脱出するぞー!
暇つぶし投稿。
内容や文がおかしなところがあるかもしれませんのでその時はごめんなさい…
「ついに…‼︎ついにこの時がきたぞー‼︎」
「な、何事ですかご主人様⁉︎」
ユナと脱出相談をしてから数日。ルイは気絶したメイド長に馬乗りになりながら高らかに拳を上げた。
「ふっふっふ…僕はこの計画のために密かに魔法を練習してたのだ‼︎」
ルイはユナに向かってそう言うと、ドヤ顔をした。
「ご主人様…あの、とりあえずそこを降りたほうがいいかと…」
「えっ?なんで⁇」
「あの…その…メイド長といかがわしいことをしてるみたいに見えて…」
「あっ…」
ルイは状況に気付くと、サッとメイド長の上をどいた。
「いやぁ…つい興奮してテンション上がっててさ…ようやく脱出の準備が整った…いや、あとちょっとって段階まできたんだ」
「それはご主人様がメイド長に馬乗りする理由ですか…?」
ユナはムスッとした様子でそう言うと、ルイは慌てて首を振った。
「あ、いや…関係ない訳じゃないんだけど…えっと…ユナ。ちょっと左手出して」
「左手、ですか?それが私の質問と何か関係があるのですか?」
「まぁいいから手を出して。そしたらわかるよ」
ユナは納得いかないといった様子でルイに左手を差し出すと、ルイはその手を両手でそっと握り締めた。
「ひぁ…⁉︎ご、ご主人様⁉︎」
「ユナ、ちょっと力抜いて…はぁっ…‼︎」
ルイが声を上げると、ユナの左手を包み込むように白い魔方陣が出現した。
「よし、これで大丈夫だろ」
「えっと…何が大丈夫なんですか⁇」
「あのね、ユナ。ちょっと左手を開いてごらん?多分メイドの紋章が消えてるはずだから」
「えっ…あ、ほんとだ…でもどうして?」
ユナはキョトンと首を傾げると、ルイは気絶したメイド長を見ながら口を開いた。
「その紋章はね、メイドが脱走したり主人を裏切ったりしないように監視する呪いのようなものだよ。で、それを解除しない限りユナは自由に動けないからね。まぁ僕につきっきりだったおかげで今までは気にしなくてもよかったんだけど」
「そんな呪いが…でもどうやって解除したんですか⁇」
「いや、簡単だよ。その術を使えるのはここじゃあの馬鹿親父と愛人のメイド長くらいだからね。このために脳を覗ける魔法をどんなに頑張って取得したことやら…」
ルイは自分の努力を振り返るようにうんうんと頷くと、ユナに向き直った。
「ユナのことは信頼してるからね。こんなもの無くたって僕と一緒にいてくれるだろ?」
「…‼︎はい‼︎もちろんです!ご主人様っ‼︎」
ーーー
「ユナ、道具は持った?」
「はい‼︎出口も確保しましたし大丈夫です‼︎」
ルイは魔王に戦いを挑んで敗れた勇者達の装備を魔法の袋に詰め込むと、ユナと共に勇者達が入ってくる裏口へと進んでいた。
「まさかこんな道があるなんて…長年住んでたけど多分親父も知らないな…」
「まさか勇者がこんな道を知ってたなんて私も驚きです」
「装備の中に地図らしいものがあってよかったね。どうりであの馬鹿親父が『また勇者か‼︎一体どこから入ってくるんだ‼︎』って怒鳴るわけだよ…まぁみんな殺されちゃったんだけど」
ルイ達はそんなことを話していると、ピタリと壁の前で立ち止まった。
「ここか…たしかに魔物である僕には見えないし壁のままだけど…えっと確か…あ、そうこれこれ!なんか勇者達がみんな装備してるから不思議に思ったんだ。メモの通りならこれを付ければ通れるはず…」
ルイが指輪を右手の薬指にはめると、先程まであった壁が無かったかのように触っていた左腕がめり込んだ。
「おぉ…‼︎こーゆーことか!えっと、たしか間接的にでも触れてれば大丈夫みたいだし…ユナ、こっちおいで」
「はい‼︎」
ルイはユナの左手を掴むと、そのまま壁の中に引き摺り込んだ。
ってわけで脱出成功‼︎
次からは多分、転職編だと思います。はい。