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第二十一話 異世界と現代のカルチャーギャップ

 昼休みは結局、異世界勢の三人がごはんの洗礼を受けただけに終わった。

 さすが現代。市場競争を勝ち抜いたコンビニから販売されている商品に、異世界勢は驚いていた。


 三人の異世界は文化レベルでいうとどれくらいなのだろう……中世とかだろうか。そう考えてみると、彼女たちがごはんの味に驚いていたのも無理はない気がする。


 次に驚くのは何に対してだろうか。やっぱり定番は『機械』かな。

 車なんか見たら卒倒しちゃうんじゃないか!?


 と、予想してワクワクしていたのだが。


「へー。あれはクルマというのね……ゴーレムみたいなものかしら」


「この世界には魔力がないみたいだけど、動力源は……デンキ? いや、セキユか? 物質資源は効率が悪そうだね」


 学校が終わって、放課後。

 ゆっくり話がしたかったので、三人を俺の家に招くことになった。

 その道中で、車についても紹介したのだが……思ったよりも反応は芳しくなかった。フィオもヘイムも興味は持っていそうだが、驚いた様子はなかった。


 ヘイムは魔法で色々と知識を検索しているのかな。脳内で色々と調べているみたいで、知識の収集が早い。


「移動なら転移魔法の方が楽だわ」


「そうだね。まぁ、転移魔法は難しいから使用できる者は限られている。誰もが高速で移動できるゴーレム、と考えると確かに便利ではあるか」


「……どうしよう、光喜くん。二人が何を言ってるのか分かんないや」


 もちろん、麗奈もついてきている。

 ただ、彼女は異世界勢力の会話にもキョトンとしていた。ちなみに俺は少しワクワクしている。やっぱり魔法っていいよね。


「す、すすすすごい! なんだあれは、我が世界にはないぞ!?」


 ただ、セーラだけは期待通りの反応をしていて、それだけは面白かった。この人は純粋だなぁ。

 たぶん脳みそが筋肉で構成されているタイプの人なのだと思う。


(いや、文化レベルが中世と思うのは失礼か。魔法という独自の技術があるわけだし……比較は難しい)


 転移魔法なんて、現代で言うところのワープである。そんな技術はもちろんないので、移動手段の点で考えると異世界の方が遙かに優れていることになるわけで。


 意外とカルチャーギャップが大きいかなと思ったが、そうでもないのかもしれない。


「あ。せっかくだし、三人にも夜ご飯食べて行ってもらうのはどう? どうせ光喜くんの分も作るし」


「麗奈が大変じゃなければいいんじゃないか?」


「わたしは大丈夫! えっと、カレーとか作ってみようかな~。知ってる? カレーって大量に作ると、味が更に美味しくなるらしいよ」


 ……なんか、異世界の住人と行動している感じが薄くなってきた。

 麗奈の言い方が『友達とごはんを食べよー!』って感じで、軽いのだ。


 もうちょっとシリアスになる気もしていたが、麗奈も異世界の三人も善良なので、まったく不和が生まれなかった。


「……いいの!? やったぁ♪ レイナお姉さまのごはん、すごく楽しみだわっ」


「私は口に入れば何でもいい。あのゼリーで十分かな」


「胃が辛いのだろう? 老いで食も細くなっているな」


「年齢じゃない。エルフだから肉は苦手なだけ」


「そうなの? じゃあ、野菜カレーにするね~」


「お、お姉さま? わたくし、緑色のお野菜は少し苦手で……」


「緑色のはそんなに入れないけど、好き嫌いはダメだよっ。ちゃんと食べないと大きくならないんだからね」


 うーん。やっぱり、会話が緩い。

 そして麗奈は三人に対して敵意が全くない。人見知りの彼女にしては打ち解けるのが早くて、そこに少し驚いているくらいだ。


 三人との相性もいいように見える。


(――あ、そうだ)


 ふと、思いついた。

 異世界に行くのを彼女は嫌がっているが……三人となら、行ってもいいのでは?

 麗奈も一緒に行けば全部解決だ。俺も大切な人と離れ離れにならなくてすむうえに、異世界ファンタジーを謳歌することもできる。


 もちろん、異世界に一生住むつもりではない。旅行する感覚で行けるのなら、それでいい気がする。だって、三人がこの世界に来ているのだから、逆だって可能だろう。


 麗奈も一緒に、異世界に行く。

 このことについて、家に到着したら話をしてみてもいいのかもしれない――。



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