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神々と共闘する流れに…転生先は、摩訶不思議19  作者: iyori
19 責任の所在とは?
1/2

フラン学園都市に無事に入学を果たしたが?

怒涛のフラン学園都市の学生生活が始まった!


舞い込む難題にトモルシード達がどう対処するのか?

フラン学園都市のスペイ王国の寮で、Sクラスに付いて

考えを巡らせながら

入学式を迎えた。


セシリアとジルグフリードの俺の2人の配下達は

嬉しそうに


「フラン学園都市の学園創立以来の大快挙ですよ。」


と盛り上がって居るが?

果たして、それがこれからの学園生活に平和な時間をもたらす結果とは?

限ら無いのでは?


とも考えられる。

今日から入学式後

新たに新設されたSクラスの

教室に通う俺とドラニちゃん

にセシリアが


「そろそろ転移陣が有る

1階の部屋へ参りましょう。」


スペイ王国第3王子

ジルルシーク兄上達の転移後に、俺達4人がフラン学園都市の学園に通うルールらしい


クラス編成テストでの出来事は、ジルルシーク兄上の耳にも入り呼び出しを受けて


「一体全体何をやらかした

のか!?」


と問われて……………


ありのままの事実を伝えれば


「母上から、トモルシードとドラニちゃんは、想像以上だとは……聞き及んでいたが?


真逆?


英雄の4人を倒して

仕舞うとは………………」


と頭を抱えながらも

Sクラスの新設を学園長からの署名入りの証書を見せると


「何と!

名誉な事を……

成し遂げたのか?」


と賛辞されたが、

Aクラスのジルルシーク兄上には、気不味さを感じたのだった。


そのジルルシーク兄上と

嫌でも転移陣で顔を合わせるのだから……………


4人揃って1階の転移陣の部屋に入れば


「おはよう。

トモルシード!

ドラニちゃん!」


と挨拶されて


「おはようございます。

ジルルシーク兄上。」


と返答すれば………

ドラニちゃんは?


「我は、

Sクラスに成ったぞ!


トモルシードの兄さん!」


と小さな胸を張りながら

ジルルシーク兄上に物申す。

行き成り何て事を!

と肝を冷やしたが、ジルルシーク兄上は笑顔で


「ドラニちゃんとトモルシードは、スペイ王国の立役者だなぁ。」


と笑顔でドラニちゃんと

ハイタッチしたのだから?

ジルルシーク兄上は、

俺達2人に対して

悪い感情を抱いていない様子に、心から良かった。

と思ったが、側仕えや護衛騎士の反応は?


とジルルシーク兄上の配下達を観察しても、愛想笑いでは無く

正直に迎えてくれている

と感じて、少しだけ安心した。


ジルルシーク兄上が転移陣からフラン学園都市の学園の門に、転移後には

俺達4人が転移する番だ。


転移後、学園の門から出た俺とドラニちゃんに視線が

殺到して来た。

ざわざわとした小声の中には


「あんな弱そうな者達が、

新設されるSクラス………

嘘だろう?」


と言った批判的の声も聞き取れた。


「トモルシードよ!


陰口しか出来ない様な者達の戯言等、気にするなよ!


我等は、実力で勝ち取った

のだから、堂々としろ!」


とドラニちゃんに注意され

それもそうだなぁと開き直れた。


各国の王族達は、第一会場で

その他の学生は、第二から

第四会場に、分かれて

入学式と学園長の挨拶を

聞く事になる。


セシリアとジルグフリード

とは、此処で一旦別行動に成った。

ジルルシーク兄上とドラニちゃんと俺の3人は、第一講堂にて、校長自身の話を聞く。


他の講堂には、巨大スクリーンにて、学園長の話しが映し出されていたらしい。


「本校創設以来の快挙が

入学前クラス編成テストにて、起こったから………


新たに本校にスペシャルのSからSクラスの新設を、

今年度から設けた。


取り敢えずは、スペイ王国のトモルシード君とドラニちゃんの2名からだが!?


Aクラスでの最優秀者には、

Sクラスへの昇格者の検討も、新たに考慮すべき事に

成った。


他の学生達もこの学園で、

4人の英雄達に認められれば、Sクラスへと昇格可能だから頑張りなさい。」


と学園長の話を引き取り

4人の英雄達が檀上にて、


「学生の諸君の健闘を祈る。」


それにて、入学式が終わった。


俺達の前に?

クラス編成テストの時の

女性教師がよって来て。


「貴方達2人の教室への案内は………私が責任を持って

お連れします。」


と申し出た。断れない状況だと判断して、女性教師の後にドラニちゃんと俺は付いて行く。


5分後に到着した教室は、

急ごしらえとは思えない程

豪勢な造りの立派な教室があてがわれた。


教室の座席の数は?

俺達二人以上に用意されている。

他の生徒もSクラスに昇格したのかなぁと思われる。


4英雄の技巧派ナポリオンと

肉体強化で強化している

アレクサンダー。


細剣の武闘派、マリーナ アントワネットと………

俊敏性が得意なクレサ パトラが教壇に立ち


「まだまだ実力不足ではあるが

トモルシード君とドラニちゃんとの特訓で物に成りそうな


3人を、急遽Sクラスに加入させたいが………2人の意見も

尊重するべきだと、結論が出た。


その方達、入って参れ!」


2人の学生は、俺よりも高学年の女生徒が2人、そして何とジルグフリードが教壇の前に立ち


「日頃の鍛錬のおかげで……

トモルシード王子とドラニちゃんのSクラスへの昇格を打診されました。」


驚きを隠せない俺は、


「本日の朝まで何もジルグフリードは…………進言しなかったでは無いか?」


とジルグフリードに問えば


「私も自分のクラスへと

戻って直ぐに打診されたのですよ。」


剣豪の息子である事は、知っていたが………まさか行き成り


Sクラスに昇格しようとは……


思いも寄らない事実だった。


後の2人からは、敵愾心しか感じない


「本当に4英雄達と互角の勝負をしたのか!?

甚だ疑問ですね!」


と文句を言われても…………


「俺達を心配しての言葉だから仕方無いが……………

正直に申せば、2対1でコテンパンに殺られたよ。


トモルシード君の実力とドラニちゃんは、剣聖や剣王レベルだと、手合わせした本人が感じた事実に間違いは無い。」


と4英雄達が!?

生徒達に自分達が敗北した

事実を語って見せれば………

2名の生徒達は…………


「噂は……真実だっのか!?


今だに、信じられないが

本人達がそう申されているのだから……………」


落ち込む2人に対して

ドラニちゃんは、追い討ちをかける。 


「その方達が教師では、


何も学べないのでは無いのか?」


くっそー!

ドラニちゃんへの注意喚起を疎かにして締まったと、考慮し……… 


「4英雄の先生方は、


新たな剣を新調したのだから……………


剣の装備は、十分にレベルが上がっているよ。


きっと?教わる事も有るはずだよ。」


とフォローした筈が、

余計に4英雄達を

追い込んだ結果に成ったが


「勝負は勝負!


実際に完全に殺られたのだから………


言い訳は、見苦しい!」


と4英雄の一人

筋骨隆々のアレクサンダーが

全面敗北を認めた。


そして新たな女学生2名に対して…………


「各々自己紹介を、始めなさい。」


マリーナ アントワネットに

告げられて


「フラン学園都市国家出身!


4学年のジャンヌと………

申します。


宜しく頼みます。」


と頭を下げて、自己紹介したが………俺とドラニちゃんに対する不信感までは、どうやら気が回らなかったらしい。


金髪の髪の毛を後頭部で、ポニーテールでまとめた

蒼瞳に気概を感じさせる

美形のスラリとした身長は、

前の世界のパリコレを連想させるモデルみたいだと………

第一印象を持った。


続いて


「イタリア王国第3王女

アテネと申します。


どうか宜しくお願いします。


ちなみに、3学年生です。」


と丁寧な口調とは、裏腹に

その視線は挑発的であった。


ジャンヌと同じ様に

蒼い瞳に金髪だが、身長差があり、まるで姉妹の如く感じ取れる。

顔立ちは、まだ少し幼さの残る可愛らしさがあるのだが……

その瞳には、敵愾心を…………



「スペイ王国トモルシード王子の配下名をジルグフリードと申します。


2年生では、ありますが!

トモルシード王子と

ドラニちゃんへの無礼は

私が決して、許しませんよ。」


学年が上の女学生2名に

ジルグフリードは、美丈夫な瞳の矛先で

睨みを効かせながら

挨拶をした。


ヤバイなぁ。入学初日で

騒動の中心人物に成った

俺とドラニちゃんだが、


「スペイ王国の賓客の

ドラニちゃんだ!


4英雄達よりも強者である

我に喧嘩を売るならば………


容赦は、しないぞ!」


とジャンヌとアテネに対して

完全に、上から目線で威風堂々と言ってのけた。

強心臓さに…………場が荒れる

のを、恐れて


「スペイ王国第4王子

トモルシードと申します。


折角フラン学園都市から

新設されたSクラスなのだから、互いに吸収すべき点が


有るでしょう………

どうか仲違いせずに

楽しく学びましょう。」


と返答の自己紹介を終えた。


自己紹介が終わった後に

ナポリオン先生が


「本日は、都合が合わず欠席だが、チャイ帝国の王子の

嬴政と双子の妲己を

Sクラスに加入させる?

つもりだから、皆んなはそのつもりで居てくれると助かるよ。」


うわっ〜チャイ帝国って

前の世界の中国だよなぁ

俺の知識として残っている事

嬴政と言えば、始皇帝の名で


妲己とは、三代悪女として知られた人物では無いのか?


それ程、チャイ帝国の歴史について詳しくは無いが…………

名前を聞いただけで、

一悶着有りそうな名に

俺の思考が、フル回転し


出た結論が、アクの強そうな仲間に対して、今からこのSクラスの前途多難さに脳内物質が悲鳴を上げる。


頭と胃がキリキリと痛みだす始末だった。


闘技場と魔法専用の会場を

クレサ パトラが、説明するが…………その場が1番遠くへと

作られる予定だった為に………


「Sクラスだから………変に目立つ者達が、移動すれば

あらぬ噂で?

Sクラスの仲間に迷惑が降り掛かる恐れを

鑑みて……………


このSクラスから直接移動出来る闘技場を、

新たに作り出した方が………


周りの視線にさらされるよりも、必ず敵愾心は減ると想定するが、皆の意見も聞いて

検討したく考えています。」


と………俺はこのクラスに

直通可能な闘技場と魔法使用可能なドアを錬成する考えを述べた。


他のクラスとの差別化を考えたのも、理由の1つである。


Sクラスが、他のクラスや教師達から隔絶した環境にあった方が、周りとの衝突から回避されるのでは無いかなぁ?


と判断した結果の発言だったのだが……………


「トモルシード君が!?


自分自身で?


闘技場を…………そんな!?」


と、ナポリオンが呟いた。

同時に、クレサ パトラが


「フラン学園都市の入学前から、英雄である私達教師の最高峰よりも………


強者たる人物ですから!


私達が、識り得ようも無い

方法での闘技場の構築方法が、有るのかも?」


と4英雄の教師達全員が

俺に視線を向けた。


その視線にに釣られるように

ジャンヌとアテネも俺に

視線を…………


ジルグフリードだけは、

フラン学園都市のスペイ王国の寮で、実際の闘技場を観ている為か、自信あり気に


「トモルシード王子の

偉大さを、見せ付けてやりましょう!」


と張り切って俺に期待に輝く瞳をしながら、訴えかけて来たので………


「4英雄の先生方と学園長の許可さえあれば、


自分がこのSクラスの教室から、闘技場を2箇所直通可能に成る建造物を用意しますよ。」


と答えた。


「学園長の許可は、今直ぐに私が責任を持って交渉して来る!なので後は君達に託す。」


とナポリオン先生が豪華なSクラスから、飛び出して行った。


するとアレクサンダー先生が


「このクラスのどの辺りに

配置するのだ?


窓側は無理であろうから……

クラスの後方か?


もしくは、教団側を整理する方が良いのでは無いのか?」


他のマリーナ アントワネットとクレサ パトラに問い出した。


すんなりと受け入れる英雄の教師達に、不安を感じたので


「今回は、Sクラスを新たに創設して頂いたので、

その御礼として自分が用意しますが……………


この方法には、最上品質の

巨大な魔石が必需品であり

重要なのは、魔力量の消費量が過多すぎます。


個人差はありますが………


かなりの消耗を伴いますから、今回だけだと…………


理解して頂きたい!


約束して下さいよ。」


と釘を刺しておいた。


4英雄の内の

アレクサンダー

マリーナ アントワネット

クレサ パトラ

の3人が

俺の条件を飲みながらも


「まぁ確かに、このSクラスと直結する闘技場を


新たに建設するのならば……


我々教師に取っても


この上ない状況に値するので……………」


とクレサ パトラ先生の話をアレクサンダー先生が、受け取りながら


「Sクラスの改善に協力してくれたならば…………


君の条件を全て飲もう!


で………使用する最上級の魔石とは?


どれ程の魔石なのか?


拝見出来ないのだろうか?


一見の価値は、有る……………」


とアレクサンダー先生から

問われて、魔石を見せて

どれだけの品質の魔石なのか


理解して貰った方が!?

先の展開を考慮した場合

無理難題を押し付けられる事は、この先無いだろうと判断して収納魔法から、大怪獣のの魔石を取り出せば

1つ50センチ以上の魔石に


4英雄達も、ジャンヌとアテネもその眼を疑う様に

瞳を擦りながら

最上級品の巨大魔石に釘付けに成り


「こんな魔石は、見た事が無いぞ!


ダンジョンの魔物や魔獣では、あり得ないし1階層や

2階層のフロアボスの

魔石よりも、数段上の品質だと………感じ取れるが!?」 


と戸惑う先生方に


「この魔石が、どれだけ貴重な魔石なのかを、理解してくれたのならば…………


お見せした甲斐が有りましたよ。


そんな凄い魔石を今回Sクラスの為だけに、


魔力消費を考慮しながら

錬成で新たな闘技場を

構築します。


他の先生方には、御内密に。」


と話していれば、ナポリオン先生が、フラン学園都市学園長の許可を得た証明書を手に

Sクラスに飛び込んで来た。


その許可証には、確かにフラン学園都市の学園長のサインが入っており。

俺は、魔石の錬成に取り掛かった。


ドアの錬成と闘技場の規模を

同時に錬成するイメージを固め、闘技場に相応しき赤色のドアを錬成し、このドアには

俺の許可無しでも出入り可能にする為に、マントに着用するバッジも追加で練成する。


本来ならば、俺の許可無くドアには入る事さえ出来ないがこのバッジは、その応用編で

マントに着用しているだけで

ドア内を往来可能になる。


ドラニちゃんとジルグフリードは、俺が許可を与えているので、本来は必要無いのだが


周りを納得させる為に、バッジを渡し4英雄達の教師にも5個のバッジを渡し

ジャンヌとアテネにも渡す

チャイ帝国の嬴政と妲己の双子には、先生達の立会の下に

渡す事に決断し


赤いドアを全員で潜れば

第1闘技場よりも立派な

自動修復可能な闘技場を

完璧に完成させ驚愕された。


学園長にも、閲覧者として

見学可能にする為に、

バッジを5個渡す事を

即決で判断しバッジをナポリオン先生へと丸投げした。


ナポリオン先生は、その5個のバッジを手にしながらも

俺の言葉の意味を理解したのか………


踵を返して、学園長への報告とバッジを手に


「学園長への説明は!?


このナポリオンに任せてくれ!


上質な魔石と魔力量の消費の関連性も学園長に報告して来るよ。」


これで、何かに付けて

フラン学園都市の学園の

拡張工事を、安々と頼まれる事は、多分無いだろう。


俺は、目に見える様に

普通のポーションを3本

皆が見守る中で、一気に飲み干し収納魔法から同じ大怪獣の魔石を取り出して


練成で今度は、青いドアを創り上げた。


闘技場との変化を付ける為に

ドア内を属性別の結界を張り巡らせた。

炎 風 光 土 水 木 

それぞれの魔法壁の結界を

張り巡らせて………区画分けを

して見るだけで判別可能に

出来る様に、区分けした壁に

それぞれの属性の名を刻んだ。


Sクラスの教壇の右側に闘技場を赤いドアで

教壇の左側に魔法専用の場所

を青いドアで


大怪獣の上質な魔石で創り上げて教壇の左右に貼り付けた。


その工程を目の当たりにした

ジャンヌとアテナが

自分達との余りにも違うレベルを見せられたからなのか


何だか尊敬の念を持たれた眼差しで、俺を見て居る気がした。


Sクラスの雰囲気が、改善された事は良いのだが………

急激に変化した2人の視線には

正直戸惑いを覚える。


その視線を無視しながら

普通のポーションを今度は、

5本取り出して、英雄の教師達の目の前で飲み干してから


「英雄の先生達が、見て感じた通りに………


上質な魔石とポーションだけでも………


相当な金額の価値が必要で


自分自身の魔力量の消費も


想像出来るはずです。


安易に、僕に期待を抱かないで頂きたく思います!」


と英雄の先生達に語りかければ?


「剣聖であったとしても?


無理難題な出来事だった!


