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第三十六話 異世界でチート無双<幼なじみの手料理

 スキルについての分析結果を聞いていたら、すぐに始業の時間となったので話もそこで打ち切りとなった。

 続きは昼休みにということだが、俺としては物足りなかったので、午前の授業中はずっとスキルについて妄想をしていた。


(【魔纏鎧装まてんがいそう】か……めっちゃいいな)


 派手さの面でいうとやや物足りないかもしれない。

 だが、個人的にすごく気に入っていた。イメージとしては魔力を身にまとって戦う感じだろうか。つまり強化系だ。男のロマンがギッシリ詰まっている。


(拳一つでドラゴンとかに立ち向かったりして……!)


 剣で戦うのもかっこいい。魔法で対抗するのもたまらない。

 しかし、巨大なドラゴンに丸腰で挑みかかるなんて、最高だ。イメージしただけでワクワクしてきた。


(――って、危ない! こうやってワクワクしていたらフィオ達の思うつぼだ)


 彼女たちは、俺を異世界に勧誘している。

 現状だと、麗奈と離れたくないので異世界に行くつもりはない。だが、俺をその気にさせて一時的にでも異世界に連れていきたいようなのだ。


 そのためにスキルを解析して教えてくれたのだろう。

 そしてその効果は抜群だった。


 本音を言うなら、やっぱり異世界でこのスキルを使ってみたい。

 ファンタジーをしてみたいという欲求はあるので……少し、心が揺さぶられているのかもしれない。


 できれば、気にしないようにした方がいいだろう。

 しかし、やっぱりスキルのことが頭から離れなくて、授業にも全く集中できなかった。


 そわそわした状態のまま、昼休みを迎える。

 ようやくスキルについて続きが話せるので、俺はテンションが上がっていた。


「光喜くん、目がギンギンだね」


「そ、そうか? いや、まぁ……そうなっちゃうか」


 昨日と同じく、俺たちは屋上に来ていた。

 異世界の三人も当然一緒である。セーラは寝坊していたが、先ほど登校していた。まだ寝癖がついているが、本人は気にしていない様子である。今日も元気にフライドチキンを両手に握っていた。味が気に入ったようだ。ちなみにヘイムはもうゼリー飲料を飲み干していて、違うベンチで寝ている。彼女は基本的に暇があったら眠るキャラらしい。ダウナー系エルフだ。


「とりあえず弁当でも食べて落ち着いてね。今日は卵弁当にしてみたの」


「卵ばっかりだな」


 渡された弁当箱には、卵料理がずらりと並んでいた。卵焼き、目玉焼き、ウズラの卵の串揚げ、スクランブルエッグ、ゆで卵、それから少々の野菜とお米だ。


「フィオちゃん、卵が好きみたいだから。はい、どうぞ」


「いいのかしら!? わぁ、麗奈お姉さまありがとうっ」


「……妹っていいなぁ。弟成分は光喜くんで見たせるけど、妹成分は初めてかも」


 俺を弟扱いするな。同級生だぞ。

 と、抗議しても麗奈が姉御肌なのは昔からなので、もう受け入れている。実際、俺も面倒を見られる気質の方が強いので、相性がいいのだ。


「いただきます」


「……イタダキマス!」


 フィオと一緒に手を合わせてから、二人で卵弁当を食べる。うん、味はいつも通り美味しかった。

 麗奈はやっぱり料理上手だ。市販の食品では物足りないと思ってしまうほどの味である。


「ミツキお兄さま、これすっごく美味しいわ」


 フィオもご満悦だ。よっぽど美味しかったのだろう。俺に報告してくれるところもまた、かわいい。


 異世界で食べる料理よりも、麗奈の手料理の方がかなり美味しいのだろうか。


(……麗奈の手料理が食べられなくなるのは、やっぱり嫌だな)


 異世界でチート無双することを夢想して興奮していた。

 だが、麗奈の手料理を食べて急に冷静になった。


 この美味しいご飯が食べきれくなるなんて、嫌だ。

 改めて、そう思わされたのである――。



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