 僕は人間に興味ないもん。


襲いかかるクラスメートをかわし、男子生徒の一人を盾にしてやりすごす。


 このクラスはバカばっかりだ。


「リズムちゃ~ん、指を離しちゃダメだからねー?」


「うっ‥‥‥わかったわよ‥‥‥。こっくりさんは止まってくれたし‥‥‥」


 涙目の里住はハッと顔を上げた


「あたしだけ不公平! タマさんの好きな人は誰なのっ!? 別の学校の子でも教えて!」


 その瞬間。クラスメートは攻撃を止めた。


 ずいぶんミーハーなヤツらばかりだな。


「んー? 私は強いて言うならおっちゃんかなー。こっくりさんが答えてくれるんでしょー?」


 こっくりさんは10円玉に触れている人の心を読み取る。

 つまり触れてる人は『憑かれている』状態になる。

 だからこっくりさんは10円玉に触れている人以外の心を読む事はできない。


 まぁ時々、嘘を並べるゴーストもいるから誤解を招く場合があるんだけど。


 こっくりさんが止まった場所は『お』‥‥‥ではなく、『い』


稲村正明(いなむらまさあき)を殺せぇ!』


「えっ、何で僕がぎゃあ!!」


 まぁ、タマもリズムに負けず劣らずかわいいからね。


 僕からターゲットが移ってよかった。


 頭のいい、まん丸の彼がクラスメートにたこ殴りに合っているのを僕は遠目に見て左手で抱えていた。僕は人の形をした物体をその辺に捨て、鼻でため息をついた。


 10円玉が次に『な』に止まる


「岡田さんがぼくのことを好いてくれているなんて‥‥‥。太っててもなんとかなるもんだあはははは!」


 リンチに合いながらもおかしなテンションと脂肪のせいで攻撃が全く利いてなかった正明。


 次に10円玉が止まったのは『い』




『い』『な』『い』







『いない』







「まー、そうなっちゃうよねー。」



 シン‥‥‥と静まり返る教室。


 崩れ落ちる正明に肩を貸してあげるクラスメート。


 皆、さめざめと泣く正明の背中をさする。


 散々殴った挙げ句、同情の空気が場を支配した


 なんだこれ


「ティモちゃんはー‥‥‥聞くまでもないかー。」


「うんっ! にいちゃんが大好き!」


 こっくりさんも鳥居のマークに戻るではなく『はい』の場所で止まった


「へぇ、お前らお兄さんがいたんだ。」


「うんっ、ときめきくんはいるの?」


「兄貴が一人な。おまえらのお兄さんもやっぱりその猫耳なのか?」


「んーん、違うよ。にいちゃんは人間だもんふがっ!? にゃにするのタマちゃん!」


 口を盛大に滑らすティモの鼻にタマが勢いよく二本の指を突っ込んだ。が、タイミングが少し遅かったみたいだ。


「今更だけどおまえらは人間じゃねえのかよ。」


 まぁ、そこまで言われたらその質問にたどり着いちゃいよなぁ


「そこから先の情報は有料だよー?」


 タマが妖しく微笑みかけながら、ティモの鼻から指を引っこ抜くと、時輝が黙る。が、今度は里澄が食いついた


「そういえば、今朝お姉ちゃんが同じようなこと言ってた。ティモくんとタマさんとクロさんのことを知っててびっくりしたよー。なんで有料なの?」


その問いに、タマは首を横に振るだけで答えた。答える気はないようだ。


「きのうの夜、リズムちゃんのおねえちゃんにあったもん。澄海くんといっしょに‥‥‥タマちゃん、はなが痛いよぅ」


「す、澄海くんも!? で、でも‥‥‥それって心霊スポット、だよね‥‥‥」


「うん‥‥‥けっきょく、ぼくは何もできなくて泣いちゃったけどね。あはは‥‥‥」


 照れたように笑うティモ。

 みんな、ティモが幽霊を怖がって泣いている姿を想像し、誰かが「守ってあげてぇ‥‥‥」と呟いた

………音源を見てみると時輝だった。うわぁ


 実はティモが泣いていたのは『おっちゃんが死んだ』というガチ泣きと『クロが大怪我した』ことで竦んで泣いていたということなんだが、実際ティモはただのゴースト程度では怯えることはない。


 現に今、時輝に憑いている女のゴーストに、にっこりと笑いかけているくらいだから


「他にはどんな質問すればいーかなー。」


 今はそんな質疑応答の時間ではなく、こっくりさんの最中。

 タマがこっくりさんに話題を戻した


 正直なところ、こっくりさんをしてみたはいいがネタを用意していなかったみたいだね。


 ネタに困って数秒間だけ沈黙が流れる


 その沈黙を破り、口を開いたのは、時輝。




「澄海は、いつ死ぬんだ?」


本人の目の前でそんな質問するのかよ。

と、心でツッコミを入れといた。


 寿命を聞くか‥‥‥ゴーストが悪のりしやすい質問の一つだ。


「ちょっと時輝! なんて質問してんのよ!」


 まぁ僕は直接10円玉に触ってないし、ゴーストでも寿命を読み取る、なんてことは不可能だから、答えられる質問ではないはずだ。


 しかし興味深い質問だったようで、クラスメートも固唾をのんで紙を見守ると


「また『い』? 1日? 一年?」


 里澄が首を捻る。


 いや、どっちでもないな。おそらく----



『い』の次に止まったのは


『ま』


 つまり『今』



 ‥‥‥。悪のりが過ぎるだろ。


 僕は身の安全の為に教室の出入り口へと向かう。


 が


 ――――ピシャン!!


「‥‥‥。」


 いきなり扉が閉まった


 一応定規をドアに挟んでたはずなんだけどなぁ。

 あ、割れてるや



 ―――ピシッ!! バリバリバリン!!



 っと、今度は教室中の窓ガラスにヒビが入った。

 一枚も割れていない。


「‥‥‥結界‥‥‥?」


 クロが呟く。

 確かにコレは結界だ。

 ゴーストが僕"たち"を逃がさないために、結界を張ったんだ


「あ、あれ!? 開かないよ!」


 生徒の誰かが扉を引くが、ビクともしない。


 さっきまでのふざけた空気ではなく、いきなり生徒みんながパニックに陥った。


「‥‥‥。」


 僕は自分の椅子を掴んで思い切り窓に叩きつける。

 思い切り。普通だったら窓ガラスどころか椅子と廊下も破壊しかねない威力だったはずなんだけど

 僕がぶつけたガラス全体に、蜘蛛の巣のような細かいヒビが入っただけで、椅子すら壊れなかった。

 

 二度目をぶつけてみても、これ以上ヒビは入らないようだ。




「‥‥‥。」


 困った。ゴーストの結界に閉じこめられた経験が全くない。



 どうやって脱出したものか。

 脱出の仕方も分からない


「………っ!?」


殺気を感じたので半歩下がると、僕がさっきまで立っていた場所に日本刀が通過していた



‥‥‥あぁ、僕が死ぬのは今だっけ?


律儀に有言実行か。


「‥‥‥。」


 上等だよ


                              ☆


あとがき


実は作者、こっくりさんなんかやったことありません


怖いじゃないですか

僕だって怖いのは嫌なんですよ


それにこっくりさんのルールもよくしらないです。


だからネットで調べながら書いたんですよ。面倒くさい



だからものすごく胡散臭いですね。こっくりさん。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