いざ、魔物狩りへ!
ルイ達が泊まった次の日。
「あー…頭痛ぇ…」
「大丈夫プラソン?」
シリアスの提案によって町のギルドなる建物へと向かっていたルイ達は、二日酔いのせいが頭を抱えているプラソンを見て苦笑していた。
「プラソン、飲み過ぎですよ…調子に乗って僕にまでお酒を勧めてましたけど、僕はまだ飲めませんからね」
「なんだよルイぃ〜…そんな堅苦しい喋り方やめろよぉ…俺ぁ…寂しいぞー!」
「ちょっとプラソン、まだ酔ってんの?」
「酔ってない酔ってないよぉ〜?朝コップに入ってた水飲んだらまた身体がポカポカしてきたけどぉ〜?」
「あ、それはお酒ですね。私は旦那様の使った食器は片づけましたが残りは食器はそのまま指一本触れていないので」
「もぅ…ごめんね2人共。コイツは私がなんとかしとくから、先にギルドに行って登録を済ませてきて」
シリアスが千鳥足になっているプラソンを支えながらそう言うと、ルイはユナのほうへと目を向けた。
「わかりました、シリアスさん。僕らは先にギルドで待ってますね。それじゃ、行こう?ユナ」
「はい!」
ユナは元気よく返事をすると、ルイの手を握ってきた。
ルイは背中に2人の視線を感じながら、その手を握り返すと再び足を動かした。
ーーー
「ここが…ギルド…」
「思ったより小さい建物ですね」
2人はプラソン達に教えてもらった道を頼りに進むと、周囲それよりも一回りほど大きな建物の前に立ち尽くしていた。
「まぁあの城はデカすぎたからね…人族の建物にしては充分大きいと思うよ」
「そう…なのでしょうか?」
「うん、そう本に書いてあったから」
2人はそんな失礼な会話をしながらその扉をノックすると、勢いよくそれを開けた。
「たのもー!」
「旦那様、それは違う気が…」
2人が中に入ると、周囲にいた冒険者達が一斉にそちらを向いた。そして、しばらくするとその目線はある一点へと向けられた。
…そう、2人は未だに恋人繋ぎのままなのである。
「あれ?なんかめっちゃ見られてるんだけど…」
「さぁ…?それよりも旦那様!はやく登録しちゃいましょう!」
2人はいい意味で鈍感なのかそんな周りに気づかず、そのまま受付カウンターへと向かっていった。
「あの、すみません。新規登録をしたいのですが…」
「あ、はい。では、こちらに名前を…」
「はい、わかりました」
ルイは名前の紙を受け取ると、ユナと一緒にそれを書き始めた。
「チッ…このリア充め…見せつけやがって…私なんて未だに彼氏いない歴=年齢なんだぞ…くそ…!」
受付嬢は2人に聞こえないくらいの声でボソボソとそう呟くと、2人が書き終えた紙を受け取った。
「では、こちら申請しておきますね」
「はい、ありがとうございました」
ルイがそう言って立ち去ろうとすると、ユナはその手を握ったまま受付嬢に耳打ちをした。
「先程の言葉、全て聞かせてもらいましたよ。そんなに恋人が欲しいならまずはその性格を治した方が良いのではなくて?」
「あ、貴女…!」
「男を漁るのは勝手ですが、私の旦那様にさえ手を出さないでいただければ悪いようにはしませんよ」
「ユナ?どうしたんだ?行くぞー?」
「いえ、なんでもありません旦那様。ではでは、私達はこれで」
ユナは含みのある笑みを浮かべながら受付嬢にそう言うと、ルイと共にその場を後にした。
はい、これで晴れて勇者になれましたー!
え?軽すぎるって?
気にしたら負けだゾ☆