始めの語り
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内容は筋道立ててやってるので、サボらなければ1〜2ヶ月に一回くらいの割合で出せるかもしれません。
返事は無かった。気付いたら彼女には彼氏が出来ていた。でも諦める事は出来なかった。
これを諦めたら、私は誰とも付き合わない。
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七月上旬。彼女の誕生日から五日過ぎて、やっと、彼女に想いを告げることができた。ただ黙って彼女の側にいるのが辛いと感じた。でも告げただけだ。こうしたら楽になると、思っただけだから。
返事はした方がいいのか、問われた。いいえ、要らない、返事が欲しいのではなく、ただ伝えたかっただけなのだ、と伝えた。彼女は律儀に、私の発言を守っている。
そうして2ヶ月が経ったある日。彼女と大きな喧嘩をした。私が彼女の名前を呼び間違えたのだ。私は物覚えが悪く、誰かの名前など普段から呼ぶこともないから…いや、甘えかもしれない。彼女の名前は特別だった。彼女は「科戸」という。しなと、だ。科戸の風からきている。彼女は自分自身の名前を嫌っていた。難しいし、女の子らしくないから、と。そんな所を見て私は、「科戸の名前は、科戸の風からきている。科戸の風は罪を祓い、穢れを祓う風って言われてる。科戸の両親は、見た目よりも心を大事にして欲しいと、きっと願ってるはずだ」と励ました。彼女は浮かない顔のままだった。そうした事があったにもかかわらず、彼女の名を呼び間違えた。元々、科戸と呼ぶ事はあまりなく(私が照れくさいからだが)、彼女は名前で呼ばれることを喜びながらも照れていた。その姿を見ることが出来たのは、私の良い思い出の一つでもある。…少し遠回りしてしまったが、彼女の名前を不意に呼んで、恥ずかしそうにしているところが見たくなり、彼女と近くの珈琲店で会う事にした。彼女は快く了承し、すぐに会おうと言ってくれた。
そうだ、これも言っておこう。私は内気な方で、人を何かに誘うのは苦手な方なのだ。彼女を誘うようになったのは、彼女と初めて2人きりになる約束をした、出会って1ヶ月ほどのことだ。
彼女から声をかけてきた。
彼女も自分から誘う方ではない。
そして当時の私は、彼女の事が嫌いだった。彼女の優しさが、彼女自身に無理をさせていたからだ。自己犠牲で謙虚で一歩下がった態度なのが気に障ったのだ。そしてそれを出会った当日ハッキリ伝えた。彼女は困惑していたが、私は構わなかった。
それから声を掛けられたのだ。私は彼女の考えが見えなかった。
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