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シマノ、隣人に出会う

「まだ怒ってらっしゃるんですかー?」


「そんなに心は狭くないわ。それより、あいつに怒ってるの!」


「あいつ…?あいつってヘンゼルとかいうやつ?」


「そうよ。あなたもあいつに殺されたのよ!そんな飄々としていていいわけ?私は許せないわ。」


よくよく考えるとその通りだ。しかし、衝撃や痛みのせいか今では記憶はすっかり薄れていた。


「一番問題なのはほうきよ!あいつ、わたしのほうきを取って行きやがったわ!絶対許せない。」


グレーテルは姉のこととなると、気性が荒くなった。今にもなにか破壊しようとするように、右手にぐっと力を入れている。


そういえば、志魔野が殴られたときのぶっ飛びようといったら凄まじいものだった。

彼は、気を引き締めて挑まなくてはならないと覚悟した。



「お、俺もムカつくよ!」


「でしょ!そういうわけだから、今からほうき作りするわよ!」


「今…ですか?」


時計を見ると現在22:00

もう外には出たくないんだが…



「さぁ、まずは、材料買いに行きましょうか!」


「……はい。」


「あまり乗り気ではなさそうね。たしかこの辺に魔法用具屋があるはずなのよ。知らない?」


「え、グレーテルさんがご存知じゃないいんですか?」


「悪かったわね。人間界に来たのはこれがはじめてでね。なんかぽい所とかないの?」


「俺も最近引っ越してきたばっかりだから知らないよ。」





ドン!


また壁を殴る音…。階段を上ってすぐの部屋からだった。

志魔野はここに越してから、まだ隣人の顔を見たことがない。


面識があるのは、真下の部屋の西本さんというお姉さんだけだ。



「この建物、複数の人間が住んでいるのね!隣の人に聞いてみましょ?」


「…やめとけよ、隣のやつはすぐ壁なぐってくるし、一回も見たことがないから、多分ろくなやつじゃないよ。」


しかし、すでにグレーテルはいなかった。




「すいませーん!」

外で声が聞こえた。


「はい、お待ちください!」

聞きおぼえが無い男の声が聞こえた。



志魔野も外に出ていくと、そこには彼と同じぐらいの歳の男がいた。


「…どうも。」

そういって志魔野はドアをしめた。


彼は基本、ヘタレ人間なので、逃げるしかなかった。


しかも隣の住人の容貌といったらもう、予想とあまりにも違いすぎた。

志魔野と同じぐらいの歳に、髪は金髪、スッと通った鼻筋、少し前髪がかかっているきれいな目、つまり俗に言うイケメンだった。


ずっと隣は駄目なオッサンが住んでいるものだと思っていたばかりに、かなり驚いてしまった。



「ただいまー!」


「おかえり。」


「隣の人、いい人だったよ!それに、顔が。」


「……そうだな。」


「あれ、嫉妬?」


「違うし。で、どうだったんだ?」


「分からないけど、それっぽい所があるって言って、地図までもらったよ。」


「本当に親切だな。こんな怪しいやつなのに。」


「悪かったわね!私は魔女に誇りを持ってるの!だからこの黒服や帽子やほうきは絶対やめないわ。…さっ、行きましょうか。」


「人間界ではやめたほうがいいと思うぞ……。」


そんなこんなで、魔法用品店らしき所に出発することになったのだった。

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