プロローグ
今から十数年前、世界中で大規模な厄災が起こり
文書にはこう書き記しされていた。
突然道路や建物などに今の季節では咲くわけがない
睡蓮とアスターの花が咲くという奇妙な現象が見受けられた。
一瞬のことだったので、人々は目の錯覚だと思い特に気にしてはいなかった。
今思えばこの奇妙な現象が惨劇の前触れだったのではないかと感じる者もいた。
その日の日本、アメリカ、イギリスなど全ての国々の
天気が気味が悪いほど快晴に満ちていた。
だが、日本の16時43分を境に雲一つなかった空が
真夜中と錯覚するほどのどす黒くて不気味な雲が各国の天空を覆い、そこから各国で摩訶不思議な出来事が立て続けに発生した。
急に豪雨と雹が数秒の間に何回も入れ替わるかのように降って、それを見た人はこれから何か良くないことが起こるじゃないかと感じる者もいれば、呑気に動画を回す者もいた。
「これ投稿したらバズるぞー!」
雨や雹が止んだかと思ったら、次は落雷と伴に暴風雪
が吹いて呑気に動画を撮っていた者も事の異様さに
気づいた様子だった。
「.....これ世界終わる?」
そして、16時44分になった時落雷と暴風雪が止むと
同時に今まで観測された地震が比較にはならないほどの国難級の大地震が起こって地盤が陥没し建物も崩壊する始末だった。
地震が収まり人々はこれが不吉な出来事の正体だと
思ったが、これはただの始まりにすぎなかった。
いつの間にか東京......渋谷、イギリス......ビック・ベン、アメリカ......タイムズスクエアなど他国のそれぞれの場所で空間に亀裂が入る音がした後、剥がれ落ちてそこからこの世とは思えない「魔物〔モンスター〕」が出てきた。
ピシッ!ピシッ!
ガシャーン!
その光景を目撃した人々は目の幻覚か夢なのか感じて目を擦っていた。
「俺......疲れてんのか......」
「魔物〔モンスター〕」は手に持っていた斧で青年の首を切り飛ばしそこから血飛沫が上がっていた。
ブシュッ!
人々は一瞬何が起こったか分からず混乱して頭が真っ白になったが、すぐに我に返りこれが幻覚でも夢でもないことに理解した様子で人々は叫び声を上げていた。
ギャァァァァ!
理解した時にはもう遅く時空の歪みから次々と「魔物〔モンスター〕」が出てきて逃げ回っている世界中の人々を襲った。
あちこちで悲痛な悲鳴が聞こえてきて、人々が次から次へと「魔物〔モンスター〕」によって蹂躙されていった。
逃げ回っていた人々は「魔物〔モンスター〕」がいとも簡単に人間の命を奪い街を破壊するところを目の当たりにしてどこに逃げても意味がないことに絶望してもうこの世界は滅亡するんだと思い生きることを諦めようとしたり、死を受け入れる者が出てきた。
行動理由はそれぞれで違ったがこの不条理すぎる逆境に少なからず立ち向かおうとする者達がいた。
「死にたくない!」
「守れる力が欲しい!」
動機は違ったが、一つだけ同じだったのはこの現状に抗うとする意思だけは一緒で「魔物〔モンスター〕」に戦おうと決意したその時だった。
体が熱くなると同時に目の前に『ウィンドウ』が表示された。
《強い感情を感知。固有「能力〔スキル〕」獲得しました。》
体から不思議な物が出てきてほんの一瞬戸惑いを見せたが「魔物〔モンスター〕」が迫ってきていたこともあってなのかすぐにこの現状に順応し出した。
近くにあった鉄パイプを手に取り、「魔物〔モンスター〕」の下に駆け寄って行った。
走っている時いつもよりほんの少しだけ、体が軽くその上思い通りに動くと感じていた。
「魔物〔モンスター〕」が手に持っていた斧を振り
下ろそうとしたのを確認して、そのまま「魔物〔モンスター〕」の足元に滑り込んで躱わした。
その流れで高く飛び跳ねて、鉄パイプにその不思議な物を流し込んで思いっきり力を込めて「魔物〔モンスター〕」の顔に叩きつけると「魔物〔モンスター〕」の首が吹っ飛んだ。
生きることを諦めた人や死ぬことを受け入れた人が
