初めて人間と手合わせをすることに…
ギルドマスター・キャンプと戦うことになったルイ。一体どうなるやら…
「悪いが全力で行かせてもらう…ッ!!」
始まりの合図がかかった瞬間、キャンプは今までとは違う目付きに変わると地面を蹴ってその木剣を振り抜いた。
ルイは反射的に足を後ろに下げると、その攻撃をきれいかかわした。
「ふむ…今のをかわすか…面白いッ!!」
キャンプは一度体制を整えると、どこか楽しそうに再び木剣を構えた。
(危なかった…危うく反撃して殺すところだった…やばい結構この試合キツいぞ…)
ルイは先程の攻撃を受け、1人そんなことを考えてガタガタを震えていた。
側から見ればまるで武者震いをしているようにも見えるその姿に、キャンプはその内心に気付くはずもなく、再び攻撃を開始した。
一撃…ニ撃…三撃…
ルイは流れるような動きでそれをかわすと次の攻撃がくるタイミングで木剣を振り抜いた。
「なッ…⁉︎」
「あっ…」
ルイの振った木剣はキャンプの木剣に当たると、それを2つに切り裂いた。
キャンプはその光景を前にただただ唖然としていると、自身の敗北を悟っていた。
(やばい…手加減したとはいえやりすぎた…このままじゃ僕が人間じゃないことがバレてしまう‼︎)
当然そんなことを知らないルイは咄嗟にそう考えると、木剣を持った腕を下ろして頭を下げた。
「ご、ごめんなさいッ!!」
「私の負けだ」
「…」
「…」
『えっ』
2人の言葉は綺麗か重なると、2人はしばらく沈黙したのち、どちらともなく笑い出した。
そんな光景を目に観客席からはたくさんの拍手や声援が溢れかえった。
ーーー
「ふむ。あの強さ、あの気遣い…たしかに彼は勇者かもしれん。すまんが誰か彼を呼んできておくれ」
王様は特別席から試合を眺めていると、隣に立っている側近にそう言った。
「御意」
側近(?)はそう返事をすると、即座にその姿を消してみせた。
「…まさか私の目の前で勇者様の誕生を目にすることができるとは…‼︎勇者ルイよ、彼ならあの忌まわしき魔王を倒してくれるかもしれない」
というわけで今回はここまで。
次回は多分、ようやく勇者が誕生する…⁉︎