第二話 テンプレ転生イベント乱立中!
登校中、いきなりトラックが突っ込んできた。
暴走に巻き込まれかけたが、麗奈の異常な身体能力のおかげで回避に成功。運転手もエアバックのおかげで大きな怪我はなく、被害者は幸いにもゼロである。
「ふぅ。すまなかったな……良かったよ、二人に怪我がなくて」
運転手のおじさんもいい人で、俺たち二人のことをすごく心配してくれていた。
「俺の不注意で怖い思いをさせてすまなかった。一応、救急車を呼んでおくか?」
「いいえ、大丈夫です。わたしが助けましたから」
「……嬢ちゃん、ありがとう。おかげで、殺人者にならなくてすんだよ」
そうか。仮に俺たちが被害を受けて最悪な結末になったら、この人の人生も大きく変わっていたんだ。こう考えてみると、麗奈のおかげで俺とおじさんが救われていた。
「あ! 光喜くん、もう行かないと遅刻しちゃう……っ」
おいおい、ウソだろ。
こんな事故があってなお、麗奈の中では学校の優先度の方が高いみたいだった。
「でも、一応俺たちも立ち会った方が……」
「数学の小テストを受けられなくなっちゃうからダメ!」
「そ、そっちが大事なのか……!?」
トラックの事故<小テストらしい。
無事だったこともあって、俺としてはもう少しだけこの非日常にかかわっていたいのだが。
「ほら、いくよっ」
麗奈が引っ張って連れて行こうとしている。長居はさせてくれないみたいだ。
「おじさん! 最後に一つだけ……なんで俺たちに突っ込んだんですか?」
頼む。麗奈、これだけは聞かせてくれ!
散歩から帰るのを拒む犬を引っ張るような麗奈に抗いつつ、おじさんに問いかけてみる。
「それが、ハンドルの制御が急に効かなくなってな。すまなかった、ちゃんと整備はしていたつもりなんだが」
「そうですか……トラックの暴走、か」
引っかかる。
だって、このトラックの暴走って……あれだよな?
と、俺はこの事故のことがどうしても気になっているのだが。
「こらっ。光喜くんはこの前赤点だったんだから、復習しないとダメなんだからね!?」
麗奈はまったく気にしていないようだ。
そんなことよりも、俺が赤点を取らない方が大切らしい。
「分かった! もう行くから……おじさんも、一応病院には行ってください。体、強く打っていると思うので」
「ああ……坊主も優しいな。これ、俺の名刺だ。お前さんたちも何かあったら、すぐに連絡してくれよ」
そういうことで、最後に名刺を受け取ってから俺たちは慌てて学校に向かった。
おじさんはこれから、警察の対応や方々への連絡など色々とやることがあるのだろう。俺たちを見送りながら、どこかに電話をかけていた。
「とりあえず急がないと……どうせ光喜くんはテスト勉強なんてしてないでしょ?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。麗奈、あの事故のことなんだけど……あれって、あれじゃないのか?」
早足で歩きながらも、やっぱり伝えずにはいられなかった。
急なトラックの暴走で、俺は死にかけた。
これもまた、あれのテンプレである。
「あれってなに?」
「あれって……『異世界転生』のことだよ」
今朝の夢である『真っ白い空間』もそうだが。
トラックの暴走事故も、転生フラグの一つである。
「それって、偶然じゃないの?」
「偶然だとは思うけどさ。夢のことといい、なんか転生フラグが続いてる気がするんだ」
「また、そんなことばっかり言って……本当にファンタジーが好きなんだからっ」
麗奈も俺の異世界好きについては知っている。
彼女自身はあまり興味がないみたいだが、よく一緒にアニメとか見ているので彼女も内容は知っていた。俺に付き合ってくれているだけだろうけど。
「まぁまぁ、落ち着けよ。もしかしたら、またフラグが起きるかもしれないぞ? そうしたら、テストどころじゃなくなるなぁって」
「……たとえば、何が起きるの?」
「そうだな。異世界転生の定番と言えば――鉄骨が落ちてきたり、とか?」
そう言って、空を見上げた。
俺としては冗談のつもりだった。先程、死を覚悟したこともあったので、少しテンションもおかしかったのかもしれない。自分でも変なことを言っているという自覚はあった。
もっと落ち着いたほうがいいよな。そう、思ったのだが。
「うわっ!?」
鉄骨、ではなかったのだが。
頭上から急に、大きな何かが落ちてきていた。
もちろん、俺の頭めがけて。
バスケットボールくらいの大きさである。これは……植木鉢、か?
あ、やばい。当たる。
「ふんっ!」
ただ、麗奈も俺につられて上を見えていたわけで。
視認した直後、彼女の拳が消えた。
『バキッ!!』
そして次の瞬間には俺のすぐ頭の上で植木鉢か粉砕していた。
彼女が殴り壊したらしい。おかげで、俺の頭に直撃せずにすんだ。
「ま、マジかよっ」
冗談のつもりだった。まさか本当に、命の危険が迫っているとは思っていなくて、腰が抜けた。ぺたりと尻もちをつくと同時、頭上から「大丈夫ですか~!」と声が聞こえてくる。たぶん、この植木鉢を落とした本人だろう。
「……うーん。光喜くん、なにこれ?」
そろそろ、麗奈もただごとじゃないと思っているようだ。
先ほどまでは話半分だったが、今は真剣な顔をしている。
そんなこと聞かれても……お、俺にも分らないぞ――。
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