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第二十七話 ラブコメのヒロインが異世界に負けるわけないでしょ?

 さて、色々あったがなんとか話はまとまった。

 これから一週間、異世界勢力は俺に異世界の魅力を語って誘惑する。それで俺が誘惑に耐えられなくなれば麗奈の負けになるらしい。


「うん。提案としては、悪くない。私たちも二人と敵対したいわけじゃないから」


「……レイナお姉さまの心情も考えると、申し訳ないわ」


 ヘイムは納得していて、フィオは少し罪悪感を覚えているらしい。

 ただ、先ほど頭を下げていたので、彼女たちにも語っていない事情があるのだろう。ヘイムの案に対して否定はなかった。


「ううん。大丈夫だよ、フィオちゃん? わたしはね、別に光喜くんの意思を束縛したいわけじゃないの。もちろん、なんだかんだ危険もあるだろうし、乗り気ではないけどね……ただ、その危険を理解してでもまだ光喜くんが『行きたい!』って言うのなら、文句は言わないよ」


 そして麗奈も、勝負について納得しているようだ。

 申し訳なさそうなフィオに対して、優しく笑いかけている。

 その表情には、なんというか……自信めいたものも垣間見えた。


「もちろん抵抗はするけどね? たしかに、前々からわたしよりも異世界に夢中になるところは少しモヤモヤしてたから。この機会に、改めてわたしの魅力を光喜くんに分からせようかなって」


 ……つ、強い。

 麗奈から圧倒的な強者感がにじみ出ている。


「数ヵ月だけでも、離れたくない――そう思わせたらいいんでしょ? そんなの楽勝かな」


 その力強い一言に、異世界の三人は狼狽えていた。


「す、すごいわ。レイナお姉さまからオーラが出ているわっ」


「厳しい戦いになりそうだね」


「くっ。やはり強敵……だが、こちらも負けるわけにはいかない! 正々堂々と、勝負させてもらおうか」


「そうだね。正々堂々と、戦おう」


 そして、セーラと麗奈が熱い握手を交わした。

 この中で二人だけ体育会系なんだよな。ノリが合っていた。


 異世界のことさえなければ……麗奈の友達に、なってくれたかもしれない。

 そこは少し、もったいないなと思った。


(お、俺も何か言いたい……!)


 一応、俺を奪い合っているわけだし。

 何か、みんなをまとめる一言を発したいと思って、言葉を探したのだが。


「じゃあ――そういうわけだから、カレーでも作ろっかな。みんなも食べていってね」


「よし、それなら食材を切るのは任せてくれ。せっかく愛剣を出したから、ちょっと使っておきたい」


「いいの? じゃあ、じゃがいもと人参から切ってもらっていい?」


「ふわぁ……ちょっと寝る。ミツキ、布団借りるね」


「ミツキお兄さまっ。このお菓子、すごく美味しいわ! もぐもぐ。もぐもぐ。もぐもぐ」


 ……みんな、俺の話なんて聞いていなかった。

 もう勝負についての話は終わったようだ。


(俺の意思は……うん、関係ないよなぁ)


 否定する気はなかったのは事実。俺の意思を尊重する意味もなかったのだろうが、一言くらい何か聞いてくれても良かったのに。


 と、少しだけ不満はあったけれど。

 しかし、そんなものはすぐに消えていった。


(まぁ……こうやって賑やかなのは楽しいかも)


 今まで、麗奈と二人きりでいることが多かった。

 彼女が意外と人見知りで、俺以外の人間に対して興味を示さなかったから仕方ない……でも、異世界の三人については別と言うか、麗奈も親しみやすそうだ。


 特に、セーラとはもっと仲良くなりそうである。

 麗奈は面倒見が良くて、姉のように慕っているが……同時に、少し抜けている部分もあるので、兄のように心配している部分もある。


 だからこそ、彼女が誰かと仲良くしているところを見て、なんだか嬉しかった――。




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