表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/74

第二十三話 異世界アニメよりほのぼの日常アニメが好きな麗奈ちゃん

 彼女たちが転校してから、少し時間はかかったが。

 ようやく、この件について話を聞くことができる様だ。


「わたくしたちは――ミツキお兄さまを迎えに来たわ」


 なぜ、異世界の住人たちがこの世界に来たのか。

 その理由を、彼女たちはついに明かしてくれたのである。


(まぁ、だいたい予想できていたことではあるけど)


 なんとなく、そうだろうなとは思っていた。

 初めて出会ったのは今朝のこと。俺が異世界に召喚されかかっている時に出会った。麗奈のおかげで俺は現世に戻ってきたので、彼女たちからすると召喚は失敗に終わったということになる。


 つまり、異世界勢力としては俺を召喚しなければならない理由があったはず。

 そのために、わざわざこうやって世界をまたいでいるわけだ。きっと、異世界の情勢が大きく関係しているのだろう――というところまでは、異世界ものが好きなので察していたのだが。


「えー!? み、みみみ光喜くんを連れて行こうとしてるのっ!?」


 ……麗奈は知らなかったんだ。

 寝耳に水と言わんばかりに目を丸くしている麗奈。純粋なリアクションはかわいい……けど、異世界のことについて察しがやや鈍い。


 いや。もしかしたら、異世界系に理解がない一般人からすると、このリアクションが普通なのかな。

 一応、麗奈も俺と一緒に異世界系の作品は見ているはずなんだけどなぁ。たぶん、子供のアニメを一緒に見ているお母さんと同じなのだろう。興味がないから、内容はまるで覚えていないのかもしれない。


「ダメ! 光喜くんは異世界に行かせませんっ。怪我するかもしれないでしょ?」


 子供の遠出を禁じる母親みたいなことを言い出す麗奈。

 なるほどなぁ。思ったより異世界の三人に対して態度が柔らかいと思っていたのだが……麗奈はあちら側の状況を全く分かっていなかったようだ。


「まぁまぁ、麗奈。落ち着けって」


「……なんで光喜くんは冷静なの? だって異世界だよ? もっと驚かないの?」


「だいたい予測できてたからな。ほら、朝に召喚されかけた時に三人を見かけたって言っただろ? その三人がこの世界に来たということは、つまり俺を異世界に連れていきたいことだろ」


「そ、そんなの分かんないよっ。てっきり、観光に来たのかと思ってた……!」


 麗奈がのんびりしすぎている件について。

 お菓子とジュースを用意したことといい、彼女だけほのぼの日常アニメのトーンだった。


 とはいえ、話を聞いた感じ……そこまで深刻ではないわけで。

 麗奈は今生の別れになるから止めているのだろうが、そうじゃないことも説明した方がいいだろう。


 だって、先ほど『転移魔法は往復できる』と言っていたのだ。

 つまり、俺はこの世界に帰ってこられる。もっと踏み込むと、麗奈だってそうだ。


「たしかにこの世界より危ないかもしれないけど、異世界ファンタジーだぞ? 楽しそうだし、一緒に行ってみてもいいんじゃないか?」


「わたしも行けるの……!?」


 やっぱり麗奈は勘違いしていたらしい。

 自分も行けるのなら、と迷うそぶりを見せる。


 この調子なら、あと一押しで許可がとれそうだ。

 そう、思ったのだが。


「――行けない。レイナは無理」


 想定外の横槍が入った。

 俺たちのやり取りを静観していたヘイムが、首を横に振っていた。


「ミツキは大丈夫。魔力に耐性があるから……でも、レイナは違う。もし異世界に行ったら、数秒も耐えられずに死んじゃう」


「……え?」


 ご都合主義が、ご都合に合わない。

 どうやら、何もかもが俺に都合のいいものではないようだ――。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

「面白かった!」と思っていただけたら、ぜひ感想コメントを残してもらえると嬉しいです!

『ブックマーク』や下の評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると、次の更新のモチベーションになります。

これからもよろしくお願いします(`・ω・´)ゞ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