その者達に戦う姿に感化されたのか共に戦おうと決断した時にその者達にも不思議な物が体から出てきた。
五人の者達と違ってその者達には『ウィンドウ』が表示されることはなかった。
生きることを諦め死を覚悟した者には『ウィンドウ』だけでなく不思議な力が出てくることはなかった。
人数が増えたこともあって街中に溢れて出ていた
「魔物〔モンスター〕」を順調に退治出来ていたが
その数が多く戦っていた者たちも次第に力尽きていき
もうダメかと思った時「魔物〔モンスター〕」達が
忽然と跡形もなく消えた。
突如上空に神々しい光が放ちそこから声が聞こえてきた。
「我が名は天照大御神、平伏せよ愚民ども」
その直後に体が重力で抑えつけられるかのごとく地面に叩きつけられた。
「お前達は、本当に愚かだ。国の為だと御託を並べ
戦争を起こし、私利私欲のために私腹を肥やすなど
お前達の罪は数えきれん。だからお前達を一掃しようと思ったが慈悲を施し試練を課してやる。一部の者に力を与えこの混沌した世界で醜く抗い続けるがいい。元の日常を取り戻したければ我を倒すことだ!我は塔の上で待つ!その前に愚民どもが滅亡しているかもしれないが」
天照大御上は神々しい光と共に消えた後、体が自由に動けるようになったが大きな地響きが聞こえ長野県辺りに高さ1000m以上ある塔が日本だけでなく世界各地に出現した。
ゴゴゴゴゴ!
周りを見渡すとさっきまで自分達がいたところなのかと疑うぐらいに街並みは焼け野原となり、地面には沢山の死体が転がっていてそれは見るに堪えないほどの地獄絵図だった。
今分かっていることは天照大御上によってこの世界は狂ってしまい「魔物〔モンスター〕」と戦える不思議力は全ての人間が持っているという訳じゃないということだけだった。
確かめる方法がなかったので、正確な人数までは分からなかったがこの時の日本の総人口は一億二千万人から四千二百六十万人に減ったと言われている。
その後と言うと不思議な力を手にした者達で「魔物〔モンスター〕」を退けながら街を復興したと言われている。
あれから、十数年が経ち変化したことが多数あった。
天照大御上が君臨する塔を「魔物塔〔ダンジョンタワー〕」と名付けられた。
不思議な力に目覚めた者を「覚醒者〔プレイヤー〕」と称されその者達には「MP〔魔力〕と「能力〔スキル〕」が宿るとされまた、固有「能力〔スキル〕」には魂が宿ると言われている。
「覚醒者〔プレイヤー〕」と言ってもいくつか種類があり俗称として「魔物〔モンスター〕」を狩る者を『「狩人〔ハンター〕」』、武器を製造する者を『鍛治師』、「回復薬〔ポーション〕」を生成する者を『錬金術師』などと呼ばれるようになった。
「魔物〔モンスター〕」を狩る『「狩人〔ハンター〕」』について詳しく言うとレベルアップすることで「MP〔魔力〕」量などが上がるのだがそのタイミングや上限などは個人によって変わる。
レベルが留まって年老いてきた者の『ステータス』は減少していくとされているが熟練者になればそれを維持することが出来るのだがそれでも多少は減少すると言われている。
「覚醒者〔プレイヤー〕」の中にはこの力を悪用する者や自らギルドを立ち上げる者達もいてそれらを管理、監視などをする「覚醒者〔プレイヤー〕」協会が設立された。
『「狩人〔ハンター〕』のランクをその者の「MP〔魔力〕」の総量と協会の職員による審査によって決定される。
「魔物〔モンスター〕」達が出てきた異空間の歪みのことを『ゲート』と名付けられ加えて「魔物〔モンスター〕」が潜む空間のことを「迷宮〔ダンジョン〕」と命名された。
『白陀ゲート』『黯骸ゲート』『虹焉ゲート』の順に『ゲート』が放つ『魔気」や色で危険度が増していくと「覚醒者〔プレイヤー〕」協会によって定められた。
『虹焉ゲート』に関しては潜ってみないと何が起きるか分からない不明の「迷宮〔ダンジョン〕」であるので手練れの『「狩人〔ハンター〕」』でも慎重になるぐらいだった。




