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これは大司教も…

 49話です。

 サブタイで展開が予測できるようにはしたつもり。

 大聖堂の隠されめいた一室内。継ぎ接ぎだらけの化け物達を相手に、ルイ達一行は、武器を構えたものの、防戦一方へと追い込まれていた。


「くっ…これは、キツイな…」

(この継ぎ接ぎ人形、思ったよりも手加減が難しい。油断したら建物ごと消し飛ばしてしまいそうだ)


 冷や汗をかきながら、呟いた声と共に鞘に入ったままのアボミナブルを振るうルイ。

 そんな彼の心中を他所に、眼の前の化け物(被害者)をもとに戻す方法があると曲解したプラソンとシリアスは、殺しそうになる攻撃を抑え、防御へと徹している。


「皆さん…なんで、そんな…」


 攻撃をいなしきれず、徐々に傷ついていくルイ達の衣服。

 自らを庇い立つ(ように見えるだけ)その背中を前にして、へたり込んでいる聖女クリアは絞り出すように声を上げた。


「すまんルイ!これ以上は手加減が難しい!」

(もと)に戻す方法、あるんでしょ!まだできないの!?」


 遂に各々の武具が悲鳴を上げ始め、強引に前線を退きながら言葉を漏らすプラソンとシリアス。

 並び立った2人の言葉に、何かを閃いた彼は、一瞬ユナと視線を交差させると、飛び掛かってきた化け物達をビリヤードのように切先で突いて吹き飛ばす。


「プラソン、シリアスさん…申し訳ないけど、僕やユナの力じゃ、彼らを元の姿に戻すことなんてできない」

「…っ」

「そんな…」


 ルイの言葉を耳に、先程までと一転して絶望的な表情を浮かべる2人。

 わかりきっていたその反応を待っていたかのように、ユナは視線を化け物から逸らすと、背後で固まる聖女クリアの方へと向き直る。


「聖女クリア」

「──っ!」


 不意に名前を呼びかけられ、ビクリと身体を跳ねさせるクリア。

 驚き振り返る2人(プラソンとシリアス)を他所に、何処か不服そうに彼女に歩み寄ったユナは、鞘に入ったままの聖剣を腰に帯刀し直すと、その右手をスッと差し出してきた。


わたくしとしては非常に癪ですが、貴女にしかできないことです」

「わたくしに…?」

「えぇ…その聖女の力なら、あの化け物達をもとに戻せるでしょう?」


 ドクン、と。ユナの言葉によって跳ねるクリアの鼓動。

 頷く勇者(ルイ)を一瞥した彼女は、今にも起き上がろうとしている化け物(被害者)達を前にして、差し出されたユナの手を取る。


「そう、ですよね…ごめんなさい、勇者様…そしてユナさん。わたくしは聖女…そう、あの英雄譚で勇者様の隣に立っていた方と同じ存在なのですから!」


 自己暗示のように呟いて、その両足で地面を踏み締める聖女クリア

 彼女のその言葉に、自然と笑みをこぼした4人は、再び武器を構え直すと、互いの顔を見合わせる。


「さて、聖女様が勇者(ルイ)の隣に立つって宣言したなら、先輩として俺達が折れる訳にはいかないよな」

「そうねプラソン…私達だって、勇者パーティの一員なんだからね!」


「プラソン…」

「シリアス様…」


 クリアに感化されたのか、真っ直ぐな瞳を輝かせて、心機一転そう宣言をするプラソンとシリアス。

 ルイとユナが思わず名前を漏らす中、そんな2人の間に並び立ったクリアは、どこからとも無く神々しい光をその身に纏うと、ルイを、そしてユナを、覚悟の決まった顔でそれぞれ一瞥する。


「勇者様、そしてユナさん。こんなことができる黒幕はもはやハゲの大司教以外に有りえません。そしてこの部屋の位置と間取り的に、あの壁の向こうに十中八九ハゲがいるはずです」


 堂々とした口調で、元々化け物(被害者)の入っていたカプセルの向こうを指差すクリア。

 その視線の先から、魔物よりも悍ましい気配を感じ取った2人は、彼女の言わんとしたことを理解すると、静かに頷き顔を見合わせる。


「わかった、僕らは先に行ってくるよ」

「任せましたよ聖女──いえ、クリア」


「──!」


 朗らかに微笑みかけて、そう言ってその場を後にするルイとユナ。

 化け物(被害者)達が完全に立ち直った中、再び意識をそちらに戻した3人は、どちらともなく互いの視線を交差させると、各々の口角を吊り上げてみせる。


「シリアスさん、プラソンさん。どうかもうしばらく、手伝っていただけませんか?」

「「あぁ(えぇ)、もちろんだッ(よッ)!」」



ーーー



「見つけたぞ、生命(いのち)をもて遊ぶ人で無しなハゲめ!」


 半地下の教会中心部に位置する、肉塊の積み上げられた魔法陣の前。

 壁や床を破壊し一直線にやってきたルイとユナが到着するや否や、無駄に豪華な椅子に座っていたハゲは、瞼を閉じたまま、その杖を持って静かに立ち上がる。


「フッ…来たか、勇者などと呼ばれ自惚れた小童。我が名はハイル・ゲレヒティヒカイト。その優雅と無謀を履き違えた愚かさを讃え、特別に我が崇高の生贄に…えっ?はっ⁇何故⁉︎何故あの女の血族がここに⁉︎」




 ハゲ──否、その場でハイル・ゲレヒティヒカイトと自身に名付けた大司教はアボミナブルを構えるルイを視界に捉えると、混乱した様子で取り乱した。

 ハゲの台詞は15話の女神、31話の冥界竜と同じ構図です。


 ちなみに『ゲレヒティヒカイト』はドイツ語で『正義』を意味するみたいです。

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