あれ?パーティーってどうなった⁇
そこまで進みません。
「よーし、これでもうわからないだろ」
気絶したプラソンとシリアスを運び、2人の家へと着いたルイとユナは、2人を(あえて)同じベッドに寝かすと、プラソンによって与えられた部屋で聖剣と《魔王剣アボミナブル》の手入れを行なっていた。
「そうですね…多少色が禍々しい気がしますが、これなら本にあった『勇者』が持っていてもおかしくありませんしね」
「んじゃ、これはもうしまってと…あ、やっぱ剣だし鞘があった方がいいかなぁ…」
ルイの手が加わり、より洗練された美しいフォルムになった《魔王剣アボミナブル》。
ルイは城から持ってきたボロボロの装備の中から適当にいくつか抜粋すると、まるで粘土のようにそれらを統合して《魔王剣アボミナブル》の鞘へと変化させた。
「よし、こんなもんだろ」
「旦那様、この『聖剣』とやらはどうしますか?」
「うーん…多分僕は使わないし、ユナが持ってていいんじゃない?あ、ちょっと待って…それにも鞘を作るから」
それぞれの剣を鞘に収めたルイとユナはしばらくの間、何を話すわけでもなく部屋のベッドの上で寄り添い合っていると、不意に窓から朝を知らせる陽の光が飛び込んできた。
「朝、ですね。旦那様」
「うん」
「私、今、幸せです」
「…僕もだよ。ユナ」
暖かい日を浴び、2人はどちらともなくお互いの身体を抱き寄せると、そのまま意識を手放した。
ーーー
「えっと…なんで俺は叩かれたんだ?」
時は昼前。プラソンが目を覚ますと、それと同時にシリアスの平手打ちがプラソンの頬を直撃した。
「ふん!プラソンのばーか!」
「いや、だから俺が何をやったって言うんだよ…」
「自分で考えてよバカ!」
とりつく島もなく一通り罵倒したシリアスは、満足したのか何故か何処か嬉しそうな表情でスキップするように部屋を出ていった。
「シリアスのやつ…一体俺が何をしたって…ん⁇」
1人になったプラソンは、ふと目に入ってきた部屋にある小さな箱を前に、驚いたような表情で部屋の中を改めて見回した。
「ここ、シリアスの部屋か…アイツ、こんなもんとっておきやがって…」
プラソンは一瞬、その箱に向かって手を伸ばすも、すんでのところでそれを戻すと気恥ずかしそうにその部屋を出た。
ーーー
「あ、プラソン」
「お前、何してんの?」
「いや、2人を呼ぼうと思って部屋にきたんだけどさ…ほら、あれ見てよ」
「ん?…あっ…」
そう言ってルイとユナの部屋を覗き込む2人。
空いた扉の隙間から見えるのは、見たことのない鞘に納刀された2本の剣と、仲良く抱き合って眠るルイとユナの姿だった。
「…パーティーはまた今度だな」
「うん。今はそっとしときましょう」
2人はお互いの目を見合わせると、そっとその部屋の扉を閉めた。
2人とも仲良いなぁ…
プラソンが見つけた箱って一体なんなんだろうね。




