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第十五話 ラブコメと異世界ファンタジーの融合

 ある日、お姫様とエルフの魔法使いと女騎士が転校してきた。

 ……自分で言っておいてなんだが、やっぱり意味不明すぎる。


「光喜くん。お昼ごはんはどうする?」


「あー。どうしよう……」


 今はお昼休み。いつもは麗奈と教室で食べているのだが、今日はどうして彼女たちが気になって仕方ない。

 このタイミングでちゃんと話しておくべきなのか、と悩んでいたのだ。


(午前中は意外と大人しかったけど、だからこそ気がかりなんだよなぁ)


 授業中は静かだったし、休み時間になっても三人でコソコソと話すだけだった。

 でも、だからこそ不自然だったのである。


(普通、あんなに美女が転校してきたらもっとクラスメイトに話しかけられないか? なんで三人はこんなに馴染んでいるんだ? ここは違う世界なんだから、もっとトラブルとか起こしそうなのに)


 周囲もそうだが、本人たちの様子もおかしい。

 そのせいで、何をしようとしているのかがよく分からない。たぶん、俺を異世界に連れて行こうとしているとは思うんだけど……それなら、転校してくる意味がないよなぁ。


 今も俺から少し離れた場所でひそひそと話している。時折俺の方を見てくるのだが、いったい何を話しているのだろうか。


 と、考え込んでいたら、タイミングよくあちら側から話しかけてくれた。


「あの、ミツキおにい様? 少しよろしいかしら」


 申し訳なさそうにこちらに歩み寄ってきたのは、亜麻色の髪の毛が綺麗なお姫様の……フィオーネちゃんだっけ?


 うーん。それにしても小さい……これで高校生は無理があるけどなぁ。


「今って、お食事の時間よね?」


「うん。そうだけど」


「それでしたら、あの……もし、ミツキおにい様が構わないのなら……えっと」


 モジモジしないでほしい。可愛くてついニヤけそうになる。


「…………」


(れ、麗奈の視線が痛い)


 麗奈の様子も気になるんだよなぁ。

 異世界から来た三人に対して、どういう感情を抱いているのかよく分からない。俺以外に対しては意外と無愛想な一面はあるが、それにしても無表情すぎた。


「よろしければ、お食事はご一緒してもいいかしら」


「あ、そういうことか」


 どうやら食事のお誘いだったようだ。

 勇気を振り絞って誘ってくれているのだろうか。やや緊張した面持ちで俺を見ているお姫様。頑張っている小学生みたいで、ついつい気が緩みそうになる。


 いいよ、と反射的に頷きかけたが……しかし麗奈の視線があることを思い出して、慌てて席ばらして誤魔化した。


「こ、こほん。一緒にね……麗奈、いいか?」


 普段は彼女もいっしょに食べているのだ。俺だけの判断で決めてはいけない。


「わたしはどっちでもいいよ。光喜くんがやりたいようにやって」


 それが一番難しんだって。

 麗奈は俺に委ねている。こ、これって試し行動じゃないよな?

 ここで姫様の誘いに乗ったら、麗奈が「裏切り」と判断するだろうか。ここは麗奈を優先した方が、彼女を安心させられるか?


(――いや、こんなに心が狭い女の子じゃないか)


 一瞬、疑心暗鬼になりかけたが……麗奈のことを考えてみると、彼女は優しくて懐も大きいので、試すような行動はしないと自分の考えを改めた。

 言葉に裏なんてない。彼女はたぶん、異世界の三人に興味を持っていない。だから俺に判断を任せたのだろう。


 それなら、まぁ……いいか。


「分かった。一緒に食べようか」


「い、いいの!? わぁ、やった……えへへ。二人にも伝えてくるわっ」


 花が咲くように、という表現が似合う愛らしい笑顔だった。

 緊張の表情から一転。無邪気な笑みを残して、姫様は少し離れた場所にいる仲間のもとに駆け寄っている。


 その後ろ姿を眺めていると、隣の麗奈がぽつりと呟いた。


「あれ? よく見ると、あの子とってもかわいいね。あと、ちょっと幼いかも?」


「……え?」


 よく見なくても、かわいいし、幼いと思うのだが。

 なんだか、麗奈のリアクションもちょっと不思議な感じがした。

 いったい、どうなっているのだろうか――。

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