目の前で見た光景が、信じ難い事実であった………


本来ならば、フラン学園都市の学園サイドが用意するべき事態だったのだから…………


これ以上学生であるトモルシード君に、無理を強いる事は

決してしないと……約束する。」


と英雄の先生達が各々が顔を見せ合いながら、誓ってくれたので、一安心しその言葉に頷いて見せて、返答した。


その姿を見せられた英雄の先生達が、勝手に気を回して


「アレだけの偉業をしたのだから………


今日の所は、他のSクラスの教員の紹介だけに………


留めておいた方が?良い。」


と戻って来たナポリオン先生と相談して、教室から去って行きながら


「Sクラスの魔法科の教師達を、本日は紹介だけしたいので、暫くの間自由時間とする。」


英雄の先生達が全員Sクラスから出て行った。

あっ!この状況は?不味い。


フラン学園都市国家の

ジャンヌ

イタリ王国の第3王女

アテネ

との間に沈黙が生まれるかも

と懸念したのだが…………


「スペイ王国第4王子だと言う事は?


お亡くなりになられた第1王妃と私は、親類関係にあたりますから?


遠からず、トモルシード王子とは、親族関係では無いのでしょうか?」


とイタリ王国のアテネから

急に問われて、思考加速で

そうかも知れないなぁ。

イタリ王国の宰相が亡き母上の父上で、俺とルシファード皇太子のお祖父様に当たる人物なのだ。


「そうですね。

イタリ王国が亡き母上の母国であり、スペイ王国の皇太子であるルシファード兄上と

自分は…


確かにイタリ王国との関係は深い物だと感じて居ますよ。」


アテネに対して返答すれば


「ちょっと!アテネさん。


抜け駆けは、酷いですわよ。

信頼関係を築くのでしたら

私くしも参加させて貰わなければ……………


あの誓を破る事に成りますわよ!」


ジャンヌがアテネに詰め寄って宣言した。

何の事だか分からない

俺とドラニちゃんとジルグフリードには???

理解不可能だったが、当の本人のアテネの顔色が

急変した。


2人だけで、何かの誓約を交わして居たのだろうと

感じ取れた。その証拠に


「こちらのフラン学園都市国家出身のジャンヌさんも

トモルシード王子の遠い親戚筋にあたるのですから、、、


出来れば、今後共同じSクラスの者同士仲良く出来れば

良いのですが?」


と自分の隣にジャンヌを呼んで、俺達に紹介する形を取った。


まぁ敵対するよりは増しだし一応血縁関係なんだしと自分に言い聞かせて


「それでは、ジャンヌ先輩とアテネ先輩これから宜しくお願いします。」


と軽く頭を下げて頼めば!!


「ちょっと待って下さい。

あんな凄い魔石の錬成をし

Sクラス創設の立役者に

先輩と呼ばれては…………


そうですねぇ。


英雄の先生達も

トモルシード君と呼んでらしたので、出来れば信頼の証として私くし達も同じ様にお呼びしても?構いませんか?」


それは?どうだろうか?

仮にも、入学したての生徒が

上級生に対しての礼儀として

他の生徒達から批判的に映るのでは無いだろうか?


「それならば、私達の事も

アテネさんジャンヌさんと

呼んで下さいませ!


実力主義のフラン学園都市では、学園内では身分の上位者よりも実力の上位者の方が

上の存在として、優遇制度が確立して居るのです。」


とのアテネさんの言葉にドラニちゃんが、直ぐ様反応し


「成る程なあゝ


それでは、我が実力者としてSクラスを支配する事は


当然の権利と言う事だなぁ。


トモルシードよ!


ジルグフリードも異議はあるまい!」


と小さな胸を張って、反り腰でそう言い放った。


不味いな!

ドラニちゃんが頭に乗って

良好な関係性を築きかけた

ジャンヌさんとアテネさん

との関係にひびが入り

音を立てて崩れ落ちると

焦ったが?


「ドラニちゃんさんが

Sクラスで1番の実力者ならば、好きにして下さいませ。」


ジャンヌさんからの申し出に対してドラニちゃんは


「我は、ドラニちゃんだ!


我が名に様とか殿とかさん


を付ける事は、決して許さぬぞ!」


とジャンヌさんの最大限の譲歩の言葉を切って捨てる

ドラニちゃんの発言に俺は

頭を抱えながらも


「実力者と言うのであれば

確かにドラニちゃんの方が

自分よりも格上的な存在に

違いは無いのですよ。」


とドラニちゃんを援護しながら何とか平和的な解決策を模索したが…………


「その方等の実力は、ジルグフリードと余り大差は無い。


我の本気の実力に1番近いのが、トモルシードだからこそ

ソナタ等2人は、ジルグフリード同様に呼び捨てとする。


トモルシードの事は、好きに呼ぶと良いぞ!


良いな!

ジャンヌ。

アテネ。」


とまるで決定事項かの様に

ドラニちゃんが無言の圧で

2人を睥睨すれば


尊敬する英雄達を1人で2人倒したドラニちゃんの意見を

飲んで?


「承りました。ドラニちゃん!


スペイ王国の王子の事は、

トモルシード君と呼びましょう。」


とジャンヌさんもアテネさんもドラニちゃんの提案を何故か? 素直に受け入れて

俺の呼び名が決定事項として

トモルシード君と成ってしまったよ〜。


ガックリと肩を落とした状況下で、ナポリオン先生と

マリーナ アントワネット先生が魔法科の教師達2人を同行させて、教室に入って来た。


自己紹介しながら?

魔法科の講義もついでとばかりに始まった。


「君達Sクラスだけを担当する者で私の名がソクラテース


で後ろの彼の名がフレミングと言う名である。


何でも、魔法科の実践教室を既に………創り上げた傑物が

居ると聞いて参ったが、違うのか?」


意気込むソクラテース先生に対して、マリーナ アントワネットが小さく囁いた。


「あなた達では、不可能だった魔法科の教室に属性別の


部屋を用意して見せたのは

紛れも無く彼トモルシード君

が作り上げたのですよ!」


と言い切った。そして不具合が無いか?調べて来いと命じら仕方無く青いドアから

入ろうとしたので、2人の教師に通行可能になるバッジを渡せば、二人はドアの中に姿を消した。


30分後青いドアから出てきた魔法科の教師

ソクラテース

フレミング

の二人は………


「素晴らしい。誠に素晴らしい!

何と言っても、属性別に

区分けされて尚且つ

結界が施されている事だ!


あの青いドアを、君1人で

錬成で創り上げたとは?」


と2人の魔法科の教師が

絶讃して来る。

英雄の教師が、止めに入らなければ………


俺に質問攻めが………

続いていた事だろうが………


「闘技場と魔法科の専用場を創り上げたばかりなのです。


トモルシード君の体調を

教師たる者が、乱す行為は

このマリーナ アントワネットが許しませんよ!」


その一言で、我を取り戻した

2人の魔法科の教師が


「すまぬ。

あの様な魔法と錬成の融合した建造物を目にした事が

無かったので………興奮した。」


と俺に詫びを入れて、一息ついてから


「今日の授業は一旦此処で


終える事に、決定した。


トモルシード君は、自分の体調を整える事を優先しなさい。」


とフレミング先生から告げられて!?

入学初日が終わりSクラスは

帰りなさい。という結末になり、俺とドラニちゃんとジルグフリードは校内見学さえせずに………スペイ王国の寮へと

戻った。


元々入学式の時は、

午前中だけらしく

昼過ぎには、セシリアもスペイ王国の寮に戻って来て


「これでも?急いでスペイ王国の寮に戻ったのですが?」


と俺に謝罪するが…………

俺達の方が昼前には

完全にスペイ王国の寮に戻っていたから………

そんな事で謝罪などしない様にとセシリアに言い聞かせて


実はジルグフリードが

俺と同じSクラスへと

その剣技で昇格して来た事実を語れば


「エッ! ジルグフリードがトモルシード王子と同じクラスに!?」


と阿呆な子供でも見つけた様な眼差しでセシリアは

ジルグフリードを見て


「くれぐれも!

トモルシード王子の足だけは、引っ張ら無い様に………」


とジルグフリードに忠告を与えてから、御茶の準備を始めた。


そして、お茶を楽しみながら

今後の展開をどう行動していく事が、良いだろうか?

と話し合ってトールの意見にも耳を傾ける。

成るだけ悪目立ちせずに

学園生活を楽しみたい。


昼食後からは、闘技場にて

ジルグフリードとセシリアの

特訓に並行存在魔法で

レッド ブルー グリーン

を付けて指導させ


俺自身は、ドラニちゃん

トール ネメシスとの

対戦式練習を楽しみ出した。

夕食の時間まで、

チーム戦をしたり

反省会をしたり

勿論、ジルグフリードとセシリアにも休憩時間を与えたり

俺達の試合を観戦させたり

して剣技の向上意欲を刺激する。


夕食後も闘技場にて

同じ様に特訓を開始する。

主にジルグフリードとセシリアの実力を上げる事が、目標設定であるが……………


指導するばかりで、何もしない者から教わるよりも

自分達よりも激しい練習を

している者からの指導ならば

素直に受け入れるしか無い

だろうから………

ジルグフリードとセシリアには、頑張って欲しい。本気で


食後は、2時間程で全体練習を切り上げ応接室のドアから、全員で出てセシリアとトールが準備してくれた飲み物を飲みながら、少しだけ

話し合ってから、俺は寝室へ向かい明日に備えて、就寝する。


フラン学園都市の学園では、週休2日制らしいが、単位さえ習得すれば、自動的に進級可能らしい。


休日にダンジョン攻略に励むとして、教会に神々が地下牢獄に閉じ込められている予想は、消滅した。


新たな各国のダンジョンの地図を元に計画を練り直す必要があるのだが、

ヒントさえも今はまだ掴めていない。

 

学園生活もある事だし………

今日のところは就寝し明日に備えようとふかふかのベッドに潜り込んだ。


目が覚めて、応接室の扉を開けるとトールが、鼻歌混じりに朝食の準備をほぼ終えようとしていた。

セシリアとジルグフリードとネメシスの4人で、楽しげに


いつの間にかネメシスまでが

側近の様な仕事を?


理由として考えつくのは?

トールの狡猾なまでの作戦にネメシスがはめられたのでは

ないだろうか!

経緯までは、測りかねるが……


それでも、楽しげにして居るのだから俺も気にしない事にして、テーブルの椅子に座れば


「お早う御座います。


トモルシード王子。」


とセシリアに朝のコーヒーを

入れてもらう。

セバースの娘だけあって

俺の好みを既に把握して居る

コーヒーの香りを楽しみながら一口飲めば

感心させられる。


そこにドラニちゃんが、まだ眠そうに眼を擦りながら


「我にも、飲み物を頼む!」


と言いながら俺の隣の席に座ると


「ドラニちゃんには、


ホットミルクでしたよね。


トール?」


とネメシスがホットミルクを

ドラニちゃんに提供する姿は

同じ元神様の立場なのに………

と思いながらも


「お早う。ドラニちゃん。


あんまり学園生活を不穏な


空気に、

今日はしないでくれよ!」


と昨日のSクラスでの言動に

釘を刺しておくが?


ホットミルクを啜りながら


「嘘を発言したつもりはないが、トモルシードが困るのであれば多少なりとも


言動には、一応注意するが。


争いは好まなくとも、引けない事もあるぞ!」


と返されたので、


「実力の差を見せ付けて相手を黙らせれば良いんじゃないか?


例えば、ドラニちゃんの背に担いである白剣を持ち上げてみろ!とかならば


俺以外のSクラスの者達には、教師たる者の英雄の4教師でさえも不可能だろう。


それでも実力差が理解出来ないのであれば実力行使を俺の方から頼むよ!」


と頼めば、早速朝食に貪り付きながら曖昧な返事を返す

ドラニちゃんには、不安しか覚えない。


「それと、トールとネメシスにはSクラスの専属をと学園長に直訴するつもりだ。

俺とドラニちゃんの相手に相応しいのが元神様の二人だけ……………だと言う事と、


臨時でSクラスの教師を任された場合のメリットを提示するつもりだよ。

そうなれば、フラン学園都市のスペイ王国の寮で、留守番をする事も無くなり

一石二鳥だと思うけど?


二人の気持ちは?

どう思って居るのか聞かせて

欲しい。」


と二人に問うと


「留守番の重要性は理解していますが………


やはり、トモルシードさんと同じ行動出来ない事が、

不安の種でもありますよ。」


と真面目に答えたトールに対して


「その気持があるならば、

学園長に提案してみるだけの価値はある。


上手くいけばの話だが………

やってみるつもりだよ。」


と話が進んだ頃には、登校する時間に成った。


俺はドラニちゃんと

セシリアと 

ジルグフリードを

連れて自室を出て

フラン学園都市の学園の門への転移陣へと急いだ。


今日は、ジルルシーク兄上達よりも速く来れた事で

ジルルシーク兄上を待たせる事も無かった。


挨拶後にジルルシーク兄上が自分の配下達とともに

フラン学園都市の学園の門へと転移陣で転移した後に

俺達も転移して門前に出た。


直ぐに此の後に控える学生達の為に学園へと歩き出す。


俺達に対しての視線は有るが

有名税として、堂々とし

学園までの道を歩く。


絢爛豪華なSクラスに入ると


「お早う。トモルシード君

ドラニちゃん。」


とジャンヌさんに挨拶されて


「お早う御座います。ジャンヌさん。」


と軽く頭を下げて挨拶する。


ドラニちゃんは堂々と


「早いな。ジャンヌは………」


と返すが、当の本人は

笑顔で見せてコクリと頷く。

ドラニちゃんの呼び捨てを

実力至上主義の校風を完全に

理解した瞬間だった。


だが、俺にとっては元体育会系での上下関係を経験していた事から、些かの抵抗感が拭えない。


一番後ろの席に座り

まぁドラニちゃんは

ドラニちゃんで

俺は、俺と割り切り


「ジャンヌさんは?

イタリ王国との関係があって、アテネさんと親類関係だと昨日聞きましたが?


どの様な間柄になるのですか?


ちなみに、僕はイタリ王国の宰相の孫だとは、存じて居ますし、祖父の兄上がイタリ王国の国王様だとしか?


理解していないのですよ。」


とジャンヌに話しかける。


「そうでしたか。


簡単に説明すると

イタリ王国国王の姉が

私くしの母上になり


イタリ王国国王の第2王妃の子供がアテネになります。


だから私くし達は、血縁関係になり簡単に表現すると

トモルシード君の叔母に成るのですが…………


この年齢で、叔母と呼ばれたくは無かったので

アテネと協力関係し

トモルシード君を牽制していたのですよ。」


そう言えば、亡くなった母上は、フラン学園都市の学生時代にルシファード兄上を身籠って、卒業後に俺を授かったとセバースから聞いた覚えがあった。


その状況を考えると

ルシファー王との婚姻関係が

10代半ばで、直ぐにルシファード兄上を………

出産したのか!?


第1王妃として、20代で

俺の出産後1…2年後には

第2王妃の策略で呪術で

衰弱死にて殺されたのか!


余りにも若過ぎる。

俺の記憶の中には、第1王妃の母上の記憶の欠片さえ無い

のだから…………思考加速で

考え込む俺に対して


「突然の事実に動揺されるのも無理は、ありませんよ。


血縁関係と言っても国が違えば、関係性が希薄に成る事は珍しく無いのが実情です。


それに余り年齢が変わらないのに、私くしも叔母様と

呼ばれたくはありませんもの……………フフフ。」


と微笑むジャンヌに

それは、俺も恥ずかしいので

勘弁して欲しい事でもある。


初日の敵愾心が嘘の様に

微笑むジャンヌを見れば

否が応でも分かってしまう。


その時に、アテネが教室に入って来ながら


「お早う御座います。

私の居ない間に、何だか仲良しに成っていませんか?」


とアテネからの指摘に対して


「私くし達の血縁関係を

トモルシード君に教えて

差し上げましたよ。」


「エッ! もしかして………

私がトモルシード君の叔母様だと………証したのですか!」


ムッとしながらアテネが

ジャンヌを睨む。


「遅かれ早かれ、トモルシード君は、イタリ王国の宰相が祖父と御存知でしたから……


宰相の兄上が国王であるアテネの父上だと言う事実には

直ぐに気付かれましたわ。


それに、昨日血縁関係だと

トモルシード君に伝えたのは、貴方では無かったかしら?」


その事を指摘されては………

アテネの反論もそこで終わった。


例え叔母様だとしても

年齢が少しだけ上の女性を


叔母様 とは言うつもりも無いし、言われる方も俺だったなら嫌なのだから

仮に叔母様と呼んでほしいと

懇願されてもお断り案件だ。


そんな話の中に、英雄の先生達が入って来て


「今日から、お前達二人も

Sクラスに昇格したのだから、自己紹介しなさい!」


と命じられて二人の男女が教壇の前に立った。

4人の英雄達に促されて………


「チャイ帝国の第5王子

嬴政である。


新入生の為に創設されたSクラスだが!


僕は認めない!3学年の先輩でもある。」


昨日と同様に敵視されている

困った物だが幾ら実力至上主義の学園でも、反骨心は有る


「今年から3学年の妲己よ


嬴政と同じくチャイ帝国の

王女です!


このクラスを手中に収めると宣言するわ!」


ヤバイこんな挑発的な言動にドラニちゃんが、黙っていられる訳が無いとガバッと隣の席のドラニちゃんを思わず見たのだが?


何食わぬ顔をして


「言い包めるのでは無く!

実力の差を見せ付ければ

問題無いのでは?

