固有「能力〔スキル〕」覚醒
こうして、湊、佐藤、鈴木、木村、清水は『ゲート』に足を踏み入れると並行してこの近くにある路地裏で
「覚醒者〔プレイヤー〕」二人組が女性に性的暴行をしよとした時、見回りをしていた「覚醒者〔プレイヤー〕」協会会長補佐の鳴海雷禅が目撃していた。
「こっちに来ないで!誰か助けて!」
「誰のおかげで平穏な暮らしが出来てると思ってんだ!俺達「覚醒者〔プレイヤー〕」がいるからだよな。だったら俺らもいい思いしても罰はあたらねぇよ!」
「それに助けを呼んだところで無駄。俺たちC級「狩人〔ハンター〕」を上回る奴なんて通りかかる訳がねぇからよぉ!」
典型的なモブAとモブBにはこの後ボコボコになってもらう。
物語上こういう展開は必要だからだ。
その様子を建物の上から鳴海が見下ろしていた。
「覚醒者〔プレイヤー〕」に選ばれたと言うのにこんな使い方しやがってド反吐が出そうだ」
女性が瞬きをした一瞬、モブA、モブBを阻むかのように鳴海が現れていた。
「私が来たのでご安心を」
(こいつらごとき「能力〔スキル〕」を使うまでもない)
モブA、モブBは鳴海が只者ではないと肌で感じていた。
ゾワッ!
(やばい...こいつただもんじゃない...)
逃げ出そうとしたモブA、モブBの腹部に鳴海はパンチ
入れて二人はその場に倒れた。
鳴海はこのことを「覚醒者〔プレイヤー〕」協会に電話で報告した後女性に近寄った。
「今、「覚醒者〔プレイヤー〕」が一般人を襲おうとしていたところをこっちで対応したんで連行しといて下さい。場所はスクランブル交差点近くの路地裏です。怖い思いをさせて申し訳ありません」
「助けていただきありがとうございます」
「いえ、あなた方を守るのも協会の仕事ですから。ちょっと失礼髪にゴミが。もしまた何か困ったことが
あればすぐに叫んで下さい。すぐに駆けつけますから。では私はこれで」
そう言った後、鳴海はジャンプして建物に飛び移り
見回りを再開した。
「迷宮〔ダンジョン〕」に潜っていた湊達は順調に駒を進めていた。
「やっぱりE級「迷宮〔ダンジョン〕」は大したことねぇな。おい佐藤、鈴木D級に上がるためだと思って
後はお前らだけでやってみろ。なんかあったらすぐに加勢してやるしそれからちゃんと新人のフォローもしてやれ」
「正直清水さんがいなくても良かったと思いますよ」
「俺らもそこそこE級「迷宮〔ダンジョン〕」の
場数踏んできていますからね。一人フォローすることぐらい造作もないっすよ」
「慣れてきたからって調子乗んなよお前ら笑。」
湊はツルハシで『魔晶石』を掘り出していた時清水や佐藤達の戦う姿を見て自分自身に嫌気がさしていた。
(なんで俺は弱いんだ....俺がもっと強かったら大金を稼げるのに....)
湊が『魔晶石』を掘り出す手を止めていたので清水が怒鳴っていた。
「おい!何手を休めてんだ!こっちはろくに戦えないお前を「迷宮〔ダンジョン〕」に同行させてやってんだぞ!ちゃんと報酬分の仕事をしろ!」
「すいません!」
清水の出番もなく道中の「魔物〔モンスター〕」は佐藤達だけで倒していき「迷宮王〔ダンジョンボス〕」も佐藤達だけで倒したことに清水は驚いていた。
「まさか俺抜きで「迷宮王〔ダンジョンボス〕」を撃破しちまうとは成長したなお前ら」
「清水さんもそのままあぐらかいてると俺らに抜かされちゃいますよ」
「生意気いってんじゃねぇ笑。まぁぼちぼち戻るか。「迷宮王〔ダンジョンボス〕」倒してから一時間ぐらい経つと『ゲート』は閉じちまうから取り残されたらどうなるか分かんねぇからな」
清水達は『ゲート』に向かっている途中で湊が足をつまずいた。
「何してんだよ諸伏鈍臭いにしても程があるだろ。
だから、お前には「能力〔スキル〕」がないのかもな!」
湊が起き上がった時にふと壁を触ったところがいきなり崩れ落ちてきてそこには通路が広がっていた。
ガラガラ!
清水は驚喜せずにはいられなかった。
ごく稀に通常の「迷宮〔ダンジョン〕」の中に
隠し「迷宮〔ダンジョン〕」がありそこには財宝や
お宝が眠っているとされているが、どんな「魔物〔モンスター〕」や仕掛けがあるか分からないので、発見したら「覚醒者〔プレイヤー〕」協会に報告することが義務づけられているのだが...
