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助け

湊は立ち上がり「収納倉庫〔インベントリ〕」から双剣を取り出して大勢のゴブリンに立ち向かおうとしていた。


「こんなところで死ねない。いや死んでたまるか!

弱者というだけでことごとく踏みつけ馬鹿にしてきやがって!あぁもういいやってやる!」


湊は大勢のゴブリンに走り寄った。


本来なら湊のLvではこの数のゴブリンはどうしようにもないのだが、死の淵に立ったことにより火事場の

馬鹿力とでも言うのか今まで溜め込んでいた怒りや

憎しみなどの感情が爆発したことによって抑えていたリミッターが外れた。


それにより湊の感覚が研ぎ澄まされて確実にゴブリンの急所を一発で次々に仕留めていた。


今の湊は目の前にいる敵を倒すことしかなく理性は残っていなかったのでその姿はまるで修羅のようだった。


(殺す、殺す、殺す俺の前に立ちはだかる者はどんな奴でも殺してやる!)


それでもゴブリンの数は多かったのでそいつらの攻撃を全て躱わしきることは出来なかった。


かすり傷程度のダメージを数か所喰らいそれに加えて湊が持ってきていた刀剣は安物だったので次第にその刃こぼれしてヒビが入っていた。


今の湊には理性が残っていなかったのだがこのままではまずいと本能が反応してなのか宝箱目掛けて走り出した。


宝箱に向かう途中ゴブリンに切りつけられていたが

そんなのお構いなしに駆け抜けた。


湊の前に行く手を阻むゴブリンが現れたが湊の鬼気

迫る表情を見て少したじろいでいてどちらが「魔物〔モンスター〕」か分からないぐらいだった。


「どけ!どけ!邪魔だー!」


そうして宝箱まで着いて中を開けると二つの短剣と何かのチケットが三枚入っていた。


湊はすぐさま持っていた刀剣を捨てて宝箱に入っていた短剣に取り替えた。


湊は、矢継ぎ早に残りのゴブリンを蹴散らし始めた。


「うりゃあ!おりゃあ!」


そして、湊はたった一人で三百十七匹いたゴブリンを撃破してそこら中にはゴブリンの『魔石』が転がっていた。


また、湊は目的を果たした安堵もしくは力尽きてなのかしばらくの間放心状態となっていたが「迷宮〔ダンジョン〕」の揺れで我を取り戻した。


だが、記憶がないのか湊自身がゴブリンを倒したことは覚えていない様子だった。


「俺がやったのか?...」


湊は何が何だかわからなかったが落ちていた『魔石』を「収納倉庫〔インベントリ〕」に入れていた。


拾っている最中木村が倒れているのが目が入りすぐに

駆け寄り脈を測った。


「このままじゃまずい!どんどん息が弱くなってる。

すぐに治癒してもらわないと」


湊は木村を背負って『ゲート』まで歩み進めていた。


『ゲート』を目視できるくらいのところまで清水達は来ていた。


佐藤と鈴木は湊と木村を置き去りにしたことが気になってなのか曇った顔をしていたので清水が二人に釘を刺した。


「なんだお前らさっきのことまだ気にしてんのか。

あの状況ならこの方法しかなかったろ!それに考えてもみろ。あの二人が生きていたところで特に意味なんてなかったろ!あいつらのことは事故に遭ったんだと

思ったけ。それから余計なことは話すなよ。俺が話すからお前らはただ頷いておけ!いいな!」


『ゲート』に出たとき外にいた組合の職員が湊と木村がいないことに気づいて清水に二人のことを伺っていた。


「お疲れ様でした。あの一緒に潜った残りの二人は...」


「実は残念なことに「魔物〔モンスター〕」に喰われてしまい帰らぬ人となってしまったんです」


清水の後ろにいた佐藤と鈴木が浮かない表情をしていたので、職員は妙だと思った。


その為清水が言ったことはすぐには鵜呑みにせず、

佐藤と鈴木に近寄り問いただした。


「本当に諸伏「覚醒者〔プレイヤー〕」と木村「覚醒者〔プレイヤー〕」は「魔物〔モンスター〕」にやられたんですか?」


清水が話しを遮りしようとしたので職員が強く止めた。


「佐藤も鈴木も目の前で人が...」


「清水さんは少し黙ってて下さい!」


「それで、どうなの?」


佐藤と鈴木は何か迷っている様子だったので職員が

痺れを切らして二人の胸ぐらを掴んだ。


「それでどうなんだよ!人の命が懸かってんだぞ!

