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33/64

やっぱり似た者夫婦だろ!

 遅くなりました、33話です。

「なんか僕、すごくガッカリだよ…」

「それはわたくしも同感です…」


 禍々しい光に包まれたルイとユナは、自らの身体を舐めるようなソレを打ち消すと、このブレスを放っていた邪竜に対して失望の目を向けた。


(何故だ…⁉︎何故此奴らは吾のブレスを耐えている⁉︎《邪竜の吐息(イビル・ブレス)》はあの勇者さえただでは済まなかったというのに…)


 邪竜は目の前で無傷のまま立っている勇者達(ルイとユナ)を見ても尚、その受け入れ難い現実から目を逸らそうとした。


(そ、そうか‼︎此奴らはきっと吾の幻覚なのだ⁉︎そうでなければ無傷だなどあり得ぬからな‼︎きっと幻覚魔法によって実態に見えるよう細工されたに違いない‼︎それなら此奴らが『魔王様』を装備できる説明がつく…!)


 混乱した邪竜はそう結論づけると、こちらへ剣を構える2人のほうに改めて目を向けた。


「なんだ、僕らになにか申し開きでもあるのか?」

『申し開きだと…?誰が、小僧如きに──』


(そうか…!よく凝らせばあの岩陰から人間の匂いがするぞ…!?フッ…幻覚魔法だとわかった今、術者であろう奴を殺せば良いだけなのだ…!!)


 邪竜は頭の中に浮かんだそんな邪な感情を悟られないように言葉を止めると、岩陰を見据えながらその口を開いた。


『馬鹿め小僧…《邪竜の吐(イビル・ブr)───』


「死ね」



ーーー



「終わった…?」

「一体、何がどうなって…」


 ルイ達と対峙していた邪竜が倒れるのと同時に、その後ろで待機していたプラソンとシリアスがそんな声を上げた。


「流石旦那様、見事な一太刀素敵でした!」


 ルイが振り向くと同時にユナがそう言いながら抱きついてきた。


「おっと…ありがとユナ」


 ルイは咄嗟にユナを受け止めると、抱きついてきたユナを抱き返しながら笑顔でそう返す。


「ルイ、まさかお前…あの邪竜を一撃で倒したのか…!?」


 衝撃的な出来事を前に、レベルアップのファンファーレも忘れ、感極まって岩陰から飛び出したプラソン。

 一方、当のルイはそんな彼の台詞を前に、顔面蒼白していた。


(まずい…つい反射的に5%ほど力出しちゃったし、これは流石にバレ──)


「すごいな!流石勇者だ!」

「えっ…?」


 プラソンの的外れな言葉を前に、素っ頓狂な声を上げるルイ。


 プラソンに続けて出てきたシリアスは、何か考え込むようにブツブツと呟くと、何か気づいたようにその口を開けた。


「ねぇルイ」

「あ、はい…」

「さっきの一撃ってもしかして…」


(やば…やっぱり、観察力の高いシリアスさんにはバレて──)


「邪竜から私達のことを守ろうとしてやってくれたんだよね!」

「ぇ」

「いやぁ〜…どうしてあのタイミングで攻撃したのかなんか引っかかってたんだけどさ…よく考えたらあの邪竜が最期にやろうとしてた攻撃は明らかに私達の隠れてた岩を狙ってたからね。ルイは私達にアレが飛んでこないようにやってくれたんでしょ?」

「ぁ、うん…」

「やっぱり!」


 ルイの理解が追いつくよりも早く、納得したように頷くシリアス。

 そんな彼女の言葉を信じて「流石ルイだな!」と叫ぶプラソンを他所に、未だに抱き合っていた2人(ルイとユナ)は困惑した様子で静かに顔を見合わせた。

 邪竜の出番はあと一回くらいつくろうかな…

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