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塩風の女
目が覚めた。辺りは一麺の乳白色。黄金の縮れた草むらは、食欲をそそる塩の香りに満ちていた。
横には、見慣れた青と白のパッケージ。ジィっと見つめると、彼女の蓋から熱い湯気が溢れた。ほんのりと香る塩の匂いに、私は堪らなく興奮した。たった3分の待ち時間すらもどかしく、彼女の蓋に手を伸ばす。心なしか、「カップヌードル」のロゴもニコリと笑みを浮かべているように見えた。
蓋を開けると、勢い良くスープが溢れる。あっさり塩分控えめな彼女のスープと、私の濃い食欲とが混ざり、絡み合う。あまりの美味しさに、堪えきれずゴクゴクと音を立ててスープを飲むと、彼女が恥ずかしそうにカニカマの付いた麺を差し出す。
私はそれを啜り上げるたび、自分が生きていると実感するのだ。いつもの流れ、いつもの味、変わらない幸せ。それが此処には確かにあった。
明日もきっと、私は彼女のために湯を沸かすだろう。彼女の名前は、みっちゃん。製造日3月26日、私の愛しいカップメンで、裏切り者のシーフードだ。




