停滞
アンディはメサリーへのシャドウの説明を終わろうとしていた。
「つまりまとめると、シャドウが何なのかはまだ分かってない。おそらく魔法か何かその類のものを使える。そして、俺がシャドウから感じたのは、恐怖と絶望感。今は冷静だから言えるけど、ただ恐怖で逃げ出しただけじゃなくて、シャドウからは何をしても勝てない禍々しいオーラが出てたんだ。思い出すのも嫌になるね」
「そんなやつ、聞いたこともないけど?」
「じゃあ無法者ということでだいたい分かるだろ?」
「無法者って言葉は知ってるよ。それに出発前にも念押しに教えられたから……。けど無法者ってのは簡単に言うと異常なやつでしょ? あなたの事故の経緯から最高長はあなたは無法者って言ってるけど、そのシャドウも無法者だとしたら、無法者の見極め方がただ異常な何かしかなくなっちゃって、もう1人見つけるのが不可能になる……よね?」
とメサリーが言った。
それを聞きブルードが
「ただの言い伝えだろ? 確かに正しい言い伝えはあるけど、神話とか見ても分かるけど私には正しいとは思えないね」
と言った。
「俺も神話は知ってるけど、博物館にあったので分かったのは神は何かおかしいってところだ。だって考えてもみろよ、神ってぐらい崇められてるのに教えたのは基本的に化学で、魔法はほとんど教えてないんだろ? 神ぐらいすごいならもっと完璧に近くてもいいだろうし、そう見せる為の書き換えが過去にあったっておかしくないだろ?」
とアンディは言った。
「それは最もだけどこれは知らないはずだ。神の言葉に従ってるんだ。文法や単語が時代で多少変わっても意味合いだけは変えないようにって言葉にな。でも面白いことに、新しい言葉が出来ても文法なんかは文明が出来てから全く変化がない。神はみんなが同じ言語なら争いも減るだろうとかいろいろ言ってたみたいだけど、それを信じ込んだやつらが神の想像以上に言葉を守ったんだよ。だから盲信者の多い昔ほど神の言葉を守ろうとして今も受け継がれてるんだよ」
とブルードが言った。
「ねぇ、話それてない? シャドウとか無法者の話をしてたよね?」
とメサリーがとぼけた顔で言った。
「そうだな。話を戻そう。それよりも問題は言い無法者の言い伝えの曖昧さだよ。親切、用心、慎重、特に用心と慎重が似たような意味にとらえることもできるからな」
とアンディが言った。
「ちょっと待て、その話は聞いてない」
とブルードが言った。
「ブルードはメサリーと違って賢いから話ながら理解してくれ。その、用心と慎重だけど、どういう風にってのも問題だよ。おそらく親切は俺なんだろうけど、だったらシャドウにはどうしたらいいんだ?」
その質問にブルードは
「用心だな」と
メサリーは
「慎重にだよ」と
同時に答えた。
「もう喧嘩はよしてくれ、俺が疲れる。まぁ、ここで話し合ってても情報が少ないし答えが出るとは限らないから、そろそろこの話も終わらせますか」
とアンディがしみじみと言った。
「それもそうだな。とまぁ、そんなこんなでやることもなくなったし、魔法の授業でもしますか」
とブルードがメサリーをはたきながら言った。
「ちょっと、痛いじゃない!」
とメサリーは怒った。
「そこにいるのが悪いよ」
とブルードは返した。
もう、やめてほしい。
と1人落胆するアンディであった。




