「第5話」ひとりぼっち。
ついに、親だけでなく、ずっと住んでいた家までも失ったさき。
スマホも使えなくなった。金銭的に余裕はあったが、高校生では電話は契約出来なかった。
さきは公衆電話からおじさんに電話したが、泊まるとなると誰一人として対応してくれる人はいなかった。
みゆを頼るか迷ったが、さきは思いとどまった。友人とはいえ頼めない。そんな迷惑はかけられない。それに、彼女の家族から、もし冷たくあしらわれたらと考えると、そんな思いはもうしたくなかった。
さきは当てもなく、ひとりで茫然と歩いていた。
一方のみゆは連絡が取れなくなったことに焦り、必死に探し回るがさきをどうしても見つけることが出来なかった。
全く情報が得られなかった。分かったのは自宅の隣人から家が売却されたことのみ。さきの行方は全く分からなかった。
何で頼らないの!大切な友達よ。みゆは感情的になったが、さきの性格を考えると。。それに自分がさきの立場だったら自分も頼らないだろうとも思った。
お母さんと一緒にどこかへ行ったのかな。
歯がゆいけど、私は待つことしか出来ない。さき。無事でいてね。
私以外の誰でもいいから、さきを助けて!神様お願い!
みゆは強く祈り願った。もはや他に何も出来ることはなかった。
※※※
さきはついに一人ぼっちになってしまった。あまりに突然のことだった。まだ高校生なのに。
父親を失い、母親に捨てられ、苦しみながら住んで来た家までも無くなってしまった。
もはや、何の未来も見えない真っ暗な世界をさきは、途方に暮れ彷徨う。
たぶんもう既に3日は食べてない。ただ宛もなく彷徨っていた。
飲み食いするお金が無い訳ではなかった。食べることに意味を感じなかった。
神様がいるなら、私を殺して!!
さきは再び夜になった街を絶望的に彷徨う。
何度か転び、足からは出血している。手もケガして痛む。
さきは綺麗な女だ。夜の街で声をかけられないはずがない。しかし、あまりにも異様な雰囲気に怖くて声をかける軽薄な男すらいなかった。
下手に関わると死ぬか殺されかねない雰囲気を漂わせるさきに、決して誰も近づいては来なかった。
一人ぼっち。。。
もう頑張ったよね。私、十分頑張ったよね。結局私は誰も幸せに出来なかった。幸せにもなれなかった。
立ち止まり、ふと下を見ると膝から血が出ている。
さきは、笑えてきた。
お父さんが死んだ時から生理来てないや。生理なんて私には要らないものなんだ。身体が不要な機能を停止したんだ。
ふと空を見上げ、生理。。みゆ、心配してるだろうな。
空を見上げると、行くはずだった大学が視界に入った。
ごめんね。私、もう静かに消えるね。みゆ、彼と幸せにね。。
さきは覚悟を決めた。良い思い出であり、最悪の思い出である合格した大学を最期の場所にしようと決め、再び歩き出した。
大学は市街地の中心にありオフィス街でもある。地元では皆が憧れる全国的に人気の大学だ。
夜でも賑やかだ。が、あまりに異質なさきを皆避けていった。
しばらく歩くと、大学の塔が間近に見えてきた。
やっと。。あの高さなら大丈夫ね。私の最期の場所。
徐々に近づく。
大学行きたかったな。頑張って卒業して立派な会社で働いて家族を楽させたくて。。
みんな幻想だったんだ。
私なんか。私なんか。もう消えたほうがいいのよ。
最後に人生を振り返ると、枯れ果てたと思っていた涙が溢れてきた。
少しずつ大学に歩みを進めるさき。
突然、オフィスから出てきた誰かとぶつかり、さきは倒れてしまった。




