シマノ、飛ぶ
その後、二人は家に帰り、寝た。しかし、グレーテルは寝たふりをしていたのか、志魔野が眠るとすぐに起きてどこかに行ってしまった。
「おはよ!」
今日先に挨拶したのはグレーテルだった。
志魔野は起き上がり目をこすりながら、「おはよう。」と眠そうに言った。
いつもは志魔野が起きるとまだ寝ているのに。
「じゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
ご飯を食べたと、いつものように志魔野を送り出した。
そして、そのあとグレーテルは寝てしまった。結局昨日はどこかに行っていたので一睡もしていなかったのだ。
「おい、帰ってきたぞ。」
頭に響く声……
「……コウ?」
グレーテルは夜までずっと眠り続けたらしい。魔女にとって慣れない人間界は疲れがたまるのだろう。
「今日は貴方に付いてきて欲しいの。」
寝起きにいきなり言われて多少驚いたが、志魔野は冷静にこう言った。
「いいけど、どこに?」
「ちょっと空を飛ぶだけよ!」
「……?」
あまり意味が分からなかった志魔野であるが、先にご飯を食べることにした。
その後、二人は近くの公園に行った。夜遅いせいか公園には誰もいなかった。
「じゃあ、行くわよ。」
グレーテルはこの前魔法用品店で買ったほうきにまたがり、今にも飛ぼうとしていた。そして、その後ろには志魔野が不安そうにたっていた。
「さぁ、乗って。」
グレーテルがそういうと、ほうきは浮きだした。そしてちょうど良い高さのところで停止した。
恐る恐る志魔野がほうきにまたがると、ほうきはみるみるうちに浮き上がった。町はだんだん小さくなり、まるでミニチュアのような大きさにになった。
「うわっ!怖っ!」
志魔野がいうのもしかたない。そのとき高さはすでに高層マンションの屋上を超えていた。
「全く、仕方ないわね…。私につかまりなさい。」
グレーテルがそう言うと、腕を回して志魔野はグッとに抱きついた。すると、手にはやわらかい感触が伝わった。思わず志魔野がムニッとそのふくらみをつかんむと、グレーテルはサッと後ろを振り返って志魔野のほうを向いた。
「……ちょっと!どこ揉んでんのよ!変態!」
「いや、そういうつもりじゃ、これはその……、えっと。」
「言い訳はいいわ。今度やったら、コウのこと変態仮面って呼ぶから!」
「変態仮面!?俺仮面すらつけてないじゃん!!」
そのとき、後ろから黒い影が迫ってきた。