表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【改訂版】第七皇女は早くも人生を諦めたようです  作者: 蓮実 アラタ
1章 仕返し編
7/30

6 第七皇女は思案する

 この世界では人間は大きく二種類に分類される。それは魔力を持つか持たないかに分けられ、大多数は魔力を持たずして生まれる。

 しかし、魔力を持って生まれる人間も確かに存在し、魔力を持った人間はその力を以て国の発展や繁栄を手助けしてきた。


 それはヘルゼンブール帝国も例外ではなく、この国でもある一定数で魔力を持つ者が誕生する。

 その中でも特に魔力の高い者はその強すぎる力が体に影響を及ぼし、肌の色や髪、目の色素が抜け落ちることがある。

 そのため、髪や目の色が薄い者はそれだけ高い魔力を持つとされている。


 中でも遺伝的に銀色の髪に銀青の瞳を持つヘルゼンブール皇家はその髪と目の色から特に魔力が高いと言えるだろう。


 また魔力が高い者の中にはさらに一定数で自分の前世の記憶を持つ者が存在する。

 一般に「前世持ち」と呼ばれる彼らは、並外れた魔力と前世より持つ知識で数々の偉業を成し遂げたとされている。


 現在、そんなヘルゼンブール帝国には七人の皇女と三人の皇子がいる。


 ……まぁ実の所は現皇帝が愛妻家で知られていて、二人で盛り上がった結果子だくさんになっただけなのだが。あ、話が逸れた。

 その経緯は置くとしよう。お父様とお母様の閨事情なんて知りたくもない。


 今代の皇族には特に力の強い二人の「前世持ち」がいた。


 一人は私。「ブランテ王国女王エレスメイラ」の記憶を持つ第七皇女レスティーゼ。

 色素がない『白髪』を持つ私は今のところ国内最強の魔力持ちとされている。


 そして残るもう一人が目の前にいる第二皇女メルランシア・セス・ヘルゼナイツである。

 銀より色素の薄い『白銀』の髪を持つこの二の姉様は私に次いで今のところ二番目に強い魔力持ちとなっている。


 色素が抜け落ちるほどの高い魔力を持つ者の子どもは高確率でその能力が遺伝するため、私やお姉様には小さな頃から婚約者がいた。十五歳の私にあの浮気淫乱男……もといクロムウェル公爵という婚約者がいたのはそういう理由からだ。


 しかしお姉様は幼少時より『三度の飯より魔術の研究』が大好きな根っからの研究者で、事ある毎に婚約破棄を繰り返してはお父様を悩ませていた。

 なんでもお姉様は前世では「ニホン」という国でとある仕事に就き、「カイハツセキニンシャ」なる立場にあったという。


 研究の中でも特に魔具の開発に力を入れ、レイゾーコやソージキ、センタクキ等、生活における家事などを楽にする画期的な魔具を次々と発明し人気を集めた。


 お姉さま曰く、「前世で使ってた電化製品をこっちで再現できないか試しただけ」だそうだがあの素晴らしい製品の数々を見ているとさぞかしニホンという国はかなり進んだ文明だったのだろうと思われる。


 しかしこの研究バカなお姉様もこの間ついに結婚した。お父様が事ある毎に持ちかける見合いにブチ切れたらしい。

 見合いの席の最中に突如窓から飛び出して失踪したかと思うと、一週間後に「お父様、相手を連れてきました。私この人と結婚します!」といって魔術師団長を引きずって帰ってきた。


 これには流石のお父様も押し黙り、結婚を認めたらしい。


 どうにも気になって後でどうやって捕まえたのか尋ねてみると「手練手管でイチコロよ。私これでも前世では肉食女子だったのよ」と二の姉様はウィンクして答えた。

 魔術師団長はかつてはその立場に見合う威厳のある方だったのだが、お姉様と結婚してからは見る間に尻に敷かれている。かつての凛々しい面立ちはどこにも感じられない。


 それ以降私は何も聞いていない。世の中、知らない方が良いこともある。


 ……また話が逸れてしまったわ。


 今回、お姉様は新しい魔具開発に着手し「記録を残せる魔具」を作っている。

 前世には「カメラ」や「レコーダー」、「デジカメ」といった機械なる魔具のようなもので録音や録画と言ったことが出来たらしい。


 お姉様はその試作品を作り、私にテストして欲しいと預けてくれていのだ。そして私は浮気現場を目撃したあの時、その二つの試作魔具をこっそり仕掛けてきた。浮気現場を証拠として押さえるために。


 そして私はその証拠を餌に、仕掛けた試作機が浮気現場の『証拠品』として使えないかお姉様に相談しにきたのである。


面白いと思ったら評価頂けると幸いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