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第一話

どのくらいの時間が経っただろうか――――――



うわ眩しっ…めっちゃんこ天気いいじゃん。うっざいなぁ…っと思いながらロロは今の状況を確認する。


「転生というよりは転移に近いものかもね…」


死ぬ前の身体より軽い。それに頭が透き通るようにさっぱりとしている。魂はそのまま、身体だけが違う。


「…珍しい事もあるね」

「そりゃまぁ、あれほど恨みを持ってましたからね」


突然の声にロロは慌てて振り向く。そこには幸薄そうな天使が居た。少し申し訳なさそうにもじもじとしている。


「あっ、驚かせてしまいすみません…私はザルエリーラと申します。実は…貴方様を転生させる事に第一に意見した天使でああああああああぁぁぁ!痛いっ!!痛た、潰れる!やめて…」


重力の制御は簡単だなと思いながら、ロロは目の前に居る天使(ザルエリーラ)を地面へと這いつくばせ、潰す。


「意外とイメージ通りにいく物ね。人を勝手に転生に巻き込みやがって…さぞかし気持ちいいだろうね!最高神の犬め」

「許して……あっ、内臓が今変な潰れ方をゴプッ」


内臓が潰れたのだろうか。ザルエリーラは血を吐き出す。

だが、それと同時にロロの身体に痛みが起こり、重力の制御が解除された。


「ゲホッ!ハァ-、ハァー…痛い…苦しい…」

「分かってくれました…?本来頑丈な私達天使の身体を潰そうとなると相当な負担がかかります。人間なら痛みは比較的軽いですが、ぺしゃんこまでいくと吐血する可能性がありますので…」


つまり…この能力、使いすぎると私に支障が出るわけか。

使い所を考えなきゃな、とロロは思う。


「それで、私がロロさん、貴方に会いに来た理由があります。」

「…?それはいったい…」

「ええ…新たなスキルの説明です」


ザルエリーラは次のような事を言っていた。

ロロには重力制御(グラビティ)の他にもう一つ授かった能力があるという。


「もう一つのスキル……その名も、呪詛(カースト)です」

呪詛(カースト)?」


ザルエリーラが言うには、ロロが転生の瞬間に最高神(デウ・エス)を呪った事から、自然と付いた特殊スキルの一つだという。


「実はそのスキル、少し特殊でして…その、自身にダメージを与えた者にしか掛けられないという呪いです。発動条件が少し厄介ですがとても強いスキルなんです…」

「……そっか。それって神に対する冒涜っぽくて怖いんだけど…この呪いの効果ってわかったりする?」

「私にはわかりません…というのも、このスキルは本来怪物(モンスター)にしか付かない代物で、呪いも使う者によって様々な効果があるんです」


私ってば怪物(モンスター)寄りの立ち位置なんだ。

少し複雑な感情を持ちながらロロは思う。


「スキルと貴方の事情は分かった。それはいいんだけど…その、私はこれからどうしたらいい?」


いきなり幸せを探すと言っても自由すぎる。それにここは全く知らない土地だ。

何か情報が欲しい。


「それと、この世界についても詳しく聞きたい」

「分かりました。では、この世界のことからお話しましょう。ここはガラティナルド。この世界は六つの広大な大陸によって成り立っています。そしておおまかに六つの種族がそれぞれの大陸の統治をされているんです。ロロさんのような人間族(ヒューマン)、獣たちが知恵を持ち進化した獣人族(ビーティス)、エルフなどの森の番人たち妖精族(フェアリア)、血気盛んな豪傑たちの鬼人族(オーガー)、機械仕掛けの機械族(メカニカラ)、そしてもう1つ、既に支配されてしまった魔王軍の大半の種族の魔族(デモンズ)が居ます」


「ロロさんが今居る場所はガラティナルドの大陸でも一番大きい大陸でラートーム大陸と呼ばれています。ラートーム大陸は人間族の統べる土地ですが多種多様な種族がそれぞれの暮らしをしています。種族のサラダボウル、という別名もありますよ」


「ってことは…結構治安いいの?」


「その逆です。多種多様な種族が暮らしている=仲がいいといったことは有り得ません。種族の差別や敵対意識も激しいので…街の暴動も少なくないですし、スラムだってあります。挙句の果てには奴隷の売買も行われているようですね。ただ、冒険者もたくさんいるので仲間意識があるうちは大丈夫だと思いますけど」


「やっぱり人間族ってクズかな…」

「以上です」


はい?


「潰すよ?」

「本当にごめんなさい!!こんなダメ天使でごめんなさい!!実はワタぢラードーブぢがぢだだいんでず……」


ザルエリーラが凄惨な顔で泣いているので許そうと思うロロだった。





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「とりあえず北に向かってください。そこが冒険者たちの街にしてラートーム大陸の首都イスフィルがあります。後はあなたの自由です。」

「うん、ありがと。ちょっと冷静じゃなかったかも。内臓早く治るといいね」

「まだ口の奥から鉄の匂いが…では、あなたの人生に幸あれ―――」


ザルエリーラが消えたのを確認して、ロロは北に向かう。


「とりあえず街に行こう…」









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