表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/23

シマノ、銭湯に行く

「ただいまー…。起きてる、グレーテル?」


部屋は暗く、電気がついていなかった。


「うん、起きてるわよ。」


そういって、グレーテルは人差し指の先に光の玉を出して部屋を照らした。


座っていたグレーテルは立ち上がり、それから電気をつけた。



「飯持ってかえって来てやったぞ。……ハンバーグだ!ちょっと冷えてるけど、美味しいと思うぞ。」


「ありがとう!でも、コウはいいの?」


「…気遣ってるのか?いいよ、いらない。」


「……ううん、はんぶんこ。」










そうして食べたハンバーグは美味しかった。




「…そう言えば、コウ、バイトってなにかしら?」


「働きにいってるんだ。お金稼ぐためにな。」


「ふーん、大変ね。」


「まぁな。貧乏だから仕方ないけど。…それより、この後、お風呂行かないか?」


「え、この家、お風呂なんかあったっけ??」


「……ない。改めて言うと悲しいな。」


「じゃあ、どこに?」


「ここから10分ぐらい歩いたところに銭湯があるんだよ。」


「銭湯?へー…はなれみたいな所かしら?」


「……違うけど、もういい。行こうか。」



コウは押し入れを開けて用意を始めた。


「……お前、着替えとか持ってないのか?」


「まぁ、魔法で転送すれば出てくるんだけど、ちょっと訳ありで……。」


「わかった、俺のでよければ貸すよ。」


「うん、ありがとう。」


そして、二人で家を出た。銭湯につくと、それなりの時間だったので、あまり人はいなかった。


「お前はあっち、俺はこっちだ。わかったか、さっきに言った通りにするんだぞ!」


「ふーん、別れちゃうのね。一緒に入りたかったなー。」


「……黙れ。じゃあな!」


「うん、バイバイ!」







グレーテルにははじめての体験で、何もかもが新鮮だった。


「……市民の共同入浴場というわけね。」


中はあまり人がいなくて、広々くつろげそうだった。


「おー、私の家のお風呂の半分ぐらいかしらね。」


グレーテルは後ろの壁にもたれかかった。そして壁を見ると絵が富士山の書かれていた。


(この壁の向こうにコウがいるのね。)


「コウー!いる?」


グレーテルは大きな声で聞いた。







お風呂は良いもんだ、と思い、くつろいでいたコウは行きなり驚いた。


(な、なんだ!?)




「居ないのかしら?コーウー?!」


このまま止めなければグレーテルはずっと言い続けるだろう、とコウは考え、今まで知らないふりをしていたが、コウは答えることにした。


「いるよ!黙れ!」


「はーい!」


(全くあいつは恥ずかしく無いのかよ……。)


そう思ったコウだった。そして、周りの視線が痛かったが、せっかく来たのだから、という思いを糧にその後もお風呂を満喫した。










「…ったく、こっちはどんな恥ずかしい思いしたのか分かってんのか?」


「えっ、ごめんなさい。」


「これからは、外ではうるさくしない。分かったな?」


「はーい、分かりました。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