未知
読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
不思議なことに、すぐ仲良くなれた——というわけではなかった。
翌日から、橘さんと俺は、あくまで「知り合い以上友達以下」くらいの距離感を保っていた。
周囲からは、「春野、転校生の案内役って美味しすぎない?」、「橘さんって、春野くんが好きなのかな?」なんて声が聞こえてきたりしたけど、橘さん自身はそういうのを気にする様子もなかった。
それでも、放課後になると、不思議と2人で一緒にいることが増えた。
昇降口で顔を合わせると、「ちょっと歩く?」と自然に言葉が出る。
「春野くんって、未来、どれくらい先まで見えるの?」
ある日、帰り道の歩道橋で、橘さんがふいにそんなことを聞いてきた。春風が髪を揺らしている。
「んー……集中すれば数時間、がんばって1日先くらい? でも、そんな遠くはあんまり見ないかな」
「ふうん。私は、3日先くらいまでなら普通に見えるよ」
「えっ、そんなに!?」
「でも別に、見えてうれしいことばかりじゃないしね」
橘さんは、淡々とした声でそう言った。
「誰と仲良くなるとか、テストの点とか、次にどんな言葉が返ってくるとか……全部、見えちゃうと、なんだか“自分”がいる意味がなくなる気がする」
俺は、少しだけ返答に困った。
だって、俺にとって未来視は、ちょっとした娯楽だったから。
未来を知って、それと今を比べる。そのズレや意外性を楽しむのが、俺の癖みたいなものだった。
でも、橘さんは違う。彼女にとっては、未来視は日常から“驚き”や“偶然”を奪う力なのだ。
「でも——」
橘さんは、少しだけ顔をゆるめた。
「春野くんと話す時だけ、ちょっと未来が読めなくて、楽だよ。何が起こるかわからないのって、悪くないんだね」
「……うん、わかる。俺も同じ」
お互いだけが、見えない。
未来視を持つ俺たちにとって、それ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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