表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/23

未知

読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。



 不思議なことに、すぐ仲良くなれた——というわけではなかった。


 翌日から、橘さんと俺は、あくまで「知り合い以上友達以下」くらいの距離感を保っていた。

 周囲からは、「春野、転校生の案内役って美味しすぎない?」、「橘さんって、春野くんが好きなのかな?」なんて声が聞こえてきたりしたけど、橘さん自身はそういうのを気にする様子もなかった。


 それでも、放課後になると、不思議と2人で一緒にいることが増えた。

 昇降口で顔を合わせると、「ちょっと歩く?」と自然に言葉が出る。


「春野くんって、未来、どれくらい先まで見えるの?」


 ある日、帰り道の歩道橋で、橘さんがふいにそんなことを聞いてきた。春風が髪を揺らしている。


「んー……集中すれば数時間、がんばって1日先くらい? でも、そんな遠くはあんまり見ないかな」


「ふうん。私は、3日先くらいまでなら普通に見えるよ」


「えっ、そんなに!?」


「でも別に、見えてうれしいことばかりじゃないしね」


 橘さんは、淡々とした声でそう言った。


「誰と仲良くなるとか、テストの点とか、次にどんな言葉が返ってくるとか……全部、見えちゃうと、なんだか“自分”がいる意味がなくなる気がする」


 俺は、少しだけ返答に困った。


 だって、俺にとって未来視は、ちょっとした娯楽だったから。

 未来を知って、それと今を比べる。そのズレや意外性を楽しむのが、俺の癖みたいなものだった。


 でも、橘さんは違う。彼女にとっては、未来視は日常から“驚き”や“偶然”を奪う力なのだ。


「でも——」


 橘さんは、少しだけ顔をゆるめた。


「春野くんと話す時だけ、ちょっと未来が読めなくて、楽だよ。何が起こるかわからないのって、悪くないんだね」


「……うん、わかる。俺も同じ」


 お互いだけが、見えない。

 未来視を持つ俺たちにとって、それ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回も読んでいただけると嬉しいです。

また、改善点なども指摘していただけると、嬉しいです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