トモルシードよ!」


何でも一言余計な事を発言しては、その場を荒らして来たドラニちゃんが…………………

貫禄と共に俺を宥める。


俺はチャイ帝国の双子に視線を向ければ


双子と言っても完全に別人だ


嬴政は、利発そうな精悍な面構えである黒髪黒瞳の冷静な頭脳派のイケメンだし身長も

178センチ程は有る。


妲己も黒髪黒瞳は、共通点だが身長は164センチ程で

その瞳の裏に冷徹さを感じさせる物があり………

クールビューティと言えば聞こえは良いが………

妙な色気?なのか?

を醸し出している。


「トモルシード!


格闘技場のドアへ通行可能なバッジを2人に

渡してやれよ!」


と冷静沈着にドラニちゃんが

声を上げて


「今後の遺恨が無い様に


英雄たる教師達も立会う様に!!」


と言い残して自分は、赤いドアから闘技場へと入って行った。


俺は、チャイ帝国の双子の嬴政と妲己にバッジを一つずつ手渡しして


「あのドアの先には、闘技場へと往来可能になる為に

このバッジをマントに装着しない者は、弾き出されて入れないよ。


見届人として、君達も来て欲しい。」


とジャンヌとアテネとジルグフリードと一緒にドアの中に入る。


Sクラス全員が闘技場に揃って、英雄の先生達も参加させ

ドラニちゃんが嬴政と妲己に


「チャイ帝国の双子よ!


我とお前達二人では………


勝負にも成らないのだ!


最低条件として我の白剣を


振りかざして見せよ!


それさえ不可能ならば


我の相手として不相応と見做す!」


ドラニちゃんが背中の大剣の鞘から白剣を抜刀し

剣舞を見せた上で、闘技場の地面に軽く突き刺してから


「この白剣を持ち上げて見せよ!


話は、それからだ!」


ドラニちゃんが条件を提示して、俺に対してウィンクしながらどうだ言わんばかりに

小さな胸を張る。


まぁこの条件ならば………

闘いに発展する様な事態は

避けられるだろう。

昨夜の小言が効いたのか?

其れ共ドラニちゃんの成長なのか? は判断不可能だが……


正直嬴政には、驚愕しか無かったのだろう。

Sクラスの教壇の隣にあった

赤いドアの中に入れば

行き成り巨大な闘技場の中に

自分と妹の妲己が居るのに

理解が追い付かない状況で

挑発的な条件を幼い風貌の

ドラニちゃんから告げられて


ハッと我に返った嬴政が


「ナッ 何が条件だ!


この程度の大剣ならば!


容易く!」


とドラニちゃんの白剣に手を伸ばした。

簡単に片手で持ち上げようとしたが!?


「何故だ!」


と零し両手で白剣を持ち上げようとするも…………………

ドラニちゃんの白剣は微動だにしない様子に妲己から


「何を遊んでいるのよ!

チャイ帝国の武器には、

そんな大剣よりも重い武器なら腐る程あるじゃない!」


とけしかけられる嬴政だったが……………………


スンナリとその場から離れ


「妲己もその身を持って知れ!

これ以上恥を晒したく無い。」


と身を引いた。

それに対して妲己は怒り心頭な程に、赤面しながら


「このクソ兄貴!」


と罵りドラニちゃんの白剣に

相対し両手で持ち上げようとして……………


「何なのよ! 信じられないわ!?この白剣に何か細工したんじゃ無いでしょうね!」


とドラニちゃんを睨むが

気にも止めずに!


「そんな小細工等、我には必要無いでは無いか?」


実力差を理解させるだけなのだからとドラニちゃんは

妲己に冷静沈着に答えてから


「チャレンジが終わったのなら、其処を退け!


ジルグフリード

ジャンヌ

アテネ

お前達もこの際だから

挑戦して見ろ!」


と言い出したので。

俺はドラニちゃんに小声で

呼び掛けた。


「急にどうしたんだよ?


3人は、既に俺とドラニちゃんに対して理解して居るだろ?」


と囁いたが………


「上に立つ者が、どれ程の実力者なのか?


知って置く機会を与える事も、必要ではないのか?

トモルシードよ。」


ドラニちゃんの意向にも一理あったので、俺は様子見すると決めた。


ジルグフリードが真っ先に

白剣の前に立ち

鍛え抜かれた体に力を全力で込めて両手で、白剣を抜こうとした。

がドラニちゃんの白剣は

その場から一切動かなかった。


大きな溜息と共にジルグフリードがその場から引けば………


「次は、私くしが!」


とジャンヌがモデルの様な

スタイルの腕を捲りながら

白剣の前で一度精神統一して

チャレンジしたけれども

矢張り白剣は動かせ無かった


「1ミリも動かせなかったのに?ドラニちゃんは?

あの白剣で剣舞を……………」


と呟いてからアテネにその場を譲る。

俺もドラニちゃんの白剣には

何年もの間苦労させられた事を思い出して、気持ちは判るぞ!と心の中で自信喪失に成らないか? と心配した。


アテネは、ジャンヌが持ち上げられなかった白剣を自分では、無理だとは理解しているが………

経験として、挑戦した。


「どれだけの実力の差があるのかしら?


教師である英雄の先生達ならば?持ち上げる事が出来るのですか?

ドラニちゃん?」


とアテネが問えば


「試してみるか?

アレキサンダー!」


と恐らく4英雄の中で1番の怪力の持ち主に切り出した。

何が目的何だよ〜

ドラニちゃんは?

思わず頭を抱えたくなる状況に俺の深い溜息が溢れる。


ヤル気を漲らせるアレキサンダーが、白剣の前まで歩いて行く。


俺とドラニちゃん以外の者達は、期待して瞳を輝かせながらアレキサンダー先制を応援して居る。


190センチオーバーの身長に筋骨隆々のアレキサンダーに期待するな!

と言うのにも、無理がある。


生徒の声援に対して

アレキサンダー先生にも力が入る。

ドラニちゃんの白剣を大きな両手で持ちながら

一瞬で自分の最高出力のパワーを込めて白剣を抜こうとした。


だが、矢張り白剣は動か無く

アレキサンダーの顔色が見る見る真っ赤に成ってパワーを込めた。

ドラニちゃんの白剣がほんの少し浮き上がりかけて…………


白剣は、結果的に真横に

ドスーンと倒れた。

ソレを見てドラニちゃんが


「少しでも動かせたから

白剣が真横に倒れたのだから!

アレキサンダーを褒めるべきだな。


これでも実力差に文句があるのならば!


其の身で以って味わう事に成るぞ!


フラン学園都市の学園が

実力至上主義であるならば

我を頂点としたピラミッドが、構築されるだろうなぁ。


我に次ぐ実力者は?

トモルシードと仲間の

トールとネメシス位の者達

だけだと判断するぞ!」


其の言葉に対して

4英雄の1人クレサ パトラが1言呟いた。


「ドラニちゃんの白剣を

もしかして?

トモルシード君ならば?

扱えるとでも………………」


クレサ パトラの言葉に対して、ドラニちゃんは黙したままに頷いて見せた上で!?


俺を伺いながらも?


「此処は1つ人間の可能性を魅せるべき時では無いのか?


そうすれば、トールとネメシスのSクラス専用の教職の話も………交渉し易く成る筈だ。」


ドラニちゃんの思惑が意外と

策士並みに凄いのだと

気が付いた。

フラン学園都市のカーストの頂点は、譲らないがトールとネメシスの学園への推薦は

協力すると、暗に物語っている。


「仕方が無いなぁ。


ドラニちゃんの白剣は、身体強化していても?


苦渋の判断以外は、なるべく使いたくは無いんだよなぁ。」


と一言添えて、アレキサンダーが倒した白剣を片手で持ち上げて、その白剣でドラニちゃんとは別の剣舞を魅せた。


そして、ドラニちゃんに白剣を返せば、ニヤリと笑いながらドラニちゃんは白剣を背中の鞘に収めた。


ドラニちゃんの白剣を片手で剣舞を舞った俺に対して

英雄の先生達を含めた全員が

言葉を無くして

茫然と笑いながら、拍手しているので………


「この結果から見た目や年齢では、芯の実力は測れない。


そこで英雄の先生達に相談があるのですが?」


とナポリオン先生に問う。

実力差を見せられたばかりなので、戸惑いながら


「トモルシード君の相談とは?

私で協力可能ならば………

相談には乘る事も厭わないよ。」


との返答だったので


「自分とドラニちゃんの仲間をSクラス専属の教員として、参加させられないでしょうか?」


英雄の4人が顔色を変えて


「自分達では、教師として失格と!


言いたいのですか!!」 


とマリーナ アントワネット先生が俺を非難するが………

アレキサンダー先生がその言葉を否定した。


「気持ちは判るが!

先程のドラニちゃんの試験にて、思い知ったよ!


ドラニちゃんとトモルシード君には………我等では、とても教えられるレベルでは無い。


それに対しては、こちら側から交渉するべき問題点だと

俺は思う。」


アレキサンダー先生の言葉にナポリオン先生も頷きながら

俺に対して話の続きを求めて来た。


「誤解させてしまった様ですが、英雄の先生達に取っても利用価値が有る話です。


先程ドラニちゃんが言った通り自分と同クラスの仲間ですから、その者達から同じ教師として違う観点からアドバイスを受けられるのは、

英雄の先生達だけでしょう。


実力者が多い程に周りは

その恩恵を受けられると

考えて居ます。

どうか考慮してみてから

返答をお待ちしています。」


と俺の考えを述べた。


「自分達の判断だけでは

決断出来る内容では無いので、学園長との会議を要請してみます。

結論は週末と約束します。」


代表してナポリオンがそう告げて、1人だけ闘技場から出て行った。


残った英雄の先生達も不安気に俺とドラニちゃんを見ているので……………


「Sクラスの皆んなは、

自分自身の剣を俺に見せて欲しい。

練習用の剣を今から創り出すからさぁ。」


と言ってから俺は、収納魔法からドアを取り出して闘技場の壁に貼り付けた。


「自分の剣を御見せするのは、構いませんが?


練習用の剣とは?


どういった意図があるのでしょうか?」


とジャンヌに問われて

アテネも同調する様に頷く


「説明不足だったな。

そうだなぁ〜

同じ剣で重量の異なる剣を

俺が鍛冶職で創り出して


レベルが上がれば、次第に重い剣で練習する。


そうして一定のレベルに到達すれば、身体強化の魔法で

君達の実力の向上を目指す。」


と説明するとジルグフリードは、スペイ王国の寮の闘技場を思い出したのだろう。


「あの特訓用の重量の異なる剣ですね。

このSクラスでも、特訓出来ると言う事ですか?」


と理解したらしく

真っ先に自分の剣を俺の眼の前に置いてみせた。


本当はジルグフリードの剣は

見なくても知っているので

手に取る必要は無いのだが

他のSクラスのメンバーの手前ジルグフリードの剣を一度手にしてから、本人へと返す。


「私くしにも、お願い致しますわ。」


とジャンヌとアテネが

自分の剣を俺の前に置いてみせた。


その剣を一度鞘から抜いて

形状と重さを確認して鞘に戻して剣を返した。

ジャンヌの剣は?

普通の騎士剣よりも横幅があり、モデル体型には不釣り合いな豪剣。

アテネの剣は?

相反してレイピアで俊敏性を活かす為の剣。


二人共に満足そうに


「どんな練習用の剣をトモルシード君が創り出してくれるのかしら?

楽しみですね。」


二人で笑いながら話していた。


チャイ帝国の嬴政と妲己がどう出るか?

解らなかったが……………

ドラニちゃんの実力を感じ取ったのだろう。


「この嬴政にもお願い出来るか?」


と近付いてきて言われた。

嬴政が纏っていた敵愾心が無くなり………


「当然だよ。

同じSクラスのクラスメイト何だから。」


と伝えれば、妲己も直ぐ様自分の剣を俺の前に置いてみせた。


嬴政の剣は?

直剣だが騎士剣とは別物だ。

妲己の剣は?

同じく直剣だが長さは同等でも細剣の部類で恐らくスピード重視だと判断した。


クラスメイト全員の剣を確認してドアの中へと入って行こうとすると


「私達にも特訓用の剣を

頼めないかしら?」


とクレサ パトラ先生に問われて………


「先生達の剣ならば、頭の中に記憶していますから

御心配は無用ですよ。」


と言い残してドアの中に入る


竈門にファイヤーボールで火入れしてエレベーターより前のフロアボスのインゴットで

次々に魔石のハンマーで叩き上げて、全員分の10キログラムづつ変化させ刃を潰した

剣を5刀ワンセットで創り出す。

英雄の先生達の剣で最後だったけれど、合計9人分45刀を創り出して収納魔法に全ての剣を入れて、竈門の火を消してドアから出た。


まぁまぁの時間をかけての製作だ。1時間は超えていたが


闘技場にて、ドラニちゃん以外の人物は待って居てくれた


俺は、ドアを闘技場の壁から剥がして、収納魔法に入れて

その壁に魔石で錬成した

剣を置くモノを闘技場の壁に取り付けだした。


俺の錬成を初めて目にした

嬴政と妲己は


「魔石の錬成までを………」


と言い残しこれが本当に入学したての生徒なのか?

と二人で


「敵わないなぁ。」


と洩らして居た。


人数分の各自の剣の収納を錬成してそこに、特訓用の剣を収納魔法から出して並べた。


戻って来ていたナポリオンの分も当然用意してあったので


「これが、練習用の剣だよ。


刃の部分は潰してあるが、


致命的な打撃を受ければ


当然大怪我をするから気をつける様に………


それから総重量の変化は一番上の剣から、始める事が条件だよ。」


説明後は、全員が自分の剣の前に迎い確認し始めたので

見当たらないドラニちゃんを探しに闘技場のドアから出れば?


ドラニちゃんは、軽い寝息を溢しながらスヤスヤと寝入って居る。


大物は?こんな時にも………

呆れと感心さが俺の中に渦巻く。

まぁ午前中は、クラスメイトと英雄の先生達は

多分自分の剣の重さの違いと格闘するだろうから

わざわざドラニちゃんを

起こす必要性は無い。


俺は一人で、思考加速で

今後の展開に思いを馳せた。



お昼近くなると

ポツポツと赤いドアから

生徒が戻り始めた。

ゼェゼェと息を切らして………


自分の席に倒れかけながら

たった1日で、剣の実力と

体力強化など無理がある。

と思いながらも、彼等を労った。


その約30分後位に

英雄の先生達が、戻って来る

流石に、息は切らせてはいないが疲労感までは隠せておらずに


「そろそろ、昼食時だから

体調の回復に努めなさい。」


と言い残してSクラスから

退出して行った。


ジルグフリードは、

日々のスペイ王国の寮での

地下闘技場での特訓を重ねていた為に、意外と回復速度が早く


「トモルシード王子。


宜しいのですか?


他国の者達に特訓用の剣を

与えてしまっても…………」


と隣で未だスヤスヤと眠りこけているドラニちゃんを起こさぬ様に小声で囁いた。


俺は、正直言って何の問題も無いので


「Sクラスが特別だと周りの生徒に噂されなければ、


Aクラスのままで、良かったと判断されるだろう。


それでは、何の為のSクラスだと批判的な目でクラス全員が思われる。


学園サイドへの批判も

問題視される事へと繋がる。

だからこそ、クラスメイト

全員の実力の底上げが

必須事項だと俺が判断した。」


とジルグフリードに返答すると!?


「そこまで深いお考えが?

浅はかな自分の考えが

配下の者として………

お恥ずかしい限りです。」


と片膝を付いて謝罪を言う

ジルグフリードに、別に謝る事では無いと椅子に座らせた


その様子を目にしたジャンヌとアテネが不審そうに


「何かの助言でしたら?

私達にも教えて下さいませ。」


と話に参加して来た。

ソレを見ていたチャイ帝国の

嬴政と妲己までが手の平を返した様に


「あれだけの刃を潰した各々の練習用の剣を創り出した

トモルシード君の話ならば

自分達も参加させて欲しい。」


と言い出した。

そして、ジャンヌとアテネが

嬴政と妲己に対して


「少しばかり、都合が良過ぎなのでは?

チャイ帝国では、礼儀を知らないのかしら?」


と口論が始まった。

その騒動でドラニちゃんが


「我の良い夢を邪魔したのは!? 誰なのだ!」


その1言で、口論は終止符を打つ結果と成った。

俺は口論がビタッと止まった事に、感謝しながら


「ドラニちゃん。

もぅ直ぐ昼食だから皆んなが起こしてくれたんだよ。」


とドラニちゃんの肩に手を伸ばして、トントンと肩を叩けば…………


「そうなのか?

其れは、我が寝すぎたなぁ。」


と機嫌を取り戻した事で

俺とジルグフリード以外が

ホッと安心た表情を取り戻した。


昼食後も英雄の全員が来て

赤いドアでの特訓が再開され


俺とドラニちゃんは

2人で模擬戦を繰り返す。


ドラニちゃんの白剣の攻撃を

受け止める俺に唖然とした視線が集まった事は?

気付かないふりして

長かった1日が終わった。


フラン学園都市のスペイ王国の寮に戻って、トールとネメシスにSクラスの臨時教師の打診した事を説明して、その返答は週末には決定する旨を

話しながらティータイムで

くつろぐ。


セシリアはジルグフリードからの説明を聞かされたのか?


俺を尊敬の眼差しで見つめながら


「流石は、トモルシード王子様です。

幾つも先の状況まで呼んでの行動を取られるのですね。


私の家族の非難も、智将故の判断だったのでしょう。」


と呟きながらもジルグフリードと何故か? 

