逃走路
……さて、厄介な事になったな。
暫く見つからない場合、区界通るのに厳しい検査があったはず……。
「全く、嫌になるな……」
そう言って主人はアンディのドアをノックした。
「ん、誰だこんな時間に?」
ドアを開け主人と確認する。
「どうしました? まだ朝の4時ですよ?」
「ちょっと、中に入ってもいいかい?」
少し厳しい顔で尋ねてくるのでアンディは
「はい、いいですよ」
と答えた。
「それで、どうしたんです?」
「いや、さっき魔法歴史館の展示物が盗まれたらしいんだけど……、今君はその犯人だと疑われている。おそらく盗まれたのは金属片だろうね。今警察が外で君の事探し回ってるよ」
突然意味の分からない事を言われアンディは混乱する。
「え? 何、言って……。え、俺が? 犯人? ……何で?」
「慌てるのは分かるけど、今は落ち着いて。さっきも言ったけど多分金属片が盗まれた。だから君が疑われていると思うんだ。でも、私は君には犯行は不可能だって分かってるからね」
それを聞き余計に混乱する。
「何で、何で主人は俺が無罪だって分かるんだ?」
「だって少し考えたらすぐにおかしいと思ったんだよね。警察は監視魔法に映ってる君を見せてきたんだけど、もちろんそれは犯行中じゃなかったけど犯行中のもあるから君を疑ってるはずなんだ。けどね、ここの窓からは鍵とかがないと外に出れないし玄関は私と監視魔法で全部見てるし、君が犯人だといろいろ無理がある」
納得はしたが一部引っかかり質問する。
「だったら何でそれを警察に説明しないんですか?」
「それだとあっちの証拠とこっちの証拠が矛盾するから裁判が始まるからね。無罪になっても、危ない人を泊めたことがあるって事でここの評価が下がると思うから嫌だったんだよね。ただ、ずっと匿うのは無理があるから、出来れば今すぐに別の区か国外に行ってほしいんだ。多分昼までには区界に検問所の判断基準が厳しくなって出て行くのが難しいと思うんだ」
「だったら、国外に行けば国境に検問所ないからすんなり出れるんじゃ」
「ここは国境が近いからもう検問所が出来ているだろうからそれは無理だろうね」
「じゃあ、どこから出れば?」
「確実な保証はないけど、ここの窓開けるから暫く屋根を進んで区を出るといいよ」
「でも、捕まったら罪が重くなるんじゃ?」
「君は用心深そうだから大丈夫だと思うよ。それにもしもの時は私の知り合いの友人に弁護させるから大丈夫だよ」
ここは説得になってない気がするんだけど……。ま、いっか。
と思い、
「そうか、助かったよ。ありがとう」
と言って部屋を出た。




