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第八話 女神『レイナール』と幼馴染『麗奈』が似ている理由とは

 俺は、麗奈に何か特別な事情があるのではないかと疑っている。

 だって彼女には謎が多いのだ。


「麗奈には両親がいない。親父さんが海外でボクシングの武者修行をしている時に拾ったと聞いた……そういう特別な生い立ちも考えると、やっぱり普通だとは思えない」


 あの子と親父さんは血がつながっていない。

 だから麗奈の容姿は日本人の多くが持つ特徴とかけ離れている。銀色の髪の毛も、金色の瞳も、異国の血が流れているから――と、思っていたが。


 それにしても、綺麗な子だと思っていたのだ。

 何かしら特別な事情があってもおかしくないだろう。


「女神様にも似てるし……もしかして、女神様の関係者だったりしないか?」


 やはり、ここが伏線だということは間違いない。

 女神様と幼馴染の容姿が瓜二つなのだ。何かあるに違いないと、断言できたのだが。


「私の方が聞きたいのですが。あの方は何者ですか?」


「え」


 女神様は、ため息をついていた。

 俺と同じく、麗奈について何も知らないようだ。


「ちょっと待ってください。もう一度確認してみますね」


 そう言って、女神様は一冊の分厚い本を虚空から取り出した。

 それをパラパラとめくりながら、難しい顔でこんなことを呟いた。


「これは『運命の書』です。あらゆる生命の運命が記載されています。光喜様の死と転生も、ここにちゃんと記載されていました」


 いました、と過去形になっているところが大切なポイントだろう。

 つまり、現在は違うと言うことだ。


「ただし、今は違う文章になっています。『見上光喜は異世界で魔王を倒して英雄になる』という一文のみです。転生という文言が消えてしまいました」


「……運命が変わった、ということか?」


「そうなりますね。ただ、異世界に行くことはまだ決まっているみたいですが」


 良かった。この件については、個人的には嬉しいことである。

 だって、死ぬのだけはどうしても怖かったのだ。


「それはそうと、あなたの幼馴染についてなのですが」


 さて、話が少しそれた。

 本題は麗奈の異常性について、である。俺の見立てだと、彼女の方が何かおかしい気がしていた。


 実は俺ではなく、麗奈の方が特別な存在ではないかと思っていたのだが。


「『普通』なんです」


「普通、とは?」


「そのままの意味です。どこにでもいる、ありふれた普通の人間にすぎません。運命の書を読んでも、平凡な人生を送ることしか分からないのです」


 霊道麗奈は、普通である。

 だが……普通だからこそ、おかしいのだ。


「じゃあ、なんでこの空間に亀裂を入れることができたんだ?」


「分かりません」


「異常な身体能力は、特別な力によるものじゃないのか?」


「分かりません」


「あんなに可愛いのに俺だけを好きでいてくれるのも、何か特別な理由があるからじゃないのか?」


「それは、光喜様が素敵な方だからじゃないのですか?」


 いや、最後は分かるのかよ。

 そんなこと言われると、すごく照れる。


「自分を否定してはいけませんよ。光喜様の人格であれば、愛されてもおかしくありませんから」


「お、おう。そうなんだ」


「そういうことなので、とりあえず浮気でもしておきますか? 私も、光喜様のことは気に入っているのですよ?」


「それは、ありがとう……でも、浮気したくないんだ。ごめん」


「それでは、一度抱きしめておくだけで我慢しておきましょう。ぎゅ~」


 話していただけなのに、なんかいきなり抱きしめられた。

 め、女神様も、俺に対して好意的なんだよな……理由はよく分からないけど、麗奈と見た目が同じせいなのか彼女のことは俺も好きだった。


 もちろん、恋愛的な意味ではないけど――。

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