まだ救える命かもしれなかったらお前らが見殺しに

したことになるんだぞ!それでもいいのか!」


佐藤も鈴木もその言葉を聞いて自分達がやった過ちの罪悪感に耐えきれなくなったのか泣きながら土下座

して正直に話し始めた。


「実は隠し「迷宮〔ダンジョン〕」があって自分達は

危険だと思っていたんですけど、清水さんが強引に

行くと言い出しました」


「行くとそこには多数の「魔物〔モンスター〕」が

いて、そしたら清水さんがここにいない二人を襲って

囮にして逃げ出して来ました」


「すみません、すみません、すみません」


「死ぬのが怖かったんです。本当にすみません」


職員は優しく佐藤と鈴木の肩を触った。


「よく正直に話してくれました」


その後、職員は清水に近づいた。


「清水さん貴方の処遇は厳しくなると覚悟しておいて下さい!」


清水は反省するどころか開き直った。


「いやいやあいつらが助かるより俺が助かったほうが組合にとって有益でしょ!あんなカス共も俺を生かすことが出来て本望だと思いますよ!それに今助けに

行ったところで手遅れですよ」


それを聞いた職員が鬼の形相で鈴木達より強い力で

清水の胸ぐらを掴み顔を近づけた。


「人の命に優劣なんかねぇんだよ!それが分かんねぇならとっととハンターなんか辞めちまえ!」


その表情は「非覚醒者〔ノプレイヤー〕」にも関わらずD級の清水が尻もちつくぐらいの迫力だった。


職員はこの事態をどうすればいいか考えていた。


(癪だがこいつの言う通り今から協会に電話したところでハンターが来るまで時間が掛かって間に合わない。それに後少しでゲートが閉じてしまう。どうしたらいいんだ!)


職員はふとあることに気がついた。


「待てよここってたしか渋谷区だったよな...まだ、あの人が近くで見回りしていれば」


職員はある人物に電話を掛けた。


(出てくれ!出てくれ!)


職員が掛けた電話は無事繋がった。


「今...」


職員が電話を掛けた人物はまだ何も具体的なことは言っていないのにその声色だけで何かあったんだと察している様子だった。


「大丈夫すぐに向かうから何も心配することはない」


その電話からものの数分もしないうちにその人物は

到着してそれと同時に清水のことを蹴り飛ばして職員含め佐藤達は呆然していた。


「どうせあの野郎が原因なんだろ!見るからにド反吐顔していたからな!」


職員含め佐藤達は心の内で同じことを思っていた。


(どんな顔だよ)


電話した職員は不安げな顔でその人物に事の顛末を話した。


「そんなことより九条さんまだ「迷宮〔ダンジョン〕」に重症を負ったハンターが二人取り残されているんですけど、ただその二人の場所が分からないのと後二、三分でゲートが閉じてしまうという現状に陥っていて...」


それを聞いた九条は一切慌てることもなくただ落ち着いた表情で答えた。


「なんだてっきり「魔物暴走〔モンスター•スタンピード〕」が起こったかと思いましたがそんなことですか。ご心配なく二、三分もあれば十分探し出すことが出来ますから。それからもうすでにこっちのほうで

治癒師などは呼んでいるのでご安心をでは」


九条はそう言って湊と木村を助けに颯爽とした姿で

「迷宮〔ダンジョン〕」に入って行った。




















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