表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王立魔法学校専門個別指導塾 “マギスの学び舎” ~魔物恐怖症のへっぽこ魔法使い、塾講師になって王都を陰から守ります!~  作者: りっく
第3章 魔物の血を引く者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/63

4.勘違いの解消

 ロナウドとアメルくんに連れられて、私は急いでマギスの演習場に向かう。

 演習場の森で私たちを待っていたクロウ先生は、予想に反して怒ってはいなかった。


 ただ、約1時間遅れでやってきた私の顔を見て、安堵の息を吐く。


「あ、あれ? 怒ってない?」

「……一体何を言われたんだ。どうせロナウドだろうな」


 クロウ先生はじとりとした視線をロナウドに向ける。

 ロナウドは目を泳がせた。

 

「ん、ん〜? 俺はちゃんとルーナ先生探してきたぜ? なぁ、アメル」

「は、はいっ!」


 アメルくんの元気な返事に毒気を抜かれたのか、クロウ先生は表情を和らげた。

 

「まぁ、何事もなかったのならいい。ロナウド、アメル、ご苦労だった」

「うっす!」

「はい!」


 話の流れが読めず、私はぽかんとしてロナウドとクロウ先生の顔を交互に見つめる。

 そんな私の様子を見て何もわかっていないことを察したのだろう、クロウ先生が説明してくれた。

 

「二人は俺たちの訓練をかぎつけて待ち伏せしてたんだ。なんでお前が急に魔法の練習をしだしたのか、気になるんだと」

「それは……」


 もちろん、マギスの特任講師として、魔物と戦うときに自分の身を自分で守れるようになるためだ。


 でも、生徒たちにはそれを言ってはいけない。

 

 魔物との戦いは、世間に知られない極秘の任務。

 二人にバレたら、そのせいで巻き込むことにもなりかねないから。


 まぁ、イレーネちゃんには前に目撃されてしまってるんだけど……それはともかく。

 この場では、いい感じに言い逃れしなくては。

 

「ええと、戦いを……そう! 魔法の大会に、出ることになって――」

「ええ? ルーナ先生が?」


 すぐさま、ロナウドが不審そうな顔になる。

 当然だ。魔法の苦手な私が魔法大会に出るなんて、苦し紛れの嘘でしかない。

 しかしクロウ先生が助け舟を出す。


「先生として、いつまでもへっぴり腰じゃ示しがつかないからな。仕事の一環として、挑戦してもらうことになったんだ」

「ぐっ……」


 へっぴり腰と言われて思わず反論したくなるが、余計なことは言わない方がいいだろう。

 私は言葉を抑えて、クロウ先生の言葉に頷く。


「あー、クロウ先生の無茶振り教育ってことね。わかるよ、ルーナセンセー……」


 ()()()()として察するものがあったのだろう。

 クロウ先生の言葉を聞いたとたん、ロナウドは遠い目をして頷いた。

 

 隣でアメルくんも、ホッとした顔になる。


「じゃあ、僕のせいじゃない……?」


 予想外の言葉に、私は目を丸くした。

 思わず大きな声が出る。


「まさか! アメルくんのせいなんて、全然ないよ!」


 アメルくんの課題解決も、もちろん重要だけど。

 私が毎日のように演習場に缶詰になっているのは、彼のせいではない。


 私の言葉にアメルくんは息をついて安心している。

 なんとなく、話の流れが見えてきた。


 私はアメルくんの方に向き直り、頭を下げる。


「心配させてごめんね。私の事情とは関係なく、アメルくんの授業はちゃんとやるから! 一緒にがんばろう!」


 これからも彼らには嘘をつき続けることになるだろう。

 心が痛まなくはないけれど、魔物退治も塾の先生も、私は両方やりきりたい。


 がんばろう、と言い切った私に、アメルくんは頷く。

 クロウ先生が優しく息を吐く音が聞こえた。

 

「一件落着だな。さ、今日の特訓を始めるか」


 クロウ先生が肩をすくめて言う。

 そこにロナウドが手をあげてアピールを挟む。


「俺も俺も! 最近の二人、ピリピリしてて怖いから! 優しくしてほしいなっ!」

「……はいはい。善処するよ」

「ちょっと! 全然本気にしてないっしょ!」


 適当に頷くクロウ先生に、ロナウドは文句を続ける。

 しかしクロウ先生は構わない。

 座っていた切り株から立ち上がり、私と二人の生徒を、訓練用のグラウンドに先導する。


「どうせ学校はサボったんだ。ルーナの特訓を応援してやってくれ」

「あ、やっぱりサボりだったんだ……」


 私の咎めるような視線を受けて、二人の生徒はそれぞれ気まずそうに目を逸らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