頷き合っていた。

まぁ遠からず的は得ていたので、何も言い返さずに

コーヒーを一口飲んで取り敢えず落ち着く。


週末の授業終わりに、ナポリオン先生に学園長室に来る様に促された。


ナポリオン先生が立派な学園長室の扉をノックして


「失礼します。


トモルシード君を連れて

来ましたよ。」


と学園長室へと俺を先に入れると!

Sクラスの教師全員と学園長が、豪華な過ぎる円卓に座って俺を待ち受けて、学園長が


「トモルシード君の提案に付いての議会の判決が決まった!」


判決なんて言葉

裁判所関係のドラマでしか

聞いた事が無い俺は、黙って指定された席に座り様子を伺った。

学園長を含めて全員が真剣な表情で、顔色から何かを察する事が不可能だった。


「トモルシード君。

君の提案に対して、賛否両論あった事は事実で………


Sクラス教師達からの強い要望も決め手と成った。」


そこまで話して学園長が沈黙したので、無理があったかと断念しかけた所で


「暫くの間は………臨時的な教師と言う事で、頼みたい!


勿論、その二人には特別手当としての英雄の先生達と同額の報酬を用意する。


どうだろうか?」


と学園長が俺の応えを求めて来た。

俺としても、スペイ王国の寮で2人を待たせるだけの状況を避けられるのだから

一石二鳥何だよなぁ。

笑顔で学園長に問う。


「いつから………

出勤させますか?」


と交渉モードで学園長に掛け合うと


「準備もあるだろうが?

可能であるならば、早い方が生徒とのコミニケーションが取り易いので、来週からと言うのは無理があるだろうか?」


ん~~出勤時間が?

分からないので、


「スペイ王国の寮からの出勤に成るのですが?


自分とドラニちゃんと同じ時間ならば、来週からでも

一緒に学園に来れますよ。」


俺とドラニちゃんの仲間だが、対外的には俺の側近扱いになっている為

トールとネメシスが個人的に転移魔法陣の利用が不可能なのだ。然しながら学園長は?


「勿論、それで構わない。

来週から学園長室へと来て頂いて、他の教師との対面も出来る限り無い様にしよう。


異論が無ければ、この書類にサインをして欲しい。」


クレサ パトラ先生が学園長から書類を受け取って

俺の前に提示した。


個条書きされた内容は?

勤務時間はトモルシード君とドラニちゃんと同様とする。


4人の英雄達の専用の部屋の増築工事期間までは、学園長室に通うようにとする。


Sクラス以外のクラスへの

指導は決して無い事。


有給休暇の取得。


学園内の催しには、不参加で構わない事。


基本給は、英雄の先生達と

同額その他は出来高制。


以上が契約書として

学園長のサイン

4人の英雄達のサイン

2人の魔法科の教師のサイン

が既に記入され

俺のサインで契約書が完成すると記載されていた。


俺は、1つだけ提案する事に決めた。


「自分とドラニちゃんが学園に来れない状況下に成った場合は?

自分の仲間ではありますが

外見的には、自分の側近もしくは、護衛騎士と成っていますので……………」


と1つ項目を増やしたが


「その条件ならば、検討する事も無いな!

今、此処で追加しよう。」


クレサ パトラが俺の眼前の

契約書を学園長の前に出すと

フワリと浮かんだ契約書に学園長の契約魔法の筆で追加の条文が足された。


内容を確認したクレサ パトラ先生が改めて俺に契約書を渡した。

内容を確認して俺がサインを書けば、契約書が勝手に燃えて消滅した。


これで契約書が遂行される事に決定した。

「では、以上の事柄が両者の間での合意と成りましたので、これにて失礼します。」

と言ってから学園長の部屋を後にしにた。

ドラニちゃんが参加していれば…………一悶着あったとしても


う〜ん考える事は辞めよう。


と結論を出して、スペイ王国の寮へと帰還して

トールの入れてくれたコーヒーを飲みながら説明を始めた。


「来週から、トールとネメシスはSクラスにて、臨時教師として俺達と共にフラン学園都市へと通う事が………


決定したよ。」


俺とドラニちゃんがフラン学園都市の学生として、学園に通う間に暇を持て余していたネメシスが喜びながら


「私達もトモルシードさんと御一緒出来るのですか?」


やる気に満ち溢れた瞳で俺に問う。


あまり張り切られても………

困ってしまうけれども

Sクラスの先生達との訓練よりも、トールとネメシスとの

練習試合を重ねた方が………

恐らく、自分にとっての訓練には、事欠かない筈であるし


見学するだけで他の生徒への影響も格段に上がると踏んだ


トールは、面倒見も良いので

Sクラスや英雄の先生達とも

スムーズに打ち解け合える。


ネメシスにも同じ条件を求めたとすれば?

少しばかりの心配事が増えるのだが………まぁトールが一緒ならば、事が大袈裟に成らずに済みそうな気がしたので

臨時教師の要請を受ける事に決意したのだ。


学園の主なカリキュラムは

剣術科と魔法科で、土日祝日休みの週休二日制なのだから

休日には、ダンジョン攻略をと計画を立てていた。


10の内の3年間が過ぎ去り

個人差は多少なりともあるが、50キログラムの特訓用の剣を自在に使いこなしていた。


これで最初の難関を多少の個人差はあるが、全員が自分の基礎体力向上へと進歩した。


3年間で休日には、ダンジョン攻略へと他国に遠征したのだが?

一柱の神様に遭遇する事も無かった。


元々エレベーターの階層が苦手なドラニちゃんが………

エレベーターが出現した後に必ず休養日を設けた事が大きな問題点だったので…………

年間のダンジョン攻略の回数もそれ程多くは無かった。


ダンジョン攻略と神様が閉じ込められている地下牢獄の関連性が、今だに明瞭化されていない事も大きな一因の1つであった。


俺は、Sクラスの生徒と英雄の先生達へ身体強化の魔法を伝授する事に決意を固めて

一人一人に身体強化の魔法を

丁寧に授ければ…………


其々が、身体強化により実力が数倍の変化をもたらした。

実感した者達が、トールとネメシスへと挑戦するが?


トールとネメシスは

相手の剣撃を見事に躱し

否して見せて実力差を見せつけた。


ナポリオン先生

アレキサンダー先生

マリーナアントワネット先生

クレサパトラ先生


フラン学園都市ジャンヌ

イタリ王国アテネ

チャイ帝国の嬴政と妲己

スペイ王国ジルグフリード


確かに数倍の実力をレベルアップしたのだが…………………

実力差を見せつけられて

トールとネメシスへの脅威度がやっと理解可能な程にまでは、成長していた。


彼らの視線が自然に俺とドラニちゃんへと注がれるのは、

当然の結末だ。


視線が集まるのを感じながらもドラニちゃんとの練習試合のスピードを1段階上昇させて、実力差を肌で感じて貰う。


「ある程度の実力差を体感させて、上には上が居るのだと理解可能になれば…………

ヤル気の向上も果たされるのではと考慮した結果だよ

ドラニちゃん。」


と戦闘スピードを上げながらドラニちゃんとの念話で語れば?


「まだまだ格の差を見せ付ければ、下手をすれば…………

ヤル気を無くすのでは無いのか?」


と念話で返答されて

まぁ確かにドラニちゃんの言葉にも一理あるが………

やっと3年かけて身体強化に成功して強さの一部を得たのだから、向上心も上がって

より深く強者への憧れに拍車がかかるだろう。

と期待する。


そんな生活を楽しく過ごして居た週末にスペイ王国の

セバースからの緊急報告が届いた。


俺の執事であるスペイ王国の

セバースには、緊急事態に備えて直接俺に届く手紙形式を

魔法で高速飛行可能な鷹を

与えてあった。


その鷹がフラン学園都市のSクラスの闘技場の中に

突如として現れて

俺はドラニちゃんとの練習試合を中断させ片手を鷹に向って上げた。

すると鷹が俺の右手へとスッと降り立った。


鷹の右足首には、小さな手紙が括りつけられて

俺は迷わずにその内容を確認した。


「ジンからの緊急報告です。

至急スペイ王国への帰還を

頼まれました。」


との手紙をドラニちゃんにも見せてから、トールとネメシスにも伝えた。


金曜日の午後なので英雄の先生達に対して


「スペイ王国で不穏な話が上がった為、ジルグフリード以外は、早退を希望します。」


と英雄の先生達に詳しい内容自体を俺自身も知らない為に

提案すれば!?


「母国の不穏な動きならば

早退の理由として、認めます。」


と代表してナポリオン先生から言い渡されて

ジルグフリードも同行したかった筈だが?


自分の力不足感を実感したばかりだった為に……………

反論しなかった。


側近として実に良く出来た者だ。普通は、母国の危機と知らされれば自分も随行すると

言い出しそうなものだが………


ジルグフリードは、自分を律して俺の指示に従うのだから


ドラニちゃん

トール 

ネメシス

と共に片手を繋ぎスペイ王国の第4王子の応接室へと

定位瞬間移動魔法で

瞬時に帰国した。


「お帰りなさいませ。

トモルシード王子。」


と執事のセバースが突然の帰国に驚く事も無く俺達を出迎えて、ジンからの詳しい報告にはいった。


「ポルトガ王国での密偵から、トモルシード王子が不安視していた通りに、元第二王妃がスペイ王国へと戦争を企てて、軍隊を行軍させた!

と緊急報告が来ました。」


スペイ王国を我が物と計画し母上である第1王妃をも殺害したのだから………


スペイ王国を追放された位では、あの悪女が悔改めるはずは無いだろうと予想はしていた。


だからこそジンにポルトガ王国の内情を偵察させていた。

ジン自身は、顔バレしていた事もありポルトガ王国に密偵を忍ばせて、ジンを黒幕として情報収集を毎月報告書としてセバースに届けさせていた


ポルトガ国王が、処罰しなかった場合には、あの親子と呪詛師が黙って要られるはずがないと考慮していたが、

真逆?

戦争を仕掛けてくる程に、ポルトガ王国を動かすとは?


一度戦争が始まれば

犠牲者の数も数万人から数十万人が犠牲なる。

其処には、一般市民も巻き込まれるのは明白だ。


戦争自体を食い止めて、

犠牲者数を無くす為に

行動を開始する他に答はないだろう。


ポルトガ軍は、既に行動に出ているのだから……………


俺は、ルシファード皇太子の部屋へと直行し緊急事態宣言を兄上へと報告しに、セバースと共に面会を求めた。


丁度、兄上はジルグフリードの父 ガルゴフリードとの特訓中だった為にドア内の闘技場に居たので、製作者の俺とセバースは当然闘技場へと入室可能だったから……………


ルシファード兄上の執事長と共に闘技場へと繋がるドアの中に入った。


突然の帰国と闘技場に突然現れた俺に対して!


「どうしたんだ?

トモルシードよ!」


セバースを引き連れて現れた俺に唖然としたまま

試合形式の練習用の剣での

訓練を止めて、不信想な顔で聞かれたので、大まかな説明をセバースに任せた。


内容を知ったルシファード兄上の表情が見る見る変化して


「国家間の戦争など………

とてもじゃないが許せる範囲を超えている。

が、トモルシードは?

一体全体どう回避するつもりなのだ!」


と問われたので、迷わずに


「少人数でのポルトガ王国に

勝負を行い。

元凶である。元第二王妃と

元第2王子ギルザルシー兄上

達の陰謀を公の場で晒して

戦争を起こした罪で、罰しますよ。」


戦争と聞き及んでからの俺の発言に対して!?


「数万人から数十万人の軍勢に対して、少人数での攻略法が出来はしないと思うが?」


確かにルシファード兄上の意見に異論は無いのだが…………


「万が一戦争へと発展したのならば、被害の拡大と剣聖に付け入る隙をも与えます。


ルシファード兄上の特訓の成果次第では、共にポルトガ王国へと向かい今度こそあの親子の息の根を断ちましょう。」


そう告げながらルシファード兄上の特訓用の剣を観て判断をする。

50キログラムの剣での特訓をこの三年間で得ていたので、最低条件の身体強化も可能へと、繋がった。


ルシファード兄上と

その師であるガルゴフリードに身体強化魔法を伝授すれば


「何だ!? 不思議な位に

自分自身のパワーが上昇しているのか?」


と2人が急激に身体強化した事実に戸惑いながらも…………


「トモルシード

第四王子様!?

この力は?

一体何が自分に起こっているのでしょうか?」


とルシファード兄上よりも…

少しだけ冷静沈着に

ガルゴフリードが問う。


「1から説明すると長くなるので、簡潔に要点を話せば


ある程度の基礎体力向上を達成すれば、身体強化の魔法で数倍の能力を引き出せる。


最初は、多分その状態での闘いは、15分前後しか稼働時間は無いが、身体強化した身体でもっと鍛え上げれば

身体強化した状態での戦闘時間もパワーも上がる。」


二人に俺なりの大まかな説明を加えて語った。


「それで、ガルゴフリードとの特訓を自分に対して

求めたと?

言う事か?」


ルシファード兄上も俺の説明に対して理解を示したのだが


「トモルシードの場合の身体強化使用可能時間は?

どれ位なのだ!?」


まぁ魔法を伝授させた本人が

身体強化魔法の使用可能時間は?気になる事は、承知しているが……………思考加速にて

その差が開き過ぎていても

ルシファード兄上のやる気を削ぐ可能性もあるのだから……

事実は解除するまで使用可能だったが………………………


「経験の違いがそのまま身体強化使用可能時間に直結しますよ。

私の場合は、一日の長がありほぼ丸一日は身体強化魔法を続けられますね。」


自分との格差に打ちひしげながらも成長する事が大切なんだがなぁ。と考えつつ嘘と本音を混在させた話を語った。


「想像の範囲を超えて無いのか?

トモルシードとの能力値の差は……………」


アレッ?ルシファード兄上の反応が、俺の想定と違った事に

何とも言えぬ感情が湧いたので!


「ルシファード兄上は?

弟である自分との能力差に

抵抗感は無いのでしょうか?」


ストレートに問えば


「我が弟ながら、誰もが匙を投げた呪術からフラン学園都市の入学前に………

生命を救われた事実から考えれば、その実力差は誰にでも理解できる程に

明確な差がある。


そして何よりも、フラン学園都市の学園にSクラスを新設させたのだから

トモルシードの事は、実兄として鼻が高くも成るよ。」


あぁルシファード兄上は、

本心から俺の事を信じている事が、何だか照れくさかった。


話の方向性を無理矢理変更して………


「少しだけ、時間を下さい。

妹のルシーシアにも

身体強化の魔法を授けておきたいのですが?」


と話の流れを変えれば


「その様子ならば、今直ぐに国境での戦闘が勃発する訳では無いらしいなぁ。


腹違いと言えど私の妹でもあるルシーシアの事は、多少なりとも心配していたから

私も随行しよう。」


と爽やかな笑みを浮かべた

ルシファード兄上に礼を述べてから、セバースにこれから

ルシファード兄上と一緒に面会に行く事を頼んだ。

セバースは、畏まりましたと

ルシファード兄上と俺に

一礼してその場を後に仕掛けたので、俺の自室で策を練りながら待つ!と伝えた。


そして、ルシファード兄上と

ガルゴフリードと共に自室へと戻った。


「おぉ~久しいのぅ。

トモルシードの兄上。」


とドラニちゃんが声を掛ければ、ガルゴフリードがルシファード兄上の前に立ち警戒を取るが……………


「良いのだょ。ガルゴフリード! ドラニちゃんは、この国の賓客でもあり、トモルシードの大切な仲間なんだから。」


ルシファード兄上に告げられて、一歩後ろに下がったガルゴフリードが……………


「それでも、トモルシード王子の兄上であり今は皇太子でもあられますから………」


と返答すれば、ガルゴフリードに対してドラニちゃんは?


「フリードと言ったか?

もしかして?ジルグフリードの関係者なのか?」


息子の名前が、唐突に出た事でガルゴフリードが目の色を変えた。


「息子の事をご存知なのでしょうか?」


不信感は拭えないが、明らかにジルグフリードの事を気にかけている。


「そうだなぁ。

ジルグフリードは、側近としてもSクラスの一員としても頑張っているぞ!

多少は目にかけておる。」


その言葉に安心したのか?


「其れは、失礼を致しました。愚息もSクラスの端くれですから……………宜しく

頼みます。」


と親の顔になる。


そうして軍議の方に過重をかけた話し合いを始めた。

後5日程度で国境付近への到達する予定のポルトガ王国の

数十万人の軍事力に対して、

この場の人間だけでどう対処するのかを話し合いが行われた。


「視認可能な所までは、ポルトガ王国の兵士を近づかせて、深夜に一気に国境間に

大きな壁を創り出して

相手の度肝を抜く事を提案するよ………」


と発言すると!?


「トモルシードの事だからとは?考慮したつもりだが!


国境に壁を建築する等

流石に1日では無理があろう。」


とルシファード兄上に告げられたが、これまで集めた

収納魔法内に貯蔵した

インゴット

魔石

の数は?

自分自身でも理解が及ばない数量へと至っている。

足りなければ、ドラニちゃん

とトールとネメシスに

低位瞬間移動魔法にて、これまで攻略したダンジョンの

エレベーターの階層で集めてもらう事も可能だから………


国境に錬成した巨大な壁を創り出せると俺は、考えていた。


すると会議中に突然!?

ルシーシアが飛び込んで来たから、慌てて地図や戦争について書き記した物を隠しながら!!


