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漫才 あおり運転手の恋愛論

作者: 獅兜舞桂


2人「はい、どうもー。〇〇です。よろしくお願いしまーす」



ボケ右側、ツッコミ左側に立つ。

以下、ボケ=ボ ツッコミ=ツ。



ボ「最近、あおり運転が流行ってますねー」


ツ「流行ってると言うか、多いので問題になってますよね。事故の原因になって危険なのに、どういった気持ちでやってるんでしょうね」


ボ「楽しいんですかね? 」


ツ「楽しい? いや…楽しい、かなあ……? 」


ボ「ストレス解消? 」


ツ「他のところでやってくれって感じですね」


ボ「カッコつけたいとか? 」


ツ「カッコつけたい? いやいや、あおり運転はカッコよくはないでしょう」


ボ「でも、ほら、買物や食事に出掛けて、店員さんに対して無駄に偉そうなオッサンとかいるでしょ? アレに通じるものを感じるんですよね。

 アレって、やる理由は大きく分けて2つだと思うんですよ。家庭や職場で威張れないストレスを店員さん相手なら怒られないと思って発散してるのと、奥さんや彼女と出掛けてる時には店員さん相手に強い言葉や態度を使って『オレは偉いんだぞ。強いんだぞ。どうだカッコイイだろ? 』なんてアピールしてるのと」


ツ「確かに。僕はしないけど、同じ男として、そういうのをカッコいいと勘違いしてしまう心理は、何となく分かる気はしますね」


ボ「ニュースとか見てると、あおり運転手が隣に女性を乗せてたケースが結構あったし」


ツッコミ「あおり運転手! 今、サラッと新しい言葉を作りましたね? ……まあ、それはさて置き、そうですね、女性が同乗してるケースも多いですね。

 その女性にカッコイイところを見せようと?

 どうなんでしょうね? 女性の側としては。あおり運転してるところなんかを見て、カッコイイって思いますかね? 店員さんに偉そうなオッサンの話に戻りますが、僕んちの隣の家のマダムは、旦那さんが店員さんに対して無駄に偉そうで恥ずかしから極力一緒に出掛けないって言ってましたよ」


ボ「ちょっと、やってみますか」


ツ「何を? 」


ボ「あおり運転」


ツ「いや、ダメでしょう」


ボ「ゴッコ」


ツ「ああ、ゴッコならね。実際に車には乗らず、この場でね」


ボ「それじゃあ、私があおり運転手の役をやるので、助手席の彼女役をお願いします」


ツ「僕が女性の役をやるんですね? 」




ボ「(ハンドルを握っている動作)何なんだ、前の車! トロトロ走りやがって! 」


ツ「制限速度どおり50キロですけどねぇ? 」


ボ「車間つめてビビらせてやろうか? 」


ツ「やめなさいよぉ」


ボ「お? スピード上げたな。ビビってるビビってる」


ツ「やめなさいってぇ」


ボ「ん? ブレーキ踏んだぞ? 追われてんのにスピード落とすとか、ナメてんのか? 」


ツ「信号が赤になったからでしょぉ? まだ距離はあるけど、この辺でスピード緩めとかないと、止まれないですからねぇ? 」


ボ「止まりやがった! 」


ツ「赤信号でね? 」


ボ「……走りだしやがった」


ツ「青に変わりましたからね? 」


ボ「何がしてえのか、よく分かんねえな! 」


ツ「交通ルールに則った運転をしたいんでしょぉねぇ? 」


ボ「あおってんのか? このクソガキ! 」


ツ「あおってるのは、あんたでしょぉ? 」


ボ「あー! ムカつくなあっ! (クラクションを鳴らす動作をしながら)パーパパパパパッ! パーパパパッ! 」


ツ「もぉー、やめなさいってぇ」


ボ「2車線になったな。並んで顔を見てやろうか。(顔だけ右を見ながら)生意気に女連れか」


ツ「脇見運転! 前を見なさいよぉ! 前をぉ! 」


ボ「女の前で恥をかかせてやろうか」


ツ「あんたは絶賛赤っ恥中ですけどねぇ? 」


ボ「何だ? またスピード落としたぞ? 」


ツ「赤信号ですからね」


ボ「止まった」


ツ「赤信号ですから」


ボ「(窓を開ける動作をしながら)ウィーン」


ツ「ちょ、ちょっとぉ! 窓なんて開けて、まさか! 」


ボ「(顔だけ右を向き、そちらへ向かって指さしながら)この小僧! ケンカ売ってんのかコラ! 」


ツ「ちょっと! ねえ! ホントやめなさいよぉ! 」


ボ「シカトこいてんじゃねえぞ! おいコラ! 」


ツ「ちょっとぉっ? 」


ボ「(右向きでドアを開けて車から降りる動作をしながら)ガチャ! バタン! (全身右を向く)おい! てめえっ! 」


ツ「(溜息をつく)(左向きでドアを開けて車を降りる動作をしながら)ガチャ。パタン。(全身左側を向く)」 


ボ「(ハッとした様子で相方を振り返る)どうしたの? トイレ? 」


ツ「このままだとぉ、あんたと同類に見られちゃうからぁー。さよなら」


ボ「えー? ちょっと待ってよー! (相方に縋りつく)」




2人、全身正面を向いて立つ。




ボ「あおり運転はカッコよくなんてないですよ! 彼女にも見捨てられてしまうので、やめましょう! 」


ツ「危険ですからね! やめましょう! 」


ボ「というわけで、あおりあおられ撲滅委員会名誉会員〇〇でした! 」


ツ「何ですか? あおりあおられ撲滅委員会って。まあ、いいですけど。

 では皆さん、今日もルールを守り思いやりを持って、楽しいドライビングライフを! 」


2人「ありがとうございましたー! 」





                (終)


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