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これ、詰んだくね…?

 36話、今回も短めです。

 3つ目の街、サード。

 そこはこの世界の人間にとって、「デートの定番といえばココ!」というべきデートスポットが大量に密集した、いわゆる『リア充のリア充によるリア充のための街』である。


「いやぁー…いい人だったね、あのおじさん」

「はい。まさか予定より2日も早く到着するとは(わたくし)も思いませんした」


 サードに到着するや否や、楽しげにそんな言葉を交わすルイとユナ。

 ギルドへ護衛任務完了の報告を終えた2人は、プラソン、シリアスと別行動するように、宿を探しながら街をまわっていた。


「──にしてもシリアスさん、いい加減プラソンに告白なりなんなりすればいいのにね」

「あ、やはり旦那様もそう思いますか?」

「うん。…だってあの2人、お互い好きあってるのにあれでしょ?もう見てるともどかしくってさ…」

「あはは…そうですね…」


 恋人つなぎをしながら、周囲のカップルを横目にふとそんなことを話題に上げる2人。

 彼らの周囲は、王都では見かけることのないようなそうい(きらびやかな)う宿屋(装飾をした所)が立ち並んでいる。もちろん、人間の生活に疎い2人はそれがどういう意味をしているのかは理解できていないが。


「お二人は…今頃何をしているでしょうか…?」

「さぁ…?意外とこの妙な雰囲気に飲まれてたりしてね」


 宿の目星が付いたのか、2人は呑気にそう言い合うと、待ち合わせをしているギルドの方へと踵を返した。



ーーー



「もう!どうしてこうなるのよッ!」

「俺だって知らねぇよ!こんなに魔物が大量発生してるなんて!」


 サードの街近郊の草原にて、情けない声を上げながら魔物の集団から逃げ回るプラソンとシリアス。

 街の中とは全く異なる甘くないその状況下では、別行動しているルイ達がそんな2人の恋路について話をしていたなど、考える余裕も微塵もない。


「だからって魔物の群れに普通は突っ込んでいかないのよ!」

「仕方ねぇだろ!ルイから貰ったこの装備ならいけるはずだったよ!でもこんなにいるとは思わないだろうが!」


 バテたシリアスの手を引きながら、息を切らして街へ急ぐプラソン。

 スライムやゴブリンを始めとした多種多様の魔物の群れは、そんな2人の心情などお構いなしに速度を上げる。


「マズイよプラソン!もう追いつかれる!」

「あーあーあーッ!ンなもんわかってるよ!」

「それに、このままじゃな街に魔物が──」


 そこまで言いかけて、不意に何かに躓くシリアス。

 巻き込まれるように転んだプラソンは、激しく背中を打ち付ける。


「─ってェ…おいシリアス!大丈b…」


 プラソンが慌てて振り返ると、追い掛けていた魔物の群れは既に2人を取り囲むようにして立ちふさがっていた。


「アハハ…マジかよ…」


 全方位から感じる殺気を前に、プラソンは伸び切ったシリアスを庇うように立ち上がると、冷や汗を流しながら帯刀した柄を握りしめた。

 絶体絶命のプラソンとシリアス!ここからどう状況を切り抜けるのか!


 次回!プラソン、死す!デュエルスタンバイ!(大嘘)

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