「コラッ! ルシーシア。


勝手に執務室に入って来ては、王女としての振る舞いに欠けるよ。」


と注意すれば!?

ルシファード皇太子の姿を見つけて、ルシーシアが恥ずかしそうに謝る。


「申し訳ありません。

真逆?

ルシファード皇太子が………

トモルシード兄様の執務室に来られていたとは知らずに…」


顔を真っ赤にしながらも

俺との対応の差に何故だ?

と思いながら見守れば………


「久しいなぁ。我が妹

ルシーシアょ。

元気そうで何よりだ。」


と微笑みながらルシファード兄上から声をかけられて

ルシーシアも安心した様に

ホッと吐息を漏らした。


「丁度良いから、ルシーシアの剣技の習得と基礎体力向上の成果を識りたいから、皆で闘技場へと参りましょう。」


と俺が話題を逸らしながら

ルシーシアに身体強化の魔法を授ける口実を与えれば………


ルシーシアは、急に顔色を変化させて


「突然どうしたのですか?

トモルシード兄様?」


その口調から察すれば

余り真剣に剣技と体力強化に

取組んで来なかったのだろうと見え見えだった。

言い含めるようにルシーシアにアドバイスを贈る。


「良いかい。ルシーシア。

俺が今フラン学園都市でSクラスに所属して居る事は、勿論知っているだろう。」


コクコク頷くルシーシアに


「学園内でも、その件に関して未だにうるさく言う輩も多いが、来年度ルシーシアは

その兄の妹だからと…………


大きな期待とプレッシャーの視線の的に、図らずとも成るんだょ。


別にルシーシアがそれでも構わないのならば………

これ以上の課題は出さない。

どうしたいと考えているんだ!?」


素直にルシーシアに問う。

俺の言葉をしっかりと噛み砕きながら、その意味する事の重大性を難しそうにしながら

熟考して居る。


「私からの忠告だよ。

ルシーシア。

トモルシードと兄妹である為に不要なプレッシャーは、

フラン学園都市の校風から言えば、絶対的に付き纏う類の物だよ。


受け入れるのか?

抗うのか?


はルシーシアに決定権がある。


但し、私がルシーシアの立場だったのなら………

スペイ王国の矜持を持って

必ず修練に励むぞ!」


このルシファード兄上の言葉が決定打となり、ルシーシアが強く頷きながら


「フラン学園都市への入学後の学園内の自分の立場は?

私が決めます。


今後は気持ちを入れ替えて

剣技と体力向上強化に向けて

真剣に取り組みます!」


と言い切ってドンと自分の小さな胸を叩いた。


早速ルシーシアのは肉体強化と剣技の成果を判定する事に決まった。


判断材料から判定すれば、失格としか言えなかったが?

変なやる気は感じられたので

これからの成長を甘美して


「俺が身体強化の魔法の伝授する相手としては、今は最下位だが?


これからの成長次第ではあるょ。 完全にマスターすれば、

Sクラス入りも可能性も無くは………無いぞ!」


身体強化魔法で普段のパワーの数倍の力に戸惑うルシーシアだったが、俺の言葉にも打ちのめされた。


「今のルシーシアのレベル程度では、Sクラス入りにも

届かないだろうし………


身体強化は、持って10分前後位だよ。


入学前までには、特訓しか

無いが…………

夕食会までに計画票と剣術の指南書を製作しておくが

魔法科の勉強もそれなりに学んでおくことを、勧めるよ。

じゃあ。

これから大切なルシファード兄上との話し合いが残っているから、ルシーシアは自分の部屋に戻って居なさい。」


と言い渡せば、

ルシーシアは名残惜しそうにセバースに付き添われて闘技場から去った。


そうしてポルトガ王国との戦争についての会議が終わって一旦解散する事に決まった。

国境への進撃は明日の昼食後だからだ!


俺は夕食会までに

ルシーシアへの計画書や剣術の指南書を並行存在魔法の

カラーレッド ブルー グリーンに任せて

ネメシスに教育して居る

トールにフォローをしつつ

ドラニちゃんに新たな漫画本を与えて御茶を飲む。


フラン学園都市の休日は、明後日の日曜日なのだから

作戦決行と成った場合は

短期決戦での決着に力業で持ち込むしか他は無い。

と思考加速で考え込みながら

コーヒーをまた一口飲み

香りを楽しむ。


様々な事柄が大きく動き出したが、俺達は冷静に受け止めて準備に備える。


ルシーシアとソフィーシア様との夕食会にネメシスも同伴させて、紹介と俺の新たな仲間である事を報告する。


「トモルシードさんは………

少しでも目を離せば

色々と成される御様子に

私くしは、少々混乱させられますわ。」


とソフィーシア様から

釘を刺された。

だが、本来の目的である冒険者に成る事には、前進して居るのだから………

苦言は、敢えて聞き流す。


直感力の鋭さに定評のある

ソフィーシア様なのだから

ポルトガ王国との戦争に付いては、悟られてはいけない。

事が大きな問題となれば、

剣聖が関与して来るのだから


ネメシスが緊張感を感じさせ


「今回からトモルシード王子様の仲間に加入致しました。


ネメシスと申します。

今後共どうか宜しくお願いします。ソフィーシア王妃様。」


何とか無礼に当たらない程度のぎこち無い挨拶に………


「こちらの方こそ、どうか

トモルシードさんと仲良くしてあげて下さいね。」


と何となく合格点をもぎ取ったネメシスに微笑むと

安堵したのか?

ネメシスは吐息を漏らして

笑んだ。


その流れで、ルシーシアに

今後の予定と剣術や他の資料を纏めて渡す。


「あらッ 何ですか?

その資料は?」


と不思議そうにソフィーシア様から問われたルシーシアが


「私がフラン学園都市に入学した時に、他国の者達に侮られない様にと

トモルシード兄上から

頂いた教本です。 お母様。」


そうなのねと呟きながら


「ルシーシアの心配までも

気に留めてくれて、感謝致しますわ。

後で私くしも拝見してもいいかしら。」


と仰ったソフィーシア様に

勿論と俺は頷いた。

そして、和やかな夕食会を

クリアして全員で自室に戻った。

気に掛かったのは、夕食会の後に何かを言いたそうだった

ソフィーシア様だった。

まだ、何も知られては居ない

筈だが? 


ちなみにネメシス以上の緊張感を隠し切った俺も深い溜息が自然と溢れた。


そうして、翌日の昼食後に

ルシファード兄上と

ガルゴフリードが急遽参加してポルトガ王国との国境地帯へと、低位瞬間移動魔法で

移動すれば


「ナッ………本当に国境地帯だ?」


とガルゴフリードが狼狽える


取り敢えずその場で魔石を収納魔法から取り出して、錬成で簡易的なログハウスを創り出して!!


「話し合いは、この中にて致しましょうか?

ルシファード兄上。」


とドアの中に入る。


2度驚くガルゴフリードを

他所にドラニちゃんが


「一々驚くな!

ガルゴフリード!と

トモルシードの兄上ょ。


我には、取り敢えず飲み物を頼むぞ。」


と一番乗りでログハウスの中に姿を消した。

ハイハイとトールが答えながらネメシスと共にログハウスの中に入った。

ガルゴフリードとルシファード兄上は、互いに頷き合い最後にログハウスの中に入った。


「これから、大まかな作戦を発表する。

先ずは、国境全てに壮大な壁を張り巡らせる。


今から、その設計図の作製に取り掛かるけれど


その為の、魔石とインゴットの数が足りぬ場合に備えて

ドラニちゃん!

トール!

ネメシス!

の3人には、収納魔法を空にして貰いダンジョン攻略へと向かい魔石とインゴットの収集に励んで欲しい。」


と頼んだら………


「まぁトモルシードが頼むのならば、仕方あるまい。

我等が集めて来るが?


どうやってダンジョンまで

行って帰って来るのだ?」


とドラニちゃんに問われて……


「今まで…攻略したダンジョンへ低位瞬間移動魔法で、直接俺が届けるし時間経過を決めて迎えに行くよ。」


その答えで、3人は頷くと?


「時間経過は?

何時間なのですか?」


とトールが聞いてきた。


「ダンジョン1つに2時間程度がベストだと思うけど?

どうかなぁ?」


と返せば頷きあって了承してくれたので、少しだけルシファード兄上とガルゴフリードと離れてトールに耳打ちした。


「エレベーターの階層の大怪獣の魔石とインゴットを頼みたい。

エレベーターが苦手なドラニちゃんには、最下層を

トールとネメシスは、どちらの階層を選んでも自由だよ。」


とトールに告げて

俺は、低位瞬間移動魔法で

北欧の国のダンジョンのエレベーターの階層に3人を直ぐ様移動させた。


「ドラニちゃんは、エレベーターは余り好きでは無かったから、最下層の大怪獣の討伐と魔石とインゴットの収集を頼んだよ。

2人には、エレベーター階層をドラニちゃんの所で待ち合わせして欲しい。

2時間後に必ず迎えに来る。」


と言い残してドラニちゃんを最下層の大怪獣の迷路の入り口に送り届けて、スマホのタイマーを2時間にセットして

国境のログハウスへと戻った。


行き成り帰還してきた俺に対して、一瞬だけ驚きを見せた

ルシファード兄上と

ガルゴフリードだったが

何食わぬ顔で設計図の作成に取り掛かった俺に、何も言えなかった。


その方が余計な説明を余儀なくされるよりは、楽でもあった為に俺は、何も言わずにまっさらな図面に国境線に高さ100メートル以上の壁の設計図を書き出した。


1時間と掛からずに書き出した図面は?

精巧な創りの巨大展望台にも感じる図面に???


「本当にコレをトモルシードが創り出せるのか?」


と呆れた様に語るルシファード兄上が茫然としながら呟いた。

まだまだ時間が残っていた為に、土属性魔法で簡易的な基礎工事と有り余っているインゴットを先に、穴を空けておき上空から押さえる塔を創りだめしておくと、


約束の時間を使いこなす為に巨大な鉄塔を100メートル毎に作り上げた。


ルシファード兄上と

ガルゴフリードには、理解不能に成ったが………


世の中知らない方が良いと言うこともある。

みたいな感じで、諦めた感を漂わせていた。


ログハウスから出て、設計図通りに基礎工事をする為に

土属性魔法で深さ30メートル 幅30メートルに巨大な穴を周りを固めながら国境線に沿って掘り進める。


途中でスマホのタイマーが

鳴り俺は途中で一旦基礎工事を止めて、ドラニちゃん達の元へ低位瞬間移動魔法で迎えに行った。


「遅いぞ!

トモルシード!


我は、退屈で死ぬ処であったぞ!」


迎えに行って直ぐに文句を言うドラニちゃんに対して


「トモさんも仕事の途中で

わざわざ迎えに来て下さったのですから、無理を言うのであれば夕食抜きにしますよ! ドラニちゃん!!」


とトールから説教を喰らって


「そっ…其れは困るぞ!

まぁトモルシードもちゃんと自分の仕事をこなしていたのならば?致し方無い……………」


とトールがドラニちゃんを言い負かした。

食事と酒に目が無い

ドラニちゃんにとっては

死活問題だもんなぁ。

トールがドラニちゃんを手懐けている事が、可笑しかったが笑うと拗ねる可能性が高いドラニちゃんの前では、我慢した。


取り敢えず大怪獣達の魔石とインゴットを3人から受け取り、自分の収納魔法に放り込みドアを出して

壁に貼り

中に一旦入って、休憩と軽い飲食を取って次のダンジョン攻略の場所を決めた。


今度は、ドラニちゃんが待ちくたびれても良い様に

エレベーターの最下層にドアを貼り付けて、漫画本を用意した。


そして低位瞬間移動魔法で

ポルトガ王国との境界線へと戻って、基礎工事の続きに生を出した。


途中でコレは1大事業だと感じで、並行存在魔法でカラー別の俺達9人を追加招集して、担当区域を決めて工事と言う名の土属性魔法でドンドン掘り進める。

その間1度ドラニちゃん達を迎えに行って、一度国境線に連れて戻った。


基礎工事と高さ150メートルの鉄塔を何とか完成させ

一度ログハウスで休息を入れて、設計図との相違点が無いかの確認もした。

コーヒーを飲みながら

思考加速で今後の作業予定に頭を悩ませる。


基礎部分の幅は、30メートルだが、頂上の壁の幅は20メートルにして、土台をシッカリとさせる。

夕方が迫る中で鉄塔を並行存在魔法の9人と共に、

100メートル間隔で真上からぶっ刺して固定し続けた。

日暮れまでには、ギリギリ間に合ったので、これからは夜通し高さ100メートルの巨大な壁の製作に明け暮れる。


並行存在魔法達と10人がかりで、何とか夜明け前に

国境線上に壁の建設が完成した。

俺は、魔力切れ寸前にまで

なりながら設計図通りに完成させたが、魔力切れ寸前で睡魔が俺を襲う。


その睡魔に抗いきれずに


「ルシファード兄上!

ポルトガ王国が攻め入って来るまでの僅かな時間に休息を摂る事を………許して下さい。」


と願い出た。

まぁあの右往左往していた俺の姿を目の当たりにすれば、

NOとは、決して言えないだろうが?


全ての作業を終えて暫しの休息にはいった俺が、目覚めたのは昼食過ぎまでは、死んだ様に爆睡していた。


ポルトガ王国の先遣隊は、さぞや慄き恐怖さえ感じた事だっただろう。

スペイ王国との国境線に突然巨大な防護壁が一夜にして

そびえ立って居たのだから……


先遣隊の兵士は!?

真っ先に行軍の将軍にでも

一報を急ぎ入れたに違い無かった。

その証拠に、防護壁の10キロメートル先には………

ポルトガ王国の数十万人の兵士達が、一斉に騒ぎ始めた!


その頃に、俺は熟睡から目覚めてルシファード兄上の待つ

防護壁の天辺へと向かい。


「お早う御座います。

ルシファード兄上。」


と挨拶をすると!?


「ポルトガ王国の兵士達その数 数十万人が迫り来ているが?


トモルシードは?

一体全体どの様にあの数の軍隊と闘うつもりなのだ?」


と挨拶無しに問われた。


攻撃されるまでは、ゆっくりと待つだけなのだ。

先制攻撃をされて、始めて

こちらの闘うしか無かったと言う建前が、成立するので


「心配は無用ですよ。

ルシファード兄上。


この防護壁には、自動修復魔法を備えて有ります。


戦争の口火を相手国が切った場合には、

自分とドラニちゃん

トールの背にルシファード兄上。

そして、ネメシスの5名で

あの軍隊の大将首を

人質にして、軍隊を撤退させます。


その後に人質と共に

ポルトガ王国の居城へと

5名のみで、特攻戦を挑みます。」


ルシファード兄上の眼が

たった5人でポルトガ王国に

突撃する等、死にゆく者達が

する行為では?

と物語っている感じだ。


「最小限度の死者数での戦争終結を考えた結果ですから


心配でしょうが?

自分と仲間を信じて頂かなければ、成功する策も無くなりますよ。」


そう伝えたけれども、ガルゴフリードも不信感を顕に出して!


「幾ら何でも無茶苦茶です。

トモルシード王子は?

皇太子のルシファード様に、

道連れに死ねと………

仰って居るのと同じ事を提案するのですか?」


顔面蒼白になりながら強い意志にて、俺を睨んで問う。


説明不足は、否めない。

昨夜は、防護壁に1日費やし魔力切れ寸前まで追い込まれて、起床して直ぐにとんでも無い計画を聞かされたのだから……………


「僕の推測の域を出ませんが?

この戦争の発端者は?

元第2王妃アレクサンドリアと元第2王子ギルザルシー

で間違い無いでしょう!


ルシファード兄上と自分の

宿敵ですから……………


他の者達を犠牲を出さずに

第1王妃であった母上様の

敵を討たねば成らないのですよ!」


ルシファード兄上の瞳から恐怖の色が消えて

復讐心に火が灯った瞬間に


「ガルゴフリード!

何も言うな!


母上の敵を討たねば!

トモルシードに助けられた生命を活かす為の又と無い機会なのだ!」


ルシファード兄上の心情を汲むガルゴフリードには、それ以上の異論は?

挟めなかった。


議論が終わったと同時にトールが食事を運んで来た。

どうやら話し合いが縺れて

入るタイミングをのがしたらしく、ポリポリと頬をかきながらも


「多少遅いですが、朝食をどうぞ。トモさん。」


と見晴らしが良過ぎる防護壁の屋上にあるテーブルに食事と飲み物を卒なくセットしたのだった。


食事中に痺れを切らせたのか

ポルトガ王国の数十万人の軍事力を、前進させて来た。


「おぉ~ どうやら敵の総大将が、末兼ねて動き出したぞ!

どうする?

トモルシードよ!」


と俺の食事をつまみ食いしながら………ドラニちゃんが問う


例えこの防護壁が、一夜漬けの張りぼての建物だったとしても?

確認する為には、攻撃を開始してみる他には、どの様な作戦を取るかの手段が無い。


後は、こっちの思惑通りに事が、展開するのを待つだけなのだ。


罠にかかった獲物を狩るための秘策は、既に打って有るのだから…………

ゆっくりと飲み物を飲みながらその時を待つだけだと

ルシファード兄上とガルゴフリードに話す。


ガルゴフリードには、残ってもらい重要な役を与えて

使用方法を完璧に覚えて貰う

その為の巨大な壁の天辺に据えた可動式ボウガンを、製作して有る。


ガルゴフリードは、真剣にその武器の使い方を記した。

説明書を読み込みながら


「本当に私が、コレで

ポルトガ王国の拠点を………」


と呟くので


「その武器で、ポルトガ王国の全兵士を震え上がらせる事が、ガルゴフリードの大役だよ。


大船に乗ったつもりで

楽に考えてくれよ。」


と話した瞬間に

ポルトガ王国からの一斉攻撃が始まった。


遠隔の魔法攻撃と物理的攻撃の大砲が、轟音を轟かせて

国境線の防護壁に全弾命中し

砂煙を上げて、攻撃の手が一瞬だけ止んだ。


派手な爆発音の割に、防護壁は修復魔法に寄って砂煙が晴れた後には?

傷一つ無い防護壁が、立ち塞がっていた。


この一連の流れに敵の大将格の驚く顔は?見れなかったが

ルシファード兄上

ガルゴフリード

2人の驚愕に歪む顔が

何だか?

敵国の兵士達を憐れむ様な

感じに見えたので…


「そろそろこちらも準備を整えますか!?」


とテーブルの椅子から立ち上がり宣言すれば……… 


「良し! 少しだが理解したよ。トモルシードの戦略に乗ろう。」


とルシファード兄上が受け入れて何をすれば良いのかを

尋ねてきた。


「ルシファード兄上は、トールの背中に乗って下さい。


俺が、背後から風魔法で兵士達を空に吹き飛ばして、その兵士達をゆっくりと下降させますょ。


ドラニちゃんとネメシスには、並行存在魔法のカラー

レッドとブルーを其々に付き従わせて、吹き飛ばした者達全員を負傷者無く風魔法で対処する。


残りは、敵の陣営の者達を

気絶させて………首謀者もしくは、軍の統率者を人質に取りポルトガ王国の兵士の闘争心を丸ごと奪う。流れになる。」


事前の大まかな流れを説明して、3箇所に別れて其々が防護壁の壁の上に立った。

トール等は、ルシファード兄上に対して


「私が許可を出すまでは、その両の眼を閉じておいた方が安心しますよ。」


と注意点を素直に述べた。


ポルトガ王国の数十万人の兵士が、数の力で防護壁へと

怒涛の進撃を開始したのを

確認し


「ミッション開始!」


と俺が号令をかければ

待ってましたとばかりに

ドラニちゃんが、防護壁から飛んだ。

先陣をきって飛び出したのに

トールもネメシスも瞬時に動く。


俺の並行存在魔法のレッドとブルーも其々が、フォロー役として後を追う。

俺自身もルシファード兄上を背に乗せたトールの後に続いた。


そこからはもうずば抜けた

スピードで、敵陣を一直線に

吹き飛ばして俺と俺の並行存在レッドとブルーが!?


吹き飛ばされた兵士達に

風魔法の応用を用いて

ゆっくりと下降させて…………

吹き飛ばされた兵士達も

何が起こって居るのかも把握出来ずに空に舞う。


他の兵士達も味方の兵士達が吹き飛ばされて?

混乱し気付いた時には、既に遅くポルトガ王国の陣営まで

アッと言う間に3箇所に配置された指揮官を占拠されたのだから……………………………………………


俺達は、剣を抜く間も与えずに其々の陣営で大将格以外の兵士達を手刀にて、気絶させて追い詰めた。


「貴方が、ポルトガ王国の大将格だろう?


他の拠点の大将格も抑え込んだから、無駄なあがきは

よすんだな!」


と1人だけに成った大将格に言い放つ。

ガックリと肩を降ろしながら


「そんな? 馬鹿な!」


と言葉が漏れるが、この後が交渉する価値が有る。


「ポルトガ王国とスペイ王国の関係性は

良かった筈だが?


何故、戦争を仕掛けてきたのか? 理由を識りたい!」


と言葉を投げれば?


「私は、軍人であって政治的な事等は………………

知らないのだが?


王族からの命令が降されたのだから、従うしか無い。」


矢張り王族からの無茶振りと言う事は、元第2王妃

アレキサンドリアと

元第2王子ギルザルシーが

計画の発案者である可能性が高い。


「大人しく、降伏して軍事力の解散を勧めるよ。


この戦争で、死人を出したくは無いだろう。


君達には、撤退宣言と人質に成って貰わなければ……………

死者数0でのポルトガ王国の救済は、約束は出来かねる。」


俺の言葉に


「ポルトガ王国の救済………

とは?」


と大将格の厳つい顔が、不思議そうに歪んだ。


大まかな俺の推論を彼に話せば、そんな事がポルトガ王国の城内で起こっていたのか?

と、理解を示した彼に対して


「本気で、戦争をするのならばこんな事を頼まないで、皆殺しにした方が手っ取り早いとは?


思わないのか?」


その1言で、大将格の軍人の心が折れた。


「君の推測の域が、本当ならば、喜んで協力関係に成る。


但し、誰一人として軍人の死人を出さないと誓えるのならだが……………」


俺は、ゆっくりと頷いて見せた上で、この戦争であの親子に加担した者達以外に死人は出さないと、彼に対して誓った。


他の拠点でも、俺の並行存在

レッド

ブルー

が、同じ条件で交渉し

何とか成功を

もぎ取っていた。


3箇所の拠点で気絶させた兵士達を拠点から出して

不安視する他の軍人に対して

大将格の3人が、説明をする。

俺は、魔石の錬成で

拡声器を創り出して使用方法を教えて、数十万人の軍人の前に大将格3人を立たせた。


「君達諸君の剣闘は、評価に値するものだったが、この有様では撤退を余儀無くされた!


此処に集った数十万人の兵士達の生命は、私達3人が捕虜に成る事で、守られる事に決定した!


寄って、最期の命令を

降す! 今直ぐに撤退を命ずる。 

違反者には、命令違反として、その家族諸共厳罰に処する。」


そこまでの判断を決断させたので、拡声器を渡して貰い。


「今から、スペイ王国のほんの一部の力を見せるので、その場から動くなよ!」


と脅しをかける。

ガルゴフリードに直ぐに念話で話を通した。

巨大な可動式ボウガンの一撃を3連射でポルトガ王国軍に

致命打を与える。


教えた通りにスコープにて

狙う位置を割り出せば、スコープに傾斜角とボウガンの弓を張る段階迄が、標示される。


拠点3ヶ所の連続攻撃を

ポルトガ王国の軍人に対して

見せ付ける為だ。


念話で、第1目標の拠点にボウガンの矢の先端に火炎爆弾と氷結を付けた矢をガルゴフリードには、与えている。


第一矢の火炎爆弾付きの矢を装填させて、命令を出し

直ぐに2矢目のセットを指示して打たせて、間髪入れずに3矢目もセットさせて、直ぐに発射させた。


1本目の矢は、中央の陣地を綺麗サッパリと火炎爆弾にて

半径10メートルを焼け野原へと轟音と共に変貌させて……


ポルトガ王国の軍事力に多大な恐怖を植え付けて 


2射目は、メキメキメキッと拠点の直径10メートルを凍結させて………………

軍の気概を奪った。


3射目も拠点の場所を凍結すると、自分達を超えた場所に有る拠点の場所が、たった3射で

沈められた事実は、ポルトガ王国の軍人達に、多大な精神的な影響を与えたのだった。


「防護壁から、こんな距離が離れているのに?

何故?

ピンポイントに………

拠点だけを?」 


と、幹部らしい兵士達のざわめきが数十万人の兵士達へと

電波の様に広がる。


スペイ王国が、突然強襲をされて逃げまとう人々を

想定した作戦の破綻に…………

ポルトガ王国の全兵士が

作戦の失敗を実感させられた


僅か数人のスペイ王国の者達に寄って…………………………………


俺は、収納魔法から魔石を取り出して座れる牢獄を錬成し


「3人のポルトガ王国の人質の方は、この中へと入って頂くが? 宜しいのですか?」


と敗戦の将に問う。

負けを理解した者は?

何も述べずにその牢獄へと入り、沈黙して座った。

扉を閉めて並行存在魔法の

レッドとブルーに牢獄を担がせて、俺達はフライの魔法でゆっくりと上昇して

高速飛行でポルトガ王国の

王城へと向かった。


戦闘時間よりも永く

高速飛行を続ければ

遠くにポルトガ王国の王城が

見えて来た。


一度停止して、より被害が拡大しない様に………


「ポルトガ王国の衛兵達に

察知されない様に、

この場から

低位瞬間移動魔法で

王城の真上に移動して、

直後に真上から城を破壊して国王と其の家臣達の前に

突撃する!」


と作戦の内容を証した。

ルシファード兄上は?

本気なのか?という視線で

俺を見返したが………


俺は黙ってルシファード兄上に頷いて、ドラニちゃんへと


「瞬間移動後真っ先に

王城の真上に穴を空ける

攻撃をドラニちゃんに

託す!」


と真剣に頼めば


「任せておけ!

トモルシードの期待に

我が応えずに誰が

居ようぞ!」


と笑いながら声高に語る。

任せたよ。

と言った後に皆で手を繋いで

ポルトガ王国の王城の真上に

低位瞬間移動魔法にて

出現すれば、


ドラニちゃんが

素早く背中の鞘から白剣を抜刀して、ドッガーンと爆発音を轟かせて、

王城の最上部に大穴を空けて

其の大穴から城内へと侵入に成功した。


想定以上の轟音により

俺達は、素早く城内の中心部へと移動する羽目に成った。

途中に衛兵との遭遇が

何度もあったが!


次々に瞬時に手刀にて、気絶させて付近の物陰に倒れた衛兵を寝かせて先を急ぐ。


何とか?

王城の中心部いわゆる玉座の間らしい扉の近くまで

接近出来たが………………


扉の前には、衛兵達がたむろして警戒中であった為に……

直ぐ様突入する事は、出来ずにいた。


「どうする?

トモルシードよ?


このままでは、拉致が開かないが? 

良い方法でも策に有るのか?」


と、ルシファード兄上から耳打ちさらたが……………

正直何の策も無かったので


「ここからは、実力行使で

強行突破する以外には

無いかと……………」 


するとトールから


「仕方がないでしょうね。

ネメシスの怨嗟の鎖で

衛兵達を拘束し、慌てた処を気絶させて突破するしか無いと考えますが?」


一見最高の作戦に思えるが?

神器であるネメシスの怨嗟の鎖を用いた場合のリスクは

計り知れないのだ。


ゼウ神に伝え聞こえた場合に備えて、神器の武器の使用は避けたい。

思考加速で他の案を模索する


要は、30人の衛兵達を如何に

騒ぎを起こさずに気絶させられるのか? が問題点だ………


衛兵レベルの戦闘力ならば

何も並行存在魔法の10パーセントの俺以下の存在でも

計算的には、可能な範囲なのだから…………

レッドとブルーに牢獄を運ばせているので、残り80パーセントの俺を細分化すれば………


成功の確率がグーンと上がる

練習でも勿論実戦でも試した事は無いのだが?


背に腹は代えられないよなぁ


俺は、低位瞬間移動魔法で

扉の前に移動して直後に3パーセントの俺を26人並行存在魔法で出現させて、残りの衛兵を俺自身が気絶させられれば?


と考えて皆に単刀直入に考察した展開を話した。


「我が、事を起こせば…………

派手な爆発音を出して、逆に騒ぎが悪化するのだから!


トモルシードの案に我は乘るぞ!」


とドラニちゃんの援護を受けて、第一案を提供したトールもドラニちゃんと同様に話に乗ってくれた。


ネメシスは、やっと自分の出番が来たか!

と意気揚々となっていたが……

苦渋の顔で、俺の策を受け入れた。


ルシファード兄上は?


「この場まで来たからには

勿論!一蓮托生だよぁ。

トモルシードの好きにすると良いだろう。」


掛け金があるギャンブルならば、残金全てを俺に対して

ベットした様な物だ。

 

信頼関係は、云う事は無いのだが………………必ずしも成功するとは、限らないぶっつけ本番の作戦なんだけど?

大丈夫なのか?

と提案した俺の方が、心配にもなる。


やるしか無いと気持ちを固めて、低位瞬間移動魔法で扉の中心に誰にも

気づかれずに出現して

並行存在魔法にて、3パーセントの俺を26人出して慌てるポルトガ王国の衛兵達を

全員其の場にて、気を失わせて其の場に横たえさせた。


扉を盛大に開け広げて

王の玉座が鎮座する広間に入らば、ズラーと整列した2階や3階の弓兵達が俺達を

取り囲んで包囲網を張った。


それに対抗して俺の中心から半径5メートルには、結界を張ってその脅威に対抗しながら、玉座に堂々と鎮座している人物と目が合った。


ルシファード兄上が、やっと

トールの背中から降り立って

俺に視線を向けて

1つ頷き俺の真横に並び

ポルトガ王国の王の玉座へと

ゆっくりと、歩みを進める。


その間に、当然2階や3階のの弓兵や魔法の攻撃が、雨あられに浴びせられたが!?


俺の結界を破る事も出来ずに

俺達は、悠然とポルトガ王の玉座の眼前まで進み

一喝した。


「その程度の攻撃方法しか無いのならば!

俺の結界を破る事など

一生無いぞ!


それよりもポルトガ王へ

問う問題がある!


返答次第では?

王族の血を根絶やしにする。」


ビタッと攻撃が?止むと

玉座の王が右手を上げて

攻撃を停止させて


「我が名はポルトガ王国の王アンドリューだ!!


スペイ王国からの使者にしては?

礼儀知らずな無法者が!


何用ぞ!?」


玉座から立ち上がりもせずに

無礼者扱いされて、ルシファード兄上が猛然と反論する。


「私は、スペイ王国の

皇太子ルシファードだが!


そちらが先に戦争を仕掛けてきたのであろう。


その意味を理解した上での王としての発言であるならば


王としての矜持も品性も器も無い無能の王としか………

判断するしかあるまい!」


と眼前で愚弄して見せた。

ルシファード兄上を見た

元第2王妃アレキサンドリアがヒステリックに叫ぶ!


「あの者が、私と息子のギルザルシーを無実の罪でスペイ王国から、追放した何の取り柄もない愚かな皇太子です。」


とアンドリュー王に訴えかけた。


ルシファード兄上が憤怒で顔色を変えたので、俺が話に割ってはいった。


「両国間の関係に無駄な争いをなくす為に、スペイ王国の王が本来ならば、打ち首に成る程の反乱を起こしたにも関わらず………

その罪状をポルトガ王国の判断に委ねたはずですが?


如何なる理由で其の場に立っているのかが、理解に苦しみます。


宰相にも注意喚起の為に書状は、別に書簡として贈っているはずですが?


其の宰相がこの場には、同席していませんが?

どう云う理屈なのですが?」


その返答には、近衛隊長のダニエルがハッキリと

答えた。


「宰相殿は、原因不明の病で現在宰相代行のギレッシェル伯爵が、宰相代行の立場にあります。」


またこいつなのか?

一抹の不安が拭えずに


「どなたか?

突然の原因不明の病で

寝たきり状態へと、陥ってしまった御方はいらっしゃい

ませんか?」 


と問えば


「あの〜第1王妃である。

母上様が、現在寝たきりの状態にあたります。


医者が言うには、原因不明で治療方法が無くて治癒魔法も…………全く効果が無く……

衰弱化が進行する一方なのですが…………………」


不安そうな緊迫した表情の

ルシファード兄上と差程年齢の変わらぬ青年が、前にのめりになり俺の前で、ハッキリと発言した。


要は、スペイ王国で起こした反乱をこのポルトガ王国でも

起こした証拠である。


誰もが疑いもせずに………

水面下で行動を起こしたのだろうが?

その事実を証した俺が!?

この戦争に真っ先に現れる等、想像の範囲外だったはずの元第2王妃のアレキサンドリアの顔色が曇り始めた。


「そのままだと、恐らく1年余りで、貴方の母上様と

宰相殿は……………


衰弱死するでしょう。

助けたければ、自分の言う事を聞く意外には、方法は有りませんよ!


スペイ王国の反乱と丸っきり同じ状況に計画的に成されて居るのですから…………」


ポルトガ王国の第1王妃の御子息は、表情を強張らせながら


「ソナタが母上様を治せるのであれば…………

例え国王であるアンドリュー王に、逆らってでも母上様を私は助け出したい。」


切実に訴えかけて来た。


「ルシファード兄上!

コレを持って居て待っていて下さい。


結界を発動させている魔石です。


あの御方のお気持ちは?

母上様を亡くされたルシファード兄上が、一番理解出来るでしょう。」


と耳打ちしすれば


「あぁ そうだなな!

この場の断罪追及は私に任せて、トモルシードは

2人を助け出してやれ!」


と返答し


アレキサンドリアとギルザルシーとギレッシェル伯爵を

見渡しながら


「スペイ王国での反乱を、真逆? 自国でも繰り返すとは!?

強欲にも程がある!!


私個人に対する怨恨があるのは、理解できても

自分達の利己主義的な妄想に巻き込まれた

第1王妃と宰相の家族の気持ちを考えれば………


決して断じて許さぬ!!」


兄上の激情した発言に対して

ギルザルシーが後ずさりながらも


「許さぬとは?

一体全体何を証拠に

ポルトガ王国の問題に口を出す権利が貴様に有るのだ!」


と吠えた。


「貴様達のお陰で

全く同じ症状で死にかけた

本人が発言しているのだから、お前達3人に

反論は出来ぬはずだろう?」


と睨め付けながら

トモルシードは、2人の回復へと急げとルシファード兄上は、顎をシャクって命じた。


俺は、第1王妃の御子息に近寄り


「信頼できる側近と共に

貴方の母上様の場所へと

急ぎましょう。」


と迫れば


「側近達は、何が何でもこの御方を警護しろ!!


母上様の生命が何よりも優先される。」


その王子の発言に対して

側近達が、円状に俺と王子に背を向けてガード態勢を取りながら


「参りましょう。皇太子様。」


と言ってゆっくりと玉座の間から出ようとした所へ


「例え、第1王妃を助けるためだとしても国王陛下の許可無しに

この玉座の間から一歩たりとも出させはしません!」


と大柄な2メートル近い武人が

立ち塞がって物申す。

そこに割って入ったのが

ドラニちゃんであった。


「気にする事は無いぞ!

トモルシードよ。


此奴の相手は我に任せて

一刻も早く其奴の母上を救ってやれ!」


と堂々と2メートルの大男の前で、宣言したのだが?


「こんな幼き者が、私を相手に出来るとでも?


寝言は寝て言うことだな!」


大剣を抜き放ち構えを取る

近衛隊長らしき人物に対してドラニちゃんも背中の鞘から白剣を抜刀して向かい合い。


「心配は無用だ!

お前達は、直ぐ様トモルシードを連れて急いで其奴の母上の元へ急ぐのだ!!」


慌てて歩き出した集団に向かい大剣を振りかざした近衛隊長の剣を赤い髪の幼女が真っ向から受け止めた。

ガッキーンと響渡る剣戟音と

大剣を振りかざした近衛隊長の顔がその事実に歪む。


「貴様は…………一体何者だ!」


白剣で近衛隊長の剣圧を

何事も無かった様に弾き飛ばして


「早く行け!」


と再度通告するドラニちゃんに対して


「あぁ。 後は頼んだよ!」


と言い残して俺は、皇太子と側近達と共に玉座の間から出て行った。


走り出したその先の部屋が

第1王妃の部屋であった。


「今直ぐに母上様に!

面会をさせよ!」


と第1王妃の側近へと詰め寄った皇太子の姿を観て

必死な形相をしながら母上様の身を案じる姿に

親子の絆を改めて

感じ取った。


皇太子と共に第1王妃の寝室へと通されて………


「今直ぐにベットを移動して、その下のカーペットを

剥ぎ取って下さい。」


と皇太子に告げると!


「この御方の仰る通りに

行動して欲しい。」


と其の場に居る第1王妃の側近達に頼み込む皇太子へと、

執事長らしき人物が

承諾して、ベットの移動を

丁寧に行った。


俺が、カーペットを強引に引き剥がした其の下に!?

呪術の魔法陣が描かれていた


その魔法陣を観て皇太子の顔色が一瞬で蒼白くなり


「何なんだ! 

こんな魔法陣がいつの間に


母上様の寝室に…………………」


と唖然とし、その瞳は憤怒で

厳しい目の光を燃やしながら


「スペイ王国の貴方ならば

この魔法陣を何とかして


母上様を助け出せると!?」


余りある怒りで俺に対して

詰め寄って来た皇太子に

黙って頷いて、収納魔法から

大きな筆を取り出して


「呪術の魔法陣から

少し下がって下さい。


今から、この魔法陣を解除

します!」


俺は、学んだ呪術の解除方法にて少しずつ魔法陣を筆に魔力を込めて消してゆく。

完全に魔法陣を解除してから

ベットを移動した上に眠る

第1王妃の様子を伺った。


「これで、母上様は助かったのか?


まだ意識は戻らないぞ!」


と皇太子がその憤怒を俺に

向けたが、同じ立場ならば

俺も同様にまくし立てただろうから、自然と怒りは沸かなかった。


収納魔法から紅い花のポーションを取り出して


「コレを飲ませれば、直ぐに意識を取り戻しますが?


条件が有ります。」


一体何を言い出すのか?

と非難の目が俺に殺到するが

俺自身には、何も影響は無い

戸惑いながらも皇太子が

何が条件なのだと問う。


「ポルトガ王国の王は、完全に元スペイ王国の第2王妃

アレキサンドリアの魅了の魔導具により、操れています。


そうなれば、第1王妃の皇太子の母上がこの王国の次点での権力者として、必ず自分達への協力を惜しまない。

この誓約を求めます!」


自分の母親を優先するのか?

はたまたポルトガ王国の

アンドリュー王に加担するのか?

の二択を俺にせまられた状況だ。


暫しの沈黙の後に


「父上であるアンドリュー王が、魅力の魔導石により

操られているのならば

私は、母上様の回復を優先させる!」


強い意志で皇太子に!

宣言されて、紅い花のポーションを第1王妃の口にほんの少し垂らしらて、5分程の様子を伺った。

意識を取り戻した第1王妃は

事態の深刻さを理解した上での、契約の締結の条件を新たに追加された。


その後直ぐにベットから起き上がり 


「着替えの御時間を………

頂けますか?」


と第1王妃に問われて

赤面しながら寝室から出て……

応接室にて、待ちながらも

皇太子に今後の展開を

話して聞かせ納得をして貰い行動して下さいと

念を押して居たら………


「さぁ!

今度は、私達親子の絆にて

反撃を開始するターンですよ! 準備は宜しくて!?」


とドレス姿にレイピアを携えた第1王妃が息子である

皇太子に告げる。


その足で今度は?

宰相殿の城内に有る救護部屋に向かった。

宰相殿の側近達が第1王妃の来訪と皇太子の姿を見て

慌てて特別待遇の医療部屋に案内した。


想像通り第1王妃と同じ症状で、どんな治療方法も受け付けずに衰弱可が進行するのを止められないと、王国専属の医者から報告された。


その特別待遇の部屋のベットを第1王妃と皇太子の護衛騎士に移動させて…………


その下の絨毯を俺が剥ぎ取れば……………

第1王妃とは、種類の異なる呪術の魔法陣がハッキリと

描かれて居るのを、見た者達が言葉を無くして………………


「御年齢から来る原因不明の病だとばかり……………」


と宰相殿の側近達が自分達の見立て違いを後悔し

俺に懇願する。


「第1王妃も同じ様な衰弱化が、かなり進行して手の施しようが無かったと、聞き及んでいました。


その第1王妃が、今この時

そんな事実が無かった位に

お元気に回復なされたのならば、宰相殿の衰弱死を免れる方法もあるのでしょうか?」


自分達が仕える主人に寄って

彼らの今後の行く末も決定するのだから………必死なのだ!


「宰相殿には、個人的な協力関係も必須条件になる。


関係者以外と言っても

第1王妃と皇太子には、事の経緯を見定めて貰う。


その他の配下達は、一旦席を外して欲しい。」


と俺は念を押した。

少々怪しみながらも俺の条件を飲む形になった者達が、一斉に外に待機して、特別待遇の部屋の中を気にして居る事に、気が付いたがスルーしながら収納魔法から、大きな筆を取り出して呪術の魔法陣の解析を急いだ。


よっぽど嫌われて居たのだろう。呪術の魔法陣は予め2重に施された魔法陣であり難解極まりないのだった。


知ら無くていい事実を知り

宰相殿の呪術の魔法陣を

丁寧に解除してゆき

紅い花のポーションを取り出せば!?


「それは!?

一体何なのですか?」


と第1王妃から問われて

仕方が無いので…………………


「ポーションですが……………


只のポーションとは、レベルが段違いな最高級品で有り

全身の傷や病魔や魔力回復と、効能が普通のポーションとは全く違う貴重な物ですね!」


今回の様な非常事態で無ければ………………用いません!!」


と第1王妃に答えた。

譲って欲しいと頼まれても

断る為の理由を…………………

提示しながら、宰相殿へと

ほんの少しの紅い花のポーションを飲ませた。


ほんの数分後に目を覚ました宰相殿は? 

第1王妃と皇太子が揃って

自分を心配した表情で

見つめられている事に

唖然としながらも………………


「第1王妃様と皇太子がお揃いで、私に御用がお有りなのですか?


然し何故私が?

もう死を覚悟していた筈が。」


ベットから降りて首を傾げる

が?


「この御方のお陰ですょ。


宰相も私くしも助けて頂きましたのよ。」


そう言って、俺を宰相に紹介してくれた。

軽く頭を下げて、今の状況を2人に語った。


「ポルトガ王国が?

スペイ王国へと戦争を仕掛けたのですか!?」


信じられずに俺に問う宰相殿の瞳に疑心暗鬼が窺えたが


本当の事なので、だからこそ自分が御二人を、助け出して

両国間を戦争へと導いた

最悪の策を弄した者に対して

反撃する為に2人には、

スペイ王国サイドとして

策略により正常な判断が出来ないポルトガ王アンドリュー王と…………敵対して貰いまよ。

と説得した。


「アンドリュー王が、真逆?戦争を仕掛ける程に…………


分別を無くすとは………………


アンドリュー王の命さえ助けて貰えれば、この王国の宰相として、全力で貴方の望み通りに動きます。」


と宰相殿が、誓えば


「私くしも、アンドリュー王を助けて貰えれば!


貴方達の意向に従います。


皇太子である貴方もこの母に従う様に!」


皇太子が頷いて了承したので


「それでは!

先ずは、宰相殿にはポルトガ王国へのスペイ王国が贈った書状とは、別に宰相殿宛の書簡を持って来て下さい。


それと、分館に命じて

元スペイ王国第2王妃アレキサンドリアと元第2王子ギルザルシーの罪状を贈った書状を、皆の前で読み上げて下さい!」


そう伝えると、宰相殿は側近へと命じて、書状を探す様にと命じて自分自身も書簡を探し出して


「先に玉座の間へと行かれて下さい。

私も直ぐに、書簡を持って参上致します。」


兎に角、ポルトガ王国での協力者を得た俺は玉座の間へと

第1王妃と皇太子とその護衛騎士数十人と共に急いだ。


俺達が玉座の間に戻って来た時には!?


ドラニちゃんが、厳つい近衛隊長の剣を叩き折り

拳で吹き飛ばしていた!!


俺は、何があったのだ?

とトールに問えば?


「トモさんが玉座の間から

出ていかれた後は、様子見をしようとルシファード皇太子と話し合い決めましたが……


あの近衛隊長が、ドラニちゃんを笑い者にして来て…………


ドラニちゃんを止める暇なく勝手に結界から飛び出して


近衛隊長の攻撃を素手で全てを躱し、逆に近衛隊長を侮辱してしまい…………………


最終的にトモさんが御覧に成られた状態に成ったのです。」


そうか。まぁドラニちゃんに

喧嘩を売る何て……………

バカな真似を取った

近衛隊長に視線を向けたが

どうやら意識を失って居る様だったので、ルシファード兄上に話の流れが?

どうなったのか?

問えば…………………


「ドラニちゃんの騒動で

何の進展も無かったぞ!


トモルシードの方こそ

何かしら良い結果を得て来れたのか?」


勿論、最高の協力者を得ましたよ。と答えて第1王妃にサインを贈った。


「アンドリュー王。


何ゆえに?

スペイ王国との戦争へと?


歩みを進めたのでしょうか?」


第1王妃が無事に衰弱死から

全快したというのに………………

アンドリュー王は?

元第2王妃のアレキサンドリアの反応を気にし始めたのだ


この状況に周りの衛兵達も

文官や大臣達までが

アンドリュー王の不可解な行動に対して、始めて疑問を持った様だ。


「父上様!

スペイ王国は、完全なる敵国です!


如何に第1王妃の言葉としても国王の意見に、口を挟めば反逆罪です!


無視して早くこの者達を

処刑して、スペイ王国を

潰すのです!」


元第2王妃のアレキサンドリアの言葉に対してアンドリュー王は、安心して


「早くこの者達を抹殺するのだ!


我がポルトガ王国と敵対するスペイ王国全土を焦土と化して、どの国々にも知れ渡る最強国としての名誉を

我が手に!」


と命じた。

呆れ返る第1王妃と皇太子

そこに宰相殿が飛び込んで来た!


「恐れながらアンドリュー王へと、進言致します。


元スペイ王国の第2王妃だったアレキサンドリア様と

元第2王子だったギルザルシー様は!


スペイ王国で反乱を企てて、

追放処分に成った犯罪者では? 有りませんか!?」


その言葉に周りの者達が

不信そうにアンドリュー王へと視線を、一斉に向けた………


「そんな証拠が何処にある。


今はこの私が宰相である!


ソナタの言動に何の権利も無い!」


と宰相代行にまで這い上がったギレッシェル伯爵が

当然の権利とばかりに

宰相殿に反論する。


然し、宰相殿はこの書状が何よりの証拠です。

と周りの大臣達にスペイ王国からの罪状を記した書状を

見せ始めた。


コレは!?

確かに、スペイ王国から反逆罪で国を追放するが

戦争を下げる為に、元第2王妃と元第2王子そしてその関係者として、ギレッシェル伯爵の名まで記載されておる!


と書状を読んだ者達が騒ぎ始めた。

それに加えて宰相殿宛の書簡も皆の前で、見せられた。


どの様に元第2王妃と第2王子が反乱を企てたのか?

そして、その企てによりスペイ王国の第1王妃が呪術により衰弱死させられて…………

危うく第一王子のルシファード皇太子もその被害者に成る一歩手前まで衰弱させられた事実を書き連ねてあった。


動揺するポルトガ王国の重鎮達にルシファード兄上が一喝する。


「暫しの間時を下さい!


私の名は、スペイ王国の皇太子ルシファードである!


元第2王妃と元第2王子に殺されかけた人物です!


スペイ王国の王ルシファー王は、戦争を避ける為に

反乱という大罪を犯した者達の処罰をポルトガ王である

アンドリュー様に託された。


なのに……断罪するどころか?

その仲間を寵愛して、役職に就かせるたとは!? 


スペイ王国での出来事を繰り返しアンドリュー王を魅了の魔道具にて、思考を奪って

恨みがあるスペイ王国へと

戦争を、

仕掛けたのでしょうね。」


ルシファード兄上の演説に

ポルトガ王国の重鎮達の視線が?

宰相殿へと一斉に集まり!?


「これが事実で有るならば…


我が国の恥で有ると同時に

命を賭けてでも

アンドリュー王を魅了の魔導具にて、戦争を引き起こした張本人に鉄槌を下さねば!」


そう決断しアレキサンドリア

ギルザルシー

そして、宰相代行の

ギレッシェル伯爵に

睨みを効かせた状況は?

一触即発の自体を招いていた


「ポルトガ王国の皆さんの御気持ちも理解した上で、申し上げます!


スペイ王国では、奴等の企てにより、私と弟は第1王妃だった母上を呪術によって……

暗殺された恨みが有ります。


しかも、今度はポルトガ王国とスペイ王国の戦争まで…………


私達には、当然その者達へ

復讐心が溢れ出して居るのを、必死で堪えて居るのですから!


当然の権利として、ギルザルシーとの決闘を断固として

主張致します。」


と悠然とした態度でルシファード兄上が、条件を出した!


無理も無い事だが……………

その発言に対してポルトガ王国の反論は一切無かった。


痺れを切らせたギルザルシーが、呻き声と共に!


「良かろう。スペイ王国でおったこの右手の義手が疼き出した。

本来ならば、この傷を与えたトモルシードを相手にする処だが……………………

俺の代わりに皇太子に成ったルシファード皇太子の挑戦を!?

この身で受けて立とう!!」


表面上では、致し方無いとは語ったが?

明らかに俺との勝負から逃げている事は?

ルシファード兄上も

感じて取っている。


だからこそ異常なまでのルシファード兄上の激情が、手に取る様に理解が出来た。


「ルシファード兄上、恐らくギルザルシーの義手のパワーは?

本来の右手のパワーの数倍の力があるに違いありません。


ルシファード兄上も

ガルゴフリードとの特訓で得た力を持ち合わせていますが…………………最初は?


ギルザルシーの攻撃を何としてでも、耐え抜いて下さいょ。


少しでも有利になれば?

ギルザルシーは、図に乗りますから………身体強化しその後にその悪辣な性格事惨殺して欲しいのです。」


と耳打ちすれば

ルシファード兄上は?

沈黙して強く頷いた。


試合時間無制限の決闘が開始されようとしていた。


「ルシファード兄上は?

フラン学園都市では?

Aクラスの実力者でしたが


スペイ王国では、病魔に侵され禄に剣術を鍛えられなかったのでは?


自分は、トモルシードによってこの右腕を失いましたが…


パワーアップしたこの義手のお陰で、レベルアップして居ますけれど……………


本当に大丈夫なのですかぁ。」


とルシファード兄上を挑発しながら、品性の欠片もない

笑みを浮かべてルシファード兄上を見下げて来る。


ギルザルシーは、知らない!


ルシファード兄上が、スペイ王国の剣豪と呼ばれた

ガルゴフリードに鍛え上げられて来た事実を………………


以前のルシファード兄上ならば?

ギルザルシーの発言に対して

異論は? 無いが………


その身を持って知ればいい。

そんな感想しか浮かばなかったが!?

俺は、思念伝達でルシファード兄上に策を伝えられるのだから、この決闘に対して不安は1ミリも感じなかった。


ポルトガ王国のアンドリュー王が見据える玉座の間で、

義母兄弟の決闘が遂に始まった!!


ギルザルシーは、己の義手のパワーに自信を漲らさて


「俺の一撃で吹き飛んでしまえ!!」


と叫びながらルシファード兄上へと剣撃を振るった!?


その一撃のパワーをルシファード兄上は?

正面から受け止めたが………


その場から2・3歩後退は

した物のギルザルシーの一撃を耐え抜いて!


「確かに。以前の自分ならば、吹き飛ばされて居たかも知れない程のパワーだったが…………………


剣豪に師事を受けた今の自分ならば、誤差の範囲内でしか無いぞ!

ギルザルシー!!」


この言葉にギルザルシーが

血相を変えてキレた。


怒涛の攻撃を、ルシファード兄上に仕掛けた。

だがルシファード兄上は、その剣閃を正面から受け止めずに……………………

全ての攻撃を受け流して

対処する。


自分の攻撃が、受け流されて

ギルザルシーに焦りが伴い

右腕の義手のパワー任せの

荒い剣撃に変化すれば………


ルシファード兄上は、余裕を保ちながら、ギルザルシーの

体制を崩してその隙を逃さずに蹴り上げる!


想像さえしていなかったルシファード兄上の反撃の蹴りに

ギルザルシーは?

慌てて


「ギレッシェル伯爵!

あの呪いの妖刀を出せ!」


ギレッシェル伯爵が素早く

ギルザルシーへととある剣を渡しながら?


「長時間のこの妖刀の使用には、身体への負担がキックバックされますので、注意成されて下さい。」


始めて聞いた呪いの妖刀と言うセリフに対して、俺はルシファード兄上に身体強化の魔法の使用許可を思念伝達で伝えた!


やっと身体強化を解放出来るとルシファード兄上は、その身に、身体強化を張り巡らせてギルザルシーに相対する。


ギルザルシーが鞘から抜き放った呪いの妖刀は? 


妖しく鈍い黒光りを放ち

禍々しい剣閃を繰り出した!


それでも、ルシファード兄上の剣は、この俺が自ら創り出した大怪獣のインゴット製の

剣である。


ギルザルシーの呪いの妖刀を身体強化したルシファード兄上は?


軽々と弾き返した。


「何をした!?

呪いの妖刀を弾き返すだけの剣撃など!?


先程までには、無かったはずだろう……………」


この結果呪いの妖刀を持つ

ギルザルシーが、少しずつ

精神を侵食され始めて

呪いの妖刀で剣撃のラッシュを始めたけれど…………………


ルシファード兄上は、身体強化で視力強化もアップしたそのその瞳で、ギルザルシーの

攻撃を弾き返し

精神的に追い込まれ呪いの妖刀に精神を蝕まれて

ギルザルシーが破壊衝動に

突き動かされて逝く。


もうギルザルシーが決闘をして居る風では無く。

呪いの妖刀自身が反射的に

ルシファード兄上の反撃を

妖刀自体の思考で受け止めている様な非常事態だ!


ルシファード兄上の身体強化は、持って15分から20分

なのだが、その内の10分を超えようとしていた。


ここ迄来たら?

ルシファード兄上の身体強化が切れるか?

ギルザルシーが呪いの妖刀に

その身体を滅ぼされるのか?


時間の問題だ!


俺は!

ガルゴフリードから

伝授されただろう秘奥の剣閃を最終的に使わなければ…………


ルシファード兄上の身体強化が切れてギルザルシーに負けるかも知れないと頭の隅に

感じ取って、思念伝達で

ルシファード兄上へ

ガルゴフリードより授けられた最終奥義を今出さなければ


身体強化が切れ

ギルザルシーに負けると

伝えて、ルシファード兄上に

決断を委ねた。


ギルザルシーが、あんな隠し玉を持っていた事自体も驚愕するが?

もう少しルシファード兄上の

肉体強化で基礎体力向上を

上げておけば?


身体強化の時間も永くなり

もっと余裕でギルザルシーを倒せていたと後悔が俺を襲う


意を決したルシファード兄上が、剣の構えを突然変化させた。

恐らくその構えがガルゴフリードの秘奥の剣撃なのだろう


呪いの妖刀に身も心も乗っ取られたギルザルシーも

その変化に呪いの妖刀が

察したのだろうか!?


大上段に構えてルシファード兄上の様子を伺って居る様に感覚として理解した。


両者が互いに一撃に全てを賭けた。


同時に攻め込み

シュキーンと剣閃が成った!


先に片足を地面に付いたのは


ルシファード兄上であった。


が………………………………………………


ギルザルシーの身体がグラリと揺れるとバッターンと

ギルザルシーが呪いの妖刀をその手から離して!?

倒れ込んだ。


この決闘の勝者が決まった!

ルシファード兄上が、その秘奥義にて、勝利をその手中に収めた。

然し、身体強化事態も同時に切れ見立てよりも、酷く切迫した決闘であった事を

物語っていた。


俺は、直ぐにルシファード兄上に回復魔法を施して……………


「この後の事は?


暫くの間は、見守って居て下さいょ。


実に素晴らしい決闘でした。」


と言葉で伝えて、息子の死を眼の前で見せられて、発狂するアレキサンドリアを睨んで真相を語りだした。


「今の決闘をその眼にしてもアンドリュー王の瞳には、元第2王妃アレキサンドリアしか写ってない様だ?


どうやら………魅了の魔導具を複数個アンドリュー王へ

身に纏わせて居るらしいな。」


アンドリュー王を無視して

アレキサンドリアに問う?


「ナッ…何を証拠にそんな戯言を私くしに…………………

無礼が過ぎるのでは無いですか!?」


とギルザルシーの結末を見た後でも、アレキサンドリアは

己の否を認めなかった。


俺はアンドリュー王へと、向き直り、宰相の証拠があってもまだ、アレキサンドリアを庇う御積り何ですか?

とアンドリュー王へと問う。


第1王妃

皇太子

宰相殿

その他の大臣クラスは、愚か一兵卒にあたる者達までが

アンドリュー王の言葉を待つたが………………王の判断は………


娘であるアレキサンドリアの擁護であった。


腹を決めて行動に出る事に決断して?


「少々驚かれるかも知れませんが?

 たった少しの辛抱ですから御容赦下さい。」


そうアンドリュー王へと宣言して、低位瞬間移動魔法にて

ポルトガ王国の王の玉座へと移動して、アンドリュー王の右手の薬指の指輪

首から下げたネックレス

左手首に巻いた腕輪を一瞬で、抜取り元の位置に瞬間移動にて戻り!


「これで、アレキサンドリアからの魅了の魔導具全てを

アンドリュー王から、外しましたら………………………………………


数分後には、元のアンドリュー王へと戻れると思いますょ。 


家臣の皆さんも暫くの間は 、アンドリュー王を見守ってあげて下さい!」


と念を押して時間を待つ!


騒ぎ出すアレキサンドリアとは?

裏腹に、アンドリュー王の瞳に一筋の光が蘇り出すと…………


「ずっと前から、夢心地の様な感覚だったのだが?


一体何が?


私の身に起きていたのだ?」


と宰相殿へと問い掛ければ


「御息女であるアレキサンドリア様が………


魅了の魔導具を用いて

影からアンドリュー王を  操りスペイ王国との戦争を

企んで、実際に戦争を仕掛けました。」


と答えた宰相殿は、自分の責任だと嘆いたが…………………


「イヤ! ソナタの責任では無いぞ!


王であるこのアンドリューが、迂闊にも実の娘に騙されてしまった事を、恥じるしか無い!」


ポルトガ王国のアンドリュー王は、自分の失態を

この場に居合わせた皆に

詫びを入れて………


俺達の存在に気が付いた!?


「君達は?


もしかして?


スペイ王国の王族達なのか。」


俺は、その場から一歩下がって治療方法を終えたルシファード兄上をアンドリュー王の前に立たせて、返答を促した


「御挨拶が遅れましたが


私は、スペイ王国の第一王子である。


イェ………スペイ王国の皇太子のルシファードと申します。


この戦争の被害者を一人でも大勢助ける為に、ポルトガ王国へと侵入した者でも在ります。 苦言は?


この一件の解決後に、お願い致します!」


とアンドリュー王に

直訴した。

一国の皇太子であっても、他国の国王へと直接希望を

願い出る事が、如何に非常事態かを思い知らされる。


この世界には、この世界の常識が有るが?

俺の前世での感覚とは?

一線を画すのだから

平気で無茶も出来るし、また今までやってこれたのだから…


だが? ルシファード兄上の 

アンドリュー王への要望は?

それだけでは無かった!


「元スペイ王国の第2王妃アレキサンドリア

元第2王子ギルザルシー

ポルトガ王国の宰相代行の

ギレッシェル伯爵

この3名の人物には、己の策略の暴露させた後


3名共に、死罪を望みます。

それが、戦争を引き起こした者の責任として…………………


スペイ王国の皇太子として、戦争を引き起こした者の末路だと…………………


宣言して頂きたく願います。」


とアンドリュー王へ訴えた。

文字通り自分自身の命を賭けて言い放った!


「戦争を引き起こした…………

張本人で有る私もその範囲の中に当てはまるのではないのか!?」


とルシファード兄上は?

問い正されたが………………

ルシファード兄上は?

スペイ王国での3人の蛮行により、ルシファー王もまた

魅了の魔導具にて国の反乱に 

加担させられた事実を

語って聞かせた!


その事は、一部の人間しか知らない出来事であれど?


国王の立場と政治の話とを

別の事例だと判断して

アンドリュー王へ

答えを述べた。


スペイ王国のルシファー王も

ポルトガ王国のアンドリュー王も被害者で有ると暗に

語った。


ポルトガ王国の家臣達も同様に胸を撫で下ろして居ている事が、俺にも理解が出来た。


こうして、正気を取り戻したアンドリュー王と

第1王妃と皇太子と宰相殿が

この議題に付いて

俺達の前で話し合い始めた。


結論から言えば!

アレキサンドリア

ギルザルシー

ギレッシェル

の3名の死罪がこの場にて

執行される運びと成ったが

ギルザルシーはルシファード兄上との決闘により、既に

息絶えているので、


厳密に言えば

アレキサンドリア

ギレッシェル

2人の処刑執行に成る。


2人の断末魔が玉座の間に響き渡ってその死を確認した

俺達はポルトガ王国を去ろうしたのだが!


「お待ち下さい。

スペイ王国への損害賠償と

戦争を引き起こしたからには、和睦締結を結ばなければ…………終戦には成りません」


と宰相殿から引き止められたのだから、その件に関してはルシファード兄上よりも

俺の方が良いとルシファード兄上に任せて頂けますか?

と耳打ちすれば、解ったょと

返されて、一歩前に進み


「戦争が勃発した事実を知る者達は、スペイ王国には居ません。


だから終戦宣言など無用だとなります。」


突然の発言に対して

ポルトガ王国の宰相殿が慌てながらも俺に問う。


「どうして?

戦争が始まったのか?

最初から解って居て

たった5人でポルトガ王国の居城へと!?」


不信感を顕に尋ねられて


「スペイ王国での元第2王妃アレキサンドリアの在り方を知っていましたから……………


失礼ながら密偵を忍ばせて

動向を監視させて居ましたので、軍事力を動かしたその日に大体の予測は出来ました。


だから最も被害者が出ない

方法として、ポルトガ王国

に5人で攻め入りました。

これが真実です!」


俺が発言した事柄に深い溜息をしたアンドリュー王から


「全ての大罪者の元凶が

娘だったとは…………………


然し、戦争を引き起こした事は?

事実だからスペイ王国のルシファー王が御存知無くてルシファード皇太子が全てを理解して居るのだから和睦だけは

執り行って起きたく思う。」


そうアンドリュー王から発せられた言葉に対して俺は


「それではどうでしょうか?


両国の皇太子間での将来を見据えた条約を結ぶ!

というのは?


勿論、戦争に付いての話は無く、飽くまでも両国間の良好な関係性への調印を

アンドリュー王が責任を持って見届ける形にするのです。」


その提案に宰相殿も第1王妃も俺に賛同して、アンドリュー王の判断に委ねられた。


「ルシファード皇太子が

其の案で構わなければ、

其の様に取り計らうが!?」


ルシファード兄上は、当然だと大きく頷いて了承した。


これから、2人の皇太子での

会合が始まる。

アッ!!と我に返った。


捕虜として捕らえて閉じ込めたままの3人の事を思い出して

直ぐに、牢獄から3人の大将格を出して……………


「済まなかった。

事柄重大だった為に

すっかりお前達の事を失念

していたよ。」


謝罪した俺に


「中で事の経緯を知る事が出来ましたし、ポルトガ王国への心有る対応をして頂き

感謝しかありません。」


と軍人らしくビシッと一礼してから、その場から去って行った。


話の腰を折る事を我慢していたドラニちゃんがやっと

口を挟む。


「我の活躍の場が全く無かったぞ!


こんな所まで、連れて来た

くせに!」


と言われてしまい。

何とか?

食事で誤魔化そうと考えた!

そのタイミングで


「ルシファード皇太子と

私くしの息子が会談を開くのですから、トモルシード様が生命の恩人で有る事実の御礼をさせては

頂けないでしょうか?」


とポルトガ王国の第1王妃から話を頂いて助かった。


「それならば、会談中に残った仲間に食事の提供をして頂ければ、それで十分です。」


そう答えると、第1王妃の行動力は早かった。

直ぐに側仕えに命じて

王の玉座から第1王妃の部屋の中に案内されると

次々に食事が用意されていった。


ドラニちゃんは?

満足そうにゴクンと喉を鳴らして、直ぐに席に座り


「お前達も速く座れ!


食事会が始められぬでは無いかぁ。」


と上機嫌にトールとネメシス

当然俺にも命じる。

その食欲に第1王妃も

驚きを隠せずに

クスクスと微笑を

浮べて居た。


無事に皇太子同士の会談も無事に終わったと知らせが届いたので、第1王妃の食事会からお暇し玉座の間に戻った。


俺は、何かしら剣聖や剣王が

この戦争に対して行動を起こした場合に備えて


アンドリュー王と宰相殿に

書簡を渡して


「仮に剣聖や剣王が、この戦争に付いて何かを言い出した場合は、この書簡を必ず渡して頂きたい!」


とお願いしてから

その場から低位瞬間移動魔法にて、ポルトガ王国の玉座の間から自室応接室に一瞬で戻った。


「お帰りなさいませ。

ルシファード皇太子様

トモルシード様

ドラニちゃん

トール

ネメシス。」


と突然の帰国にも関わらずに

セバースが出迎えてくれて

直ぐに御茶の用意を始めた。


ルシファード兄上は?


「本当に我々だけで

ポルトガ王国との戦争を

阻止出来たのだな。


今頃に成って、震えが来たよトモルシード。」


と深い溜息をその場で

自分の胸を押さえながら

吐き出した。

そこにセバースが入れたばかりのコーヒーが香り高い芳醇さでルシファード兄上の気持ちを落ち着けさせた。


「本当ですねー


ルシファード兄上の活躍で


母上様の敵を一掃出来ましたよ。


決闘でギルザルシーの呪いの妖刀とか?


反則的な剣を出された時には、肝を冷やしました。」


とルシファード兄上に返答したその時に


「アレは、ガルゴフリードのお陰に他ならない。


アッ………ガルゴフリードが

居ないぞ?


トモルシード!」


俺もスッカリ忘れてしまっていたのを思い出した。

シマッタ!!


ガルゴフリードの事を

国境線の防護壁の上に忘れて来てしまっていた事実に…………


「少しルシファード兄上には、待っていてください。


国境線の防護壁の改築工事と、ガルゴフリードを迎えに行って来ます。


ドラニちゃん達3人は?

ルシファード兄上とゆっくりと待っていてくれ!」


俺は直ぐに低位瞬間移動魔法で、ガルゴフリードの元へ

移動して、事の経緯をガルゴフリードに話してから


防護壁の出入り口を設計図通り数カ所空けて、スペイ王国側に魔石とインゴットの錬成で軍の滞在中に住め込める為の施設を創り出してから

ガルゴフリードと共に

自室に戻った。


「少し遅かったのでは無いのか?

トモルシード!」


とドラニちゃんに突っ込まれた。

防護壁に軍隊を派遣する為には、生活する建物が必要だったからと、皆に説明しながらコーヒーを飲んでホッと一息を付いた。


その後ルシファード兄上とガルゴフリードが落ち着きを取り戻して、俺の部屋から去って行くと、日曜日の夕食時になり


何とか?

フラン学園都市の学園の休みの期間内に一連の騒動の解決

が、終わった事に安堵して

夕食をフラン学園都市でするのか?

スペイ王国でルシーシアと共にするのか?


ドラニちゃんが、勿論判断を下した。

フラン学園都市よりも

ルシーシアの夕食の方が

圧倒的なまでに

美味しいと主張するのが

ドラニちゃんの出した答えだった!


俺は、セバースにルシーシアに一報を報せてくれ

と頼んで、またコーヒーを味わった。


スペイ王国での晩餐じに

ソフィーシア様から鋭い直感力の質問をされて、

返答に苦労したが…………………

何とか誤魔化し切った?

のか?

判断は微妙だった。


そうして、夕食会を済ませて

自室に戻りセバースに

ジンのポルトガ王国への

密偵のミッションを終わらせてスペイ王国の帰還を命じて

フラン学園都市のスペイ王国の寮の自室へと

低位瞬間移動魔法にて

無事に戻った。


明日からまた普通の学生生活が、待っているのだから…………

これからが、冒険者に成って

仲間達をダンジョンの地下牢獄から助け出して行くと


新たに、気を引き締める

トモルシード!

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