「おいおい嘘だろ。まさかこんなところで隠し「迷宮〔ダンジョン〕」に出会えるとは思ってもみなかった。これを見て帰るなんて出来るわけねぇよな。行くぞお前ら」
清水が勝手に行こうとしたので木村がこのことに意義を唱えていた。
E級ゲートの隠し「迷宮〔ダンジョン〕」でもこの場にいるのはD級一人、E級四人の「狩人〔ハンター〕」しかいなかったのでいくらなんでも無謀すぎる判断だったからだ。
「こういうのって確か協会に報告する義務じゃなかったんでしたっけ?この人数で行くのは危なくないですか?それにゲートもそろそろ閉じ始めますし」
清水は木村の胸ぐらを掴みそのまま壁に寄せて木村の首元に思いっきり腕を押し付けた。
「E級になったばっかの奴が誰に意見してんだ。それに
隠し「迷宮〔ダンジョン〕」って言ってもE級だから俺を上回る敵なんていやしない。こいつのほかに文句がある奴は今すぐ出てこい相手してやる!」
三人共心の内では危険だと思っていたが誰も清水に
逆らうことができなかったので、言う通りにしてそのまま進むことにした。
進んで行くと巨大な門があってそこを開放した空間の中央にたった一つだけ宝箱がありそれを見た清水は
落胆していた。
「なんだよ宝箱一つだけかよ。まぁE級だしそんなもん
だよな」
清水が宝箱に向かって歩きだそうとしたその時一匹のゴブリンが顔を出して呆れた。
「俺の言う通りじゃねぇか。出てきたのは最弱の
ゴブリン一匹だけ。とっとと狩るとしますかね」
清水が一匹のゴブリンを狩ろうとした時、四方八方から続々とゴブリンが出てきてざっと三百十七匹ぐらい
はいるようでその数に圧倒され皆あっけにとられて
青ざめていた。
最弱のゴブリンであってもこの数はD級の清水でさえも手に余ることだった。
この事態をどうやって切り抜けるのか佐藤と鈴木は
清水に伺った。
「この状況どうすんですか清水さん!」
「逃げるにしてもどうにかしてこいつらを足止めしとかないとすぐに追いつかれるしそれにゲートが閉じる前にこいつらが街に出たら大事になっちゃいますよ!」
「そのことなら心配いらねぇ」
清水が打って出た行動は最悪なものだった...
清水は木村に近づき所持していた鉄剣で腹部を刺した。
ぐさ!
木村はそのまま倒れてしまった。
湊は自分も刺されると思って清水から距離を取ろうとした時には刺されていた。
咄嗟に体勢を変えたのが功を奏してどうにか致命傷は避けられたがその傷が深く湊はその場に倒れてしまった。
「悪いがお前らにはここで俺達が生き延びるために
生け贄になってもらう。諸伏、無能のお前でも役に
立てることがあって良かったな!」
鈴木が声を上げた。
「何やってんすか清水さん!「狩人〔ハンター〕」を置き去りにする行為は...」
「黙れ!だったらお前がこいつらの代わりに生け贄になるっていうのか!こんな無能と新人が生き残るより
俺達が生き延びたほうが断然いいに決まってる。
それにここは「迷宮〔ダンジョン〕」だぜ。どんな事があっても全て捏造できるから問題ねぇ!」
清水達は湊と木村を見捨てて『ゲート』に向かった。
大勢のゴブリンは湊と木村が弱っている姿を楽しむ
かのようにゆっくりと近づいていた。
湊の意識が朦朧としていた。
「どうして、どうして、どうして俺がこんな目に遭わなくちゃいけないだ!これまでただ、家族のために必死にやってきただけなのに。でもこのまま死ねば何もかも楽になれるのかな...」
そう思った時走馬灯でも言うのだろうか湊は父の言葉を思い出した。
「湊、お前には重荷を背負わせてしまうかもしれないがもし俺に何かあったときは家族のことは頼んだぞ。
お前だから任せられる」
湊はその言葉を思い出したことによって何かが切れた。
「俺がここで死んだらあいつらの未来はどうなる!
あいつらの未来を守るのが兄貴の役目だろ!」
湊は刺されたことに段々とイラつきてきた。
「弱ければ何をされても仕方がないないのか!
ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!結局力がある奴だけが自分の思い通りに出来るんだ!」
湊の強い怒りや憎悪に共鳴してなのか目の前に『ウィンドウ』が表示された。
《強い感情を感知。固有「能力〔スキル〕」『略奪者』を獲得しました》
湊の『ステータス画面』に固有「能力〔スキル〕」
『略奪者』と追加されていた。
【名前:諸伏湊】 【レベル:15】
【HP:30】 【「MP〔魔力〕」:15】
湊は怒りでそのことに気づいてはいなかった。
湊は「収納倉庫〔インベントリ〕」から護身用に持ってきていた鉄剣となけなしの金で買った「HP薬〔回復ポーション〕」小を取り出して飲んだ。
「HP薬〔回復ポーション〕」小を飲んだことによりかろうじてだが立って活動できるほどにはなっていた。
清水に刺された傷は治癒してはいなかったし血も止まってはいなかったし大勢のゴブリンはすぐ近くまで来ていた。




