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第十九話 女騎士がポンコツなのは定番

 とりあえず、お互いに自己紹介が終わったところで。


「そろそろ、三人の目的が知りたいんだが」


 なぜ異世界から転移して、しかも転校してきたのか。

 恐らくは、俺を迎えに来たのだと思うが……まだ明言されているわけではないので、少しもどかしさがあった。


 もちろん転移する気はないので、断るつもりだ。

 しかし、まだ何も言われていないのに断るのは、心が苦しい。まるで、好きな女子から告白されていないのに振られるみたいな状況である。そんな酷いこと、俺にはできない。


 だから、ちゃんと言葉にしてほしいなと思っていたのである。


「そうだね。姫、ちゃんと言ったら?」


「姫様。率直に伝えた方がよろしいかと」


「ええ。分かったわ」


 三人も、もしかしたらここで伝えようとしていたのかもしれない。

 あっさりと了承してくれた。


 代表して、姫様が何かを言おうとしたその時。


『ぐ~』


 お腹が鳴った。

 姫様……ではない。その隣にいる、女騎士のセーラである。


「――切腹する!」


「大げさすぎる」


 あと、それは騎士じゃなくて侍だから。

 やっぱりこの人、意外とポンコツだな……真面目そうに見えて抜けているところが多いタイプなのだろう。


「……わ、わたしもおなか空いたなぁ」


 続いて、俺たちを傍観していた麗奈が、お腹を押さえながら小さく呟いた。

 さっきまでは認識阻害魔法の影響でご飯を食べていたが、今は中断している状態だ。律儀に俺たちに合わせて食べないのがまた麗奈らしい。


「たしかに、話は絶対に長くなる気もするわ……先にご飯を食べた方がいいのかしら」


「うーん。私は別に食事しなくてもいいけど」


「ごめん。麗奈って意外と食い意地が強くてさ。あと、空腹だと分かりやすく機嫌が悪くなるから、ご飯にしないか?」


「く、食い意地は強くないもんっ。ちょっと代謝が良いだけだから。そうだよね、セーラちゃん!?」


「そうだそうだ! 我々はエネルギーの効率が良いのでなっ」


 やっぱりセーラと麗奈は相性が良さそうである。出会って間もないのに意気投合していた。

 と、いうわけで……三人の目的を聞く前に、まずは腹ごしらえからすることになった。


「じゃあ、ご飯からだな……話は放課後かなぁ」


 そんなことをぼやきながら、近くのベンチに座った。

 すると、すかさず麗奈も隣に来た。


「はい、光喜くんのお弁当。今日も愛情をこめて作ったよ♡」


「いつもありがとう」


 俺の弁当は毎日麗奈が担当してくれていた。

 作る手間を考えて昼食は買おうとしていた時期もあったが、麗奈が頑なに作ると言い続けたので、今はすっかりお願いしていた。


「麗奈の料理は美味しいから、助かるよ」


「いえいえ♪ 胃袋を掴めてわたしも安心だから」


 そんなやり取りを交わしながら、弁当箱を開ける。今日のおかずは、卵焼きとハンバーグと唐揚げと……子供が喜びそうなメニュー勢ぞろいだった。うん、いいね。俺の大好物ばかりで。


「わぁ。お二人のお食事、すごく美味しそうだわっ」


 いつの間に来たのだろうか。俺の隣にちょこんと座っていたフィオが、こちらの弁当を覗き込んで声を弾ませていた。


 あ、そういえば。


「フィオたちの食事はちゃんと用意してるのか?」


 魔法でこの世界の常識は取得している、とのことだが。

 食事はちゃんとあるのだろうか。


「こんびに?という場所で買ったわ! わたくしは美味しそうな……さんどいっち?にしたのっ」


「私は肉だ。この、衣付きの肉塊を買った!! しかもたくさんな」


「……この世界はいいね。スライムみたいな飲み物が食事代わりになりそうで」


 フィオはサンドイッチ。セーラはチキンを箱買い。ヘイムはゼリー飲料か。


 良かった。ちゃんと持ってきているなら、何よりである。

 ちょっとメニューが不安というか、癖が強いのだが。


 あと、少しお金関連のことも気になるなぁ。

 どうやって金銭を用意したのだろうか。魔法を使って盗んだりは……三人の人柄を考えるとしてないと思うが、そのあたりも放課後に聞いてみようかな――。





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