意志魔法
「魔法を教えるって言ってもそんなすぐに魔法を教えるわけじゃないからな。あんたに教えられる魔法は意志魔法だけだ。強い意志は強い魔法になる。まずは気持ちの持ち方や魔法の基礎を教えていく。文句はないよな?」
とブルードは言った。
「もちろんだ。俺は魔法の事は何も知らないから全部任せるよ」
とアンディは言った。
「教えるのにはある程度時間がかかるからな。後、教えてる間、そうだね、少なくとも私がいいと言うまではこの建物から出るな。いい? 分かった?」
とブルードが言った。
「何故だ? それに言い方に圧がないから強制してるとは思えないんだが」
とアンディが返した。
「別にあんたの言う通り強制はしてないさ。ただね、あんたは未知の存在に追われてるし、この国を信頼してないから言ってるんだ。この建物には高等な魔法で常に異変が分かる様にしてあるから言ったんだ。信頼出来ないのなら外に出て情報を集めるといいよ。ヴァンパイアは本来この国に住めないし、自分の国から出ないってね」
とブルードがゆっくりとした口調で言った。
「どういう意味だ? それが本当なら何故この国にいるんだ?」
とアンディが聞いた。
「それはいつか答えるさ。条件を飲まないなら今すぐ出て行きな。あんたが出て行くまでは授業を続けるから」
と笑みを浮かべたブルードが言った。
そして一息つき、話を続けた。
「とりあえず、あんたに教えるのは魔法の基礎。そして最も簡単な部類の道具を使うやつだ。いろいろ使い方はあるけど、1番応用の利くのが心の中で力の円を思い浮かべる事だ。円は1つの点から等距離の点を繋いで描くもの、つまりムラがないと思ってくれ。私が円を勧めるもう1つの理由は、高等魔法を使う時に大抵は三角形を思い浮かべるんだが、その時に力が暴走する事があるんだ。円はほぼ確実に暴走しない。だから円にしろ」
それを聞きアンディが
「三角形と円の違いは何だ?」
と聞いた。
「お、質問してくるのか、いいねやる気があって。角がある方が魔法は強くなるんだが、その中で最も安定する三角形でも辺が脆くなる。円は角がないから力が集中しないから偏りがない。その分力は分散されるけどな。だけど、そんなの術者次第だ。だから私がそのレベルまであんたを育てる。円で六角形ぐらいまで強くしてやる」
とブルードが言った。
「その例えちょっと分かりにくいな。それに説明途中でやめただろ」
とアンディが言った。
「……話を続けようか」
とブルードはアンディを無視して言った。




