表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/64

これは魔王様(笑)も…

 62話です。

 互いの秘密を曝け出し、より絆を深めたルイ達一行。

 度々黒煙を上げる魔王城に潜入し、襲撃に乗じて侵入した彼等は、ボロボロになった広い廊下を進み、魔王討伐へと乗り出していた。


「──にしてもルイ、本当によかったのか?親父さんなんだろ?」

「うん。別に構わないよ。そもそもアレが魔王になったのも、父である先代魔王を倒したからだし」


 それに、と。共に歩む仲間を一瞥して、「いるだけ害だしね」と付け足すルイ。

 頼もしくも、種族による価値観の違いを目の当たりにしたプラソンは、堪らず苦笑を浮かべると、そんな彼の隣に並びに走る。


「もし、お前が愚王になったら、その時は俺が『勇者』になってやるよ」

「あぁ、是非お願いするよ、プラソン。…僕も、そうならないように気を引き締めなきゃね!」


 どちらともなく拳を突き合わせ、屈託の無い笑みを交わす。


 何処までも続くように思える、長い長い廊下。

 元の居場所でもあり、彼等を先行していたユナとエルピスは、不意に頷き合うと、続くプラソン達へと視線を向ける。


「旦那様、皆様。そろそろです」


 彼女の声に反応して、各々返事をするルイ達。

 幼少期より、良い思い出の無い扉へたどり着いたルイは、仲間達と頷き合うと《魔王剣アボミナブル》でソレを一刀両断した。



ーーー



「ようやく見つけたぞ魔王(クズ)ッ!世界の為にさっさとくたばりやがれッ!」


 騒がしさの消えぬ魔王城、その玉座の間にて。

 クズが肉塊(部下だったもの)に八つ当たりをしていた最中、不意に飛んできた凄まじい斬撃の直後、そんなプラソンの声が空気を震わせる。


「──くたばれ、だと?何をふざけ──ヴッ゙…」


 ポタポタと、クズの足元に広がる赤い水溜り。

 尊大な声を上げようとした刹那、先程の一撃により消し飛ばされていた左腕に気付いたクズは、咄嗟に燃やし止血をする。


「チッ…いや、人族の勇者か。フ、フハハハッ!流石だ勇者よ。不意打ちとはいえこの俺の片腕を飛ばすとはなッ!だが──ん?」


 声の主(プラソン)に向かいそう言って、この期に及んで虚勢を張ろうとしたクズ。

 額に汗を滲ませ、明らかに空元気であった彼は、隣に並ぶ人物がルイだとわかった瞬間、下品に口元を歪め、翻って偉そうな態度をみせる。


「よく俺の前に姿を現せたな愚息(ルイ)。もしや勇者に泣き付いてもらったのかァ?フッ、ちょうどいい。さぁその連れてきた女共を俺に渡せ。こっちはイライラしてたんだ。父親で…魔王である俺が言ってるんだぞ?だからさっさと──ってエルピスッ!?何故だ!?何故出てったはずのお前がここにいるッ!?」


 クズ──否、魔王コンプラストは、ルイと共に乗り込んだ正妻(エルピス)を視界に捉えると、混乱した様子で取り乱した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