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第十二話 愛情深いけどヤンデレではありません

 時刻は朝の六時。

 夏ということもあってか、既に空は明るい。いつもならまだ寝ている時間だが、色々あって俺も麗奈も目が覚めている。


 なので、先ほど召喚されかけた時の話を麗奈にも教えた。


「ふーん。お姫様に、エルフの魔法使いに、女騎士ねぇ」


 彼女は俺の布団の上に座っている。枕を抱きしめながら話を聞いているのはいいのだが……あんまり匂いとかかがないでほしい。恥ずかしいから。


「見事にみんな女の子だね」


「うん。姫様は妹みたいで可愛かったし、エルフの人はお姉ちゃんみたいな色気があったし、女騎士さんは腕がムキムキだった」


「へー。ちなみに女騎士さんは好みだった?」


「……な、なんでそうなる?」


「光喜くんは好みの異性に対しては照れて変なことを言うから」


 バレている。女騎士のセーラさんは見た目が好みというか、普通に美人だったので誤魔化したのだが……さすが麗奈だ。俺のことはお見通しである。


「まぁ落ち着け。別にやましいことはしてないぞ」


「あはは。そんなこと思ってないよ? そこまで束縛は強い方じゃないけどなぁ」


 麗奈は愛情深いので、少しヤンデレっぽい雰囲気がある。

 だが、意外とそのあたりには寛容だったりする。俺が他の女子と話していても理不尽に怒ったり、機嫌を悪くすることはないのだ。


「浮気してたら許さないけどね」


 うん。そこが怖いんだよ。

 浮気だけは絶対に許さない。それが霊道麗奈の信念だ。


「もちろん、浮気しても手を出したり怒ったりはしないよ? ただ、その時はちゃんと言ってね。わたし意外に好きな人ができたなら、その時はちゃんと諦めるから」


 ラブコメでありがちなパターンだと、浮気みたいなことになったらヒロインは怒ったり拗ねたりするものだが……麗奈はそうじゃないらしい。


 この子は俺のことを本当に大切に思ってくれている。

 だからこそ、俺が傷つくようなことはしないと決めているらしい。仮に俺が他の女子を好きになったら、その時は自分が邪魔になるから教えてねと常々言われていた。


 そして、だからこそ――俺は、浮気を疑われたくないと強く思っている。

 だって、麗奈と疎遠になるのは嫌だった。


「安心してくれ。たしかに、三人とも魅力的な女性ではあった。でも、麗奈以上に魅力的な人間だとは思ってないよ……この世界も、異世界も含めて、俺は麗奈が一番だから」


「――あ、鼻血出ちゃった」


「なぜそうなる」


 少し照れるかな、とは予想していたが。

 想像以上にクリティカルなセリフだったのかな。麗奈の鼻から赤い血がにじんでいた。少量だが、いきなり出血しないでほしい。そして、こんな状況でなお俺のことを考えて枕に鼻血がつかないよう気を付けているところはさすがだ。麗奈の愛情を感じた。


「ちょ、ちょっと洗ってくるねっ」


 閑話休題。

 麗奈が鼻血を処理している間に、布団を片付けることに。


 布団を押し入れにしまって、ソファに座った後にようやく麗奈がやってきた。


「も、もうっ。急に嬉しいこと言わないでよ……興奮しちゃった」


 顔を真っ赤にした麗奈が、恨めしそうに上目遣いで俺を見ていた。

 うん、この様子なら俺の気持ちを勘違いしていないだろう。それは良かった。


「ごめん。ただ、異世界の住人を見ても気持ちは浮ついてない。それだけ伝えたかったんだよ」


「……えへへ。たまにこうやってデレるから、光喜くんはたまんないなぁ」


 そう言って、麗奈はソファに座っている俺の隣に腰を下ろした。

 距離はいつもより近い。ほとんど膝と膝がくっついている。


 夏なので、少し暑いけど……彼女の温もりなら、全然平気だった。

 さっきみたいな発言は照れる。でも、麗奈も嬉しそうだし、たまにはこうやってちゃんと気持ちを伝えた方がいいのかもしれない。


 と、この時はぼんやりと思ったわけだが。





「あ、ミツキお兄さま♡」


「やぁ、ミツキ。会いにきたよ」


「ふんっ。私は姫についてきただけだ! 勘違いするなよ」





 学校に突然やってきた謎の転校生美女三人を見て、俺は朝の自分を強くほめたたえた。


(よ、良かった! 麗奈が一番大事って言っておいて、良かった……!!)


 た、頼むぞ麗奈!

 お願いだから、不安にならずに俺の気持ちを信じてくれ――!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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