「第94話」あいさつ
慌ただしく日々は過ぎていき、テスト週間の1週間が終わった。もう既に7割の科目はテストを終えた。
一足先にさき達の高校仲間はあと3日でテストが終わる。
出産もどうにかテスト後になりそうだ。
いつものように昼食を食べ、午後のテストを受けると解散となった。
帰り際にさきが「まみとユウキ。申し訳ないけど、来週水曜日まで昼食あるけど、その後はないから。ごめんね。」
まみ「いいよ。来週木曜日以降は1日1科目しかないし、休みの日もあるから。」
ユウキ「はい、私も大丈夫です。」
ゆな「あなた本当に大丈夫なの?試合前に食べないのダメだからね。」
ユウキ「食べないことはないですから。」
ゆな「ダメ。全然信用出来ない。毎日練習よね。。おばさん。食券10日のやつ下さい。」
食堂のおばさん「4000円ね。」
ゆな「ありがとう。大盛りはいくら?」
食堂のおばさん「ご飯のおかわりはタダだよ。おかずの大盛りはないねえ。足りない人はラーメンとか追加するよ。」
理事長「やあ、ゆなさん。どうされました?」
ゆな「あっ、理事長。ユウキ、絶対昼ご飯抜くから買うのよ。貧乏でも削っていけないものあるんだから。」
さき「ねえ、みゆ。ゆなって意外と姉御肌なんだね。」
みゆ「なんか前からユウキには母性あるみたいよね。」
彼「アスリートだから食事管理には敏感なのかな?」
まみ「恋?」
3人「そんな訳あるか!」
理事長「お姉さん。その4000円。大学に請求して下さい。彼には無理言いましたので、大学が食費負担させていただきます。」
ゆな「いえ、私が出します。」
理事長「ゆなさん。あなたのおかげでさきさんの旦那さんの会社から多額の寄付を頂きましたから、今回ゆなさんが出すなら、ユウキさん卒業するまで昼食タダになりますよ。これは僕の男気でもなく、ユウキさんが学校に協力してくれたお礼ですから。」
ゆな「期待する成績にならなかったら?」
理事長「ユウキさんは、空手部に練習に来て、部員の指導しかしてません。過去にないくらい結束しています。それだけで既に成果ありましたから。全国大会に導いたら、コーチとしての対価をお支払いします。これは顧問からの強い要望がありましたから。対価は今は具体的には言いません。」
ゆな「分かりました。ありがとうございます。」
ユウキ「全力を尽くします。ありがとうございます。」
みゆ「理事長。ちょっとカッコいいよ。さき粋な人大好きだからね。そうだ。全国大会出たらYouTube配信一緒にしますか?」
彼「出来るかな?権利とかいろいろあるから。」
理事長「撮影許可もらいますか。確認しますよ。出来たらすごい反響あると思います。みゆさんか、彼のチャンネル、無理なら大学のチャンネルで打診してみます。」
みゆ「そういえば、コラボした女医さん。来週YouTubeデビューするって。後でチャンネルメールしますね。」
理事長「ちなみに私も8月末を狙って準備してます。」
彼「何だ言って下さいよ。手伝いますよ。」
理事長「いやー、それは是非お願いしたいですな。」
彼「夏休み中なら、週2日くらいなら行きますよ。」
理事長「では、また連絡致します。さきさん。無事赤ちゃん産んで下さいね。」
理事長は戻っていったが、ゆなは少し納得してない。
さき「ねえ、ゆな。何でユウキには母性出るの?」
ゆな「分からない。けど何故か放って置けない気持ちになる。」
彼「まあ、大切なのは間違いないから、深く考えるのやめよ。試合も近いし。」
ゆな「そうね。とりあえずたくさん食べれるから、ユウキ頑張りなさいよ。」
ユウキ「はい。」
みゆ「ゆな、ユウキ。私達は帰るわね。また来週ね。」
皆と別れたユウキは空手道場に入り、練習に励む。顧問は早めに切り上げ、ミーティングを行った。戦術について質問が飛び交い、ユウキが説明する。
最後にユウキが「皆さん。今回はいいですが、次からは皆さんで議論して自分達が正しいと思ったことを一丸となって取り組んで下さい。内容が間違っていても構いません。皆さん全員で同じ方向を向き、取り組むことに価値があります。空手だけでなく社会に出た時に役立つ能力を身につけることも大切だと思うのです。それに、この1ヶ月で皆さんは素晴らしい実力を身につけています。きっと私がいなくても素晴らしい成果が出せると思います。もちろん、今大会終了までは全力で取り組みますので、引き続きよろしくお願い致します。」
顧問「みんな、疲労している。土日は特別にオフにする。来週からまた頑張ろう。」
部長「みんな起立。ありがとうございました。」
部員「ありがとうございました。」
ユウキに先輩が近づき「ユウキ。明日2時によろしく頼むよ。」
ユウキ「気をつけてお越し下さい。」
部活が終わり、コンビニに入り、ケーキを2つ買う。
店員「ありがとうございました。」
えーっ!しまった。。まさかケーキ買うとは。。困ったな。私がもう1つ買うか。
なぎさ「お疲れ様でした。お先に失礼致します。」
外で待つユウキについて行き、裏道に入ると腕を組んだ。
なぎさ「どうしたの?ケーキなんか。」
ユウキ「明日、明後日オフになったから、なぎささんに食べさせたいなって。アパート解約出来ると余裕出来るからね。」
なぎさ「ユウキ。じゃあ、もう1つも持ってよ。今日ね、あの。。娘が来るの。」
ユウキ「えっ?」
なぎさ「だから3つないと体裁悪いわ。でも今日ケーキ買うなんていいセンスね。」
ユウキ「何か緊張してきました。」
なぎさ「大丈夫よ。もう結婚の許可もらいました。あっ、いるな。ただいま。」
春香「おかえり。」
なぎさ「ユウキさんよ。」
ユウキ「はじめまして。ユウキと申します。あの。。私、お母さんを真剣に愛しています。」
春香「ああ、はじめましてじゃないよ。この間、朝すれ違ったよ。急いでたみたいだけどね。」
なぎさ「ねえ。ユウキさんね、春香のためにケーキ買ってきたの。」
春香「嬉しい〜。食べましょう。」
なぎさ「2人とも紅茶でいい?」
春香「いいよ。」
ユウキ「ありがとうございます。」
3人でテーブルを囲み、会話がはずんだ。
11時に春香の彼が迎えに来た。
春香「想像以上ね。お母さんには贅沢かもね。2人ともお幸せに。そうだ!ユウキさん。大会私も見に行っていい?」
ユウキ「もちろんです。私は大学の方達と行くので、2人で来られるほうが道中安心ですし。」
春香「また来ます。試合頑張って下さいね。」
春香は、帰って行った。
なぎさ「春香も賛成してくれた。ユウキのご両親が。。」
ユウキ「既に話していますよ。大変喜んでくれました。」
なぎさ「えっえっ。。年齢とかバツイチとか伝えた?」
ユウキ「もちろん。好きになった経緯も、どんな生い立ちかも、娘さんのことも。応援すると言ってくれました。」
なぎさ「うそ。。ユウキ本当なの?。。私、幸せ過ぎる。ずっと不安だったから。ユウキ。。ありがとう。ユウキ。。」と涙が止まらない。
ユウキ「世界一幸せにする約束は守りますよ。」
なぎさ「明日はゆっくり過ごしましょう。良かった。私も休みにしたの。アパート行くしね。お風呂入って寝ましょう。ユウキ。愛してる。」
なぎさはユウキの腕に抱きついて眠った。目には涙が溢れている。ユウキは幸せにすると改めて誓うのだった。




