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SAKI 〜〜 ある少女の人生物語 〜〜  作者: ぴい
第1章 孤独からの解放
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「第8話」素直になれなくて。

 さきはキッチンに食器を片付けに行った。


 調理しっぱなしだった。さきは皿洗いし、片付けをする。そして最後にキッチンを綺麗にした。



 リビングに戻り、自分の部屋に入る前にひさおの方をチラッと見る。どうやら、ひさおは既に眠っているようだ。



 私、物心ついて初めて。。


 私、初めて一人ぼっちじゃない。。


 私にはひさおがいる。



 この気持ちは、家族と過ごした日々でも決して感じたことのない、初めて感じた安らぎだった。



 さきは一緒にいたいという、どうしても抑え切れない感情が湧いてしまい、ひさおの元へと向かった。



 さきはバスタオル姿でひさおのベッドに入ると、勇気を出してひさおに抱きついた。



 眠っているひさおと触れ合うと、さきは自分の体が信じられないくらい熱くなるのを感じる。 


 さきに起こった身体の変化は初体験だった。感じたことのないドキドキ。



 さきは初めての経験に戸惑い、みゆ。。こ、これって愛なの?恋なの?ねぇ。と心の中で呟いた。



 ひさおは目を覚ました。

 


 必死に抱きつくさきを見て、やっぱり不安なんだなな。と、ひさおは安心させるために頭を撫でた。



 さきには安らぎがあった。そしてひさおと触れ合うだけで大きな幸せを感じる。

 突然ひさおに頭を撫でられると、さきには、キュンと心臓が締め付けられるような感覚があった。



 あっ。恋だ。これって恋だよね?絶対に間違いない。ひさおを見た時の感情。


 あれ一目惚れだったんだ。。

 私が人を好きになることがあるなんて。



 誰がどう考えても恋に決まっていたのだが、経験のないさきはもしかしたらとは思ったが、判断に慎重だった。ひさおが絶対に失いたくない人だったからなのだろう。


 今や自身が確信したさきは、初めての経験でもっと知りたくなってしまった。



 目が覚めたひさおは、さきの頭を抱きしめる。


 時折、さきがひさおの顔を見ると、頭を撫でて、胸に抱き寄せ、また頭を抱きしめる。


 まるで大丈夫だよ。と伝えているように。



 さきは、チラッとひさおの顔見るために頭を動かす。その度にひさおは頭を抱きしめ直す。さきはドキドキしっぱなしだ。

 ひさおの厚い胸で抱きしめられ、さきは自然と気持ちが高まってしまう。



 さきは抱いて欲しかった。抱いてくれると思っていた。バスタオル姿で裸同然。なのに1時間経っても。。何故?私は魅力ないの?



 さきは我慢することが出来ない。どうしても望みを叶えたかった。



ついに我慢の限界になったさきは「あの。。わ、わたし、お礼しないと。」とバスタオルを剥ぎ取り裸になった。



 ひさおはびっくりして、さきはひさおから本日2回目のお叱りを受ける「さき!そんなつもりで家に入れたんじゃないよ。お礼なんて求めてないんだ。僕はさきの不安を消したかっただけ。あなたは価値ある人間なんだ。もっと自分を大切にしなさい。」



 さきは言葉を間違えたのだ。いや、素直になれなかったのだ。


 本当の気持ちを素直言わないと、ひさおは私を女としては見てくれない。。

 ひさおは欲だけで手を出す人じゃない。



 考えてみたら、私に手を出すような人なら、恋に落ちるはずがない。私、どうしたら。。この気持ちどうしたらいいの。。私、初めて男性を好きになったのに。。。どうしたら。。



 意を決して、さきは改めて気持ちを素直に伝える「ひさおさん。ひさおさんといると、私、生まれて初めて一人ぼっちじゃないって。。だから、お礼じゃないの。私、怖いの。一人ぼっちじゃないって気持ちが欲しいの。だからひさおさん。私を抱いて欲しいの。」



 ひさお「さき。ごめん。それは出来ない。僕は恥ずかしいけど、この歳で経験もない。それに、特に今は不安定なさきだから怖いんだ。僕はさきを傷つけたくない。皆があなたを傷つけたのかも知れない、だけど僕はあなたを傷つけたりはしないから安心して。」



 頑なに拒むひさおだった。


 さきはもう、どうしたらいいのか分からなくなってしまった。


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