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15話 戦いが変化しました(2)

お久しぶりです。

更新がかなり遅くなり大変申し訳ありません。


今後の更新も以前と比べると遅くなるかもしれませんが、中途半端な所で放り出すつもりはないので、もしよろしければもう少しお付き合いいただけると幸いです。





「この砦にも魔方陣などを構成してあります。簡易的ではありますが、効果は城にある物と同じ物ですね」


 俺の護衛についてくれた内の一人、魔法部隊のシオネさんが説明してくれた。


 初めて見た時はおっとりした雰囲気だと思ったけど、今は眉毛をキリリとさせて緊張感がある。

 ……それでも、優しそうな感じは滲み出てるけど。


「その内、敵意のある者が近づくと警告する、という魔法が作動しました」


「それってつまり……敵が来たって事ですよね」


 城に侵入者とやらが来た事をアムルが察知していたのは見た事がある。

 それと同じ奴か、と納得するのと同時にひとつ気になることがあった。


「まさかアムル達が負けたとか、そういうアレですか?」


 人柱部屋とは違ってここには映像とか送られて来てないから、戦場がどうなっているかが分からない。

 ここまで敵が来たって事は状況が悪いのか。


 もしこっちの方が負けてるなら、アムルや他の兵達が死にかけてたりするのか心配になってくる。


「いいえ。戦場を上から観察している者がいるのですが、そちらからの報告ではこちらが優勢だと」


 そういや、その専門の人がいるってアムルも言ってたな。


 いつも鷹もどき魔法で俺が上から見てるけど、さすがに戦いに集中するためにアムルも今回は鷹もどきを飛ばしていない。

 代わりに、魔法部隊の人が似たような魔法で戦場を見渡して、何か問題があればそれを報せるっていう事をしているらしい。


 とりあえず、負けそうじゃないなら良かった。


 ほっと胸をなで下ろそうとした所で「それならいま一番危険なのは俺じゃないか?」とすぐに考え直す。


「ただ、戦場を避けた刺客の一人がこの砦へと接近しています」


 やっぱりそうなるか。

 いまいち実感が湧かないが、俺を殺すための敵が近づいて来てると言われると、ジワジワ怖くなってくる。


 さっき様子を見に行ったコルモさんとミリアさんも大丈夫か気になってきた。


 アリアさんの旦那さんのオルンさんと髭面のソルイさんも入口を睨みつけてて怖い雰囲気だ。


「もちろん、私たちも簡単に負けるつもりはありませんし、大隊長にも救援を要請しますからご安心ください」


 シオネさんはそう言ってにっこり笑った。


 やっぱり怖い顔をしてるより、こういう表情の方がシオネさんには似合ってるな。

 気を抜いたらいけない状況なのかもしれないけど、その笑顔を見てると癒やされる。


「俺もアムルに連絡するための石持ってますけど、シオネさんが連絡してくれるなら大丈夫ですかね」


「ええ、いま呼びかけていますが……」


 ん? 何だろう。ちょっと歯切れが悪いような。


 シオネさんの笑顔が無くなって、今度は怖い顔じゃなくて困ったような顔になっていく。


「どうしたのかしら……まさか、隊長に限って何かあるはずは……」


 俺に話しかけるためというより、独り言っぽくシオネさんがぽつりと呟く。

 よく分からないが、なんか不穏そうだ。


「……俺もアムルに連絡してみた方がいいですかね」


「申し訳ありません、そうしていただけますか?」


 念のため確認してみると、シオネさんはさらに眉を下げた。


 やっぱり、アムルに連絡が取れなかったんだろうか。

 心配になって、俺も通信用の石を握って呼びかけてみる。


『おーい、大丈夫かー? いまそっちはどんな感じだー?』


 いつもなら、こんな風に石を握って頭の中で話しかければすぐに返答がくる。


 でも、今回は来ない。


「もしかして、そちらにも返答はありませんか?」


「ま、待ってください。俺が石を間違えただけかもしれませんし」


 俺は持ってた石を全て机に出した。

 通信用、翻訳用、毒味用の三つだ。

 

 どれも見慣れた奴だから間違えるはずもないけど、念のため再確認する。


「あ、申し訳ないですが、ちょっと喋って貰えますか?」


「何をお話すればよろしいですか?」


 持ってた石の内一つを握ったまま聞けば、返事は日本語で聞こえた。

 つまり、翻訳石は間違えてない。


「てことは、こっちの残りの二つのどっちかが通信用のはずだから……」


 翻訳石は机に放って、残りを片手にそれぞれ一つずつ持って話しかける。


 でもやっぱり返事はない。


 単に戦闘が忙しくて返事をする余裕がないだけならいいが、まさかアムルに何かあったのか。


 どんどん不安になってきて、冷や汗が滲み出てくる。


 この時の俺には『魔法が使えなくなる魔法』という発想が出てこなかった。


「大丈夫です、我々がマモル様は守り抜いてみせます!」


 俺が不安そうだと気がついたのか、シオネさんが言った。

 翻訳石は机に置いたままだからこの国の本来の言葉だったけど、励ましてくれたのは分かる。


 心配してたのは俺の事というよりアムルの事だったんだが、シオネさんの言葉でいま一番危ないのは俺じゃないかと思い出した。


 しかも、助けが呼べない。


 本来、人柱である俺はこの国を守るのが役割のはずなのに、逆にお荷物みたいな感じになって申し訳なくなってくる。


「あの、俺にも……」


 何か出来ることないですか、と言おうとしたが、それは邪魔された。


 ドォン!! と何かがぶつかるような音がして、怒号みたいなのがそれに混ざる。


 戦闘が始まったのか、とこの部屋にも緊張が走り、護衛の三人も顔がさらに険しくなる。


 その後に、男の笑い声が続いた。

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