思った以上に自業自得、かな
59話です。
ぜんかいのあらすじ!
・新たにエルピス、エスプリの2名をパーティに加え、7人になった勇者一行!
・魔王領から来た(潜入していたことになってる)エルピスの話によると、魔王はとんでもない無能だった!
エルピスから魔王の話を聞いた数日後。フィフスの街での活動を終え、いよいよ魔王領へと足を踏み入れたルイ達一行。今までと異なり、徒歩での移動を余儀なくされた彼等は魔王領特有の瘴気の洗礼を──
「──ふふっ、流石わた─女神様が加護を与えた勇者ね。聖女だけでなく私以上の浄化結界を張れるなんて」
自分事のように自慢げに、そう言い放つエスプリ。コクコクと頷くクリアに続いて、プラソンとシリアスがいつものように納得する。
さて、この勇者一行。当然のようにルイが張った結界により、彼等が瘴気の洗礼を受けることなどもちろん無く。歴代の勇者の努力なぞ産業廃棄物にする勢いで、魔王領を進行してるのである。
もちろん、それはルイにユナ、エルピスといった土地勘を持つ面々が揃っているのもあるのだが…それはそれとして、女神であるエスプリの存在、そしてルイの浄化結界により瘴気、並びに耐性すら持たぬ一介の魔物共はその存在そのものを消滅させられているのだ。(完全にオーバーキルである)
閑話休題。
特に苦戦を強いられることも無く、過去に無い速度で、魔王城近郊へとたどり着いたルイ達。
エルピスの報告通り、半壊した魔王城を視界に捉えた彼等は、進行していたその足を止めた。
「旦那様、これは…」
「うん。…ちょっと、思った以上に自業自得、かな」
自分達が家出した時とは違う、廃墟然とした魔王城。思い入れこそないものの、原型を知っている2人は短く言葉を交わすと、どちらともなく手を握る。
しばらく流れる、なんとも言えない沈黙。想像していたおどろおどろしい魔王城との差異か、はたまた想像以上の憐れさによるものか。いずれにせよ、悪い意味で全員が口を噤む中、不意に近づく気配にエスプリが反応すると、一瞬にしてその空気が臨戦態勢へと変わる。
「腐っても魔王城、相当強い気配ね…」
「あぁ…ルイ達の結界が効かないとなると、相当厄介な相手になりそうだな」
ポツポツと、状況を分析するプラソンとシリアス。
だんだんと、勢いよく近づく強い気配。緊張感を強める人間組と対照に、ルイは《魔王剣アボミナブル》の柄から手を離すと、突然両手を大きく広げてみせた。
「勇者様!?何を──」
「ル・イ・さ・まぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
クリアがツッコミを入れるよりも早く、茂みから飛び出してきた気配の正体。ルイは、抱き留めるようにしてその勢いを殺すと、顔を埋める彼女へと、その視線を落とした。
ーーー
「──つまり、彼女は魔物であるものの、わたくし達の味方である、と?」
「うん。僕が保証するよ」
勢いよく現れた者の正体──ブラインド。かつてルイに助けられ、魔物でありながらエルピスと共に行動していた(ということになっている)彼女は、その慎ましやかな胸を張ると掛けたネックレスをキラリと反射させる。
「魔物が味方、ねぇ…」
「その反応だと、ユナちゃんとも知り合いだったって感じだけど…」
「えぇ。非常に不本意ではありますが、彼女の身柄については私からも保証せざるを得ません」
キッと、お互いに睨みながら、プラソンとシリアスにそう返すユナ。クリアもその意図を理解したのか、彼女らがバチバチと牽制し合う中、不意にエルピスが腕を広げると、複雑そうな表情を浮かべたエスプリを抱き締める。
「ふふっ…貴女も、立場なんて気にしなくていいのに」
「─ッ…しかし義母様、私は──」
「あら?ルイちゃんだってそうじゃない」
見透かしたように、そして静かに響いた言葉。女神だけでなく、プラソン達にも届いたソレは、再び空気を凍りつかせた。
Q.何故パーティは4.5人がいいって言ったのに8人にしたんですか?
A.もう彼等にレベルアップのファンファーレが鳴らないからです。(描写する暇がなかっただけとも言う)




