始まりの1台
はじめまして。初投稿です。文章なんて小学校の作文以来で大変読みづらいものかもしれませんが少しでも楽しめたらなと思います。よろしくお願いします。
親友の悠に「バイク下見したいと思ってるから一緒に付いて来て」と言われ車に乗って移動していた。
悠とは高校からの付き合いで16年になる。通っていた高校は原付バイクでの通学は許可されていたのでお互いバイクで通っていた。
悠は当時から様々なバイクに乗り換えていたので今回も「このあいだゴ○ラ組み終わったのにもう次のバイクかぁ」程度の軽い気持ちで俺は同行していた。そして先に自分達が待ち合わせ場所の倉庫に着いた。
「いい加減どんなバイクか教えてくれてもいいんじゃない?」
「もうちょっとで相手も到着するからそれまで我慢して」
この期に及んでまだ教えてくれない。ここまで焦らされると流石に気になってきた。
「せめてヒント。排気量くらい教えてくれてもいいじゃん」
「排気量かぁ。たぶん380cc」
「多分ってなんだよ。てか中型買うのかよ」
「細かい数字までは把握してないから。気になってたバイクなんだけど今回先輩から話が回ってきたから」
(380ccのバイクってまさかね。悠が昔から好きだったバイクは確かに380ccだけどこのタイミングで見つかる?)
その時、遠くの方から4発であろうエンジン音が聞こえてきた。
「あっ、来たっぽい」
「んー?思ってたのと違う音だ。てか車な気がする。マジで何が来るん?」
そうしている間にも近づいてくる音。そして倉庫の角から出てきたのは先輩の510ブル○バードだった。
「お疲れ様です」
「お疲れ。あいつ信号に掛かったからもう少し遅れて来るから」
「了解です。それにしても相変わらずキレイにしてますね」
「ホントそれ。メッキ類もピカピカだしね」
先輩の510は下手にいじらず純正スタイルを維持している。少し前にリペイントもしていたが変わらずグリーンのままだ。
――――カアァァァァーーーン、カッ、カアァァーーーン、カアァーーッパラパラパラッ――――
「ようやく来たっぽいぞ」
「みたいですね。早く実物を見たいです」
先輩と悠は聞こえてきたエンジン音で到着に気づき角の方を気にしていた。
「悠、この音ってまさかあれなの」
「どうでしょうねぇ。もう音で分かってるんじゃない?」
悠もさすがに俺が気づいたと思っているみたいだ。確かに気づいたしこの独特なエンジン音は間違いようがない。
そうして倉庫の角から現れたのはG○380だった。
「お待たせしました。初めまして」
「初めまして」
「自由に乗ってみてもいいので適当に見ててください」
「いやいや、さすがにいきなり跨るのは気が引けますよ」
二人がそんなやり取りをしている横で俺はサンパチを見学していた。
G○380はライダーからはサンパチと呼ばれている。どっしりとした車体にラムエアーシステムと呼ばれるエンジン冷却機構。キ○タマテールの愛称?を持つ独特なテール。エンジンは2ストローク3気筒。そのエンジンが奏でる音は独特で一度聴いたら忘れられないものがある。そして今の時代にはそぐわない2ストロークエンジンのオイルが焼ける匂い。現行車には無い魅力を持ったバイクがこのサンパチである。余談だが、某仮面のライダーも乗っていたバイクである。
「悠。これめっちゃ奇麗じゃん」
「だね。写真で見るのより実物はもっと奇麗だわ」
「キズも凹みもないから相当大事に乗ってたんだろうね」
二人で外装を眺めながらあれこれ話していた。
「試しに跨ってみたら」
そう言われて悠はサンパチに跨った。
「似合ってるわ」
「でしょ。サンパチとG○は俺みたいな体型が似合うんだよ」
どっしりとした車体にぽっちゃりで体の大きい悠は似合っていた。
「ホントにこのサンパチ譲ってくれるんですか?」
「最近Z○Xばっかりであんまり乗ってないからね」
「金額は前に聞いた金額でいいんですか?」
「直す所もあるしその金額でいいよ」
「どこら辺を直さなきゃですかね」
「点火系と、発電だね。イグニッションとダイナモだとは思ってるんだけど」
「まぁそこら辺は年式を考えるとどうしようもないですもんね」
古いものは故障が多くなるのはどんな物でも一緒だ。さらにサンパチは部品が少ない傾向にあるので修理するときも頭を悩ませることになる。
「とりあえず今日は手付金を払うようにします」
はじめから購入する気で今日は来ていたみたいで悠は手付金を渡していた。
そうして購入する流れで話がまとまると、先輩から驚きの言葉が。
「もう金渡したんだし悠もじっくり見たいだろうから持って帰ったら?なぁ、いいよな」
「自分の方は別にいいですよ。そんな気はしてたので」
まさかの持ち帰り許可発言である。俺も便乗して囃し立てる。
「やったな、悠。納車おめでとう」
「えっ、流石にいきなりで悪くないですか」
「何言ってんだよ悠。ちゃっかり軽トラで来といて」
「これは自家用車ですよ。それにラダーも無いですし」
「そうか、なら待ってろ」
そう言って先輩は職場でもある倉庫に入っていき少ししてからラダーを持って帰ってきた。
「これで問題ないだろう」
「諦めて持って帰ろう。悠も家でじっくり見たいんだろ?俺は見たいし」
なんだかんだ言って悠もまんざらではない表情をしていたので結局強引にみんなで軽トラに乗せた。
ここまで読んでくださりありがとうございます。更新頻度は低いと思いますが続けていきたいのでよろしくい願いします。