春野 湊
読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
春の光がガラス窓を通して差し込んでくる。教室の机の表面が、うっすらと白く輝いて見えた。
高校二年に進級してからまだ数日。
俺、春野 湊は、新しい教室の空気にも少しずつ慣れ始めていた。
「春野くんって、けっこう喋るタイプだったんだねー」
「うん、もっと静かな人かと思ってた」
休み時間。
クラスメイト数人と、昨日の自己紹介や部活の話で盛り上がっていた。
俺は無理に笑わなくてもいいくらい、このクラスに自然に馴染めている。
理由はひとつ。——未来が見えるからだ。
たとえば今日、この会話が起きることも、席替えでどこに座るかも、全部わかっていた。
俺の未来視は、手をかざすように意識すれば、数分先から数時間先までの出来事が、ぼんやりとイメージとして浮かんでくる。
便利すぎて、ちょっとズルい。でも——
(……うん。だいたい合ってるな)
俺は、脳裏に浮かぶ“未来の記憶”と、今の出来事を照らし合わせる。
たとえば——
あと3分後、斜め前の男子がくしゃみをする。
その1分後、先生が「黒板消してくれる人〜」と言う。
誰かが「あ、はい」って手を挙げる。
そんな取るに足らない予知でも、俺にとってはちょっとした『未来との答え合わせ”ゲーム』だ。
「当たった」「外れた」。そんなことを心の中で繰り返していると、飽きるどころか、むしろ人間関係がちょっと楽しく思える。
だって、未来がどうなるか知っていても、そこに向かう過程は変えられるんだ。
俺はそこに興味がある。
未来を変えるためじゃない。
ただ、未来と違う“今”を味わってみたいだけ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
また、改善点なども指摘していただけると、嬉しいです。