金属片
真夜中の誰もいないとある場所。
「ここにあったのか。……今日はやめておこう。ゲームは面白くないと意味がない」
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「何でこんなに博物館が多いんだよ。今日中には全部回りきれると思うけど、2日かかるぐらい多いって……」
昼になり十数軒ある博物館の内の7割程を周ったアンディが思わず愚痴を漏らした。
「興味ないのは飛ばしながら進むとして、今日は最後にあそこ行くか」
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アンディは魔法歴史館館内の金属片の前にまた来ていた。
「やっぱり、これが気になるんだよな。……何でこれに見覚えがあって、何でこれはここにあるんだ?」
説明文を見ても何も重要そうな情報は書かれてないし、それに本当に神がいたならこれは何の為に……?
と考えていると閉館時間になってしまった。
「すみません、閉館時間ですので用事が済みましたらお帰りください」
「あ、すみません。すぐ帰ります……」
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「どうです? 全部行けましたか?」
とアンディが帰るとすぐに宿屋の主人が話しかけてきた。
「はい、一応行けました。ただ、魔法歴史館の金属片が気になってて……。主人は何か知ってます?」
「んー。金属片か……。何も知らないな。悪いね、力になれなくて」
「あ、気にしなくていいので」
アンディは部屋に戻り寝る事にした。
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真夜中の魔法歴史館。
「さぁ、決行しよう。これで少し面白くなるだろう」
途端にガラスの割れる音が鳴り、警備員が発見する。
「こ、これは」
警備員が見た先には金属片が無かったのだ。
「盗まれた!」
「とにかく従業員全員と警察を呼んでくれ。従業員の中に怪しい者がいないか、それからここ数日の来館者の中に怪しい者がいないか探してくれ」
「分かりました! 直ちに」
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警察の取り調べの最中ある1人の従業員が目撃情報を出す。
「あの、実は昨日今日と2日続けて見慣れない顔の人が金属片の前に立って難しい顔してるの見ました。しかもその人昨日は『見惚れてた』って言って触ろうとしてたんです。俺が知ってる怪しい人はそれだけです」
そして全員の取り調べを終え、目撃情報が1つのみであった為、警察は監視魔法の映像から1人の人物を捜索し始めた。
そしてそこに映っていたのはアンディであった。
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アンディの宿泊中の宿屋。
「すみません。ちょっといいですか?」
警察が訪ねてきた。
「はい? 警察がこんな朝早くに何でしょうか?」
主人が店の入り口で警察と話し合いを始めた。
「いえ、実は先ほど魔法歴史館の展示物が盗まれまして。従業員の目撃情報よりこの男が犯人ではないかと思い捜索しているのです。」
と言って、アンディの写真を見せる。
少し戸惑うが主人は
「いや、見たことないな。国を出た可能性は?」
と誤魔化した。
「実は昨日も目撃されているので、近くに宿泊してると考えまして。一応国境付近も捜索中ですが、こちらが最優先かと」
「なるほど。ま、私にはもう関係ないので、寝かせてください」
「あ、そうですね。お手数おかけしてすみませんでした」
と言い警察は去って行った。




