国境
アンディはティカリットの西部に来ていた。
「確かにフランクの言う通り西に進むほど魔法関係の物が増えてきたけど……」
そう言って近くの店の中の商品を見る。
「……高いよな。魔法道具だけ高いって何でだろう? 東よりは西の方が安いけど、それでも十分に高いんだよな」
そう言いながらひたすら西に向かって歩いていると、
「あ、国境……か?」
西端に辿り着いた。
「どうする? 今日中に次の国まで行けるか?」
暫く考えた後アンディは歩みを進める。
「とりあえず、今日は行ける所まで行って到着したら宿を探すとしようか」
するとすぐそこに看板を発見する。
「マギロルドまであと12キロ……。マギロルドって名前だったのか……。少し変な名前だな。でも国境間が12キロって結構近いのに隣接させないのは、戦争が起こるからかな?」
そんな素朴な疑問を他所にアンディは歩き出した。
ーーーーー
アンディはずっと、ずっと歩いていた。
歩き始めは快調で距離も近いと思っていたが、着かなかった。
常に背後から追われている感覚がアンディに恐怖心を定着させ、歩みを妨害する。
そんな中アンディは前方で巨大化する影をその目に捉えた。
それは巨大化を続け前方の街を飲み込みアンディの目の前で止まった。
「笑わせるな、ゲームはまだ終わってない。私からは、逃げられない!」
ーーーーー
瞬間、目を覚ます。
「夢……か」
マギロルドまでの道のりには川があり、橋はまだ工事中で船での運搬が休みだったためアンディは川の手前で休む事にしていた。
「今日は行けるみたいだな。よし、行こう」
アンディは船に乗り込んだ。
「あんたついてないね」
突然船長が話しかけてきた。
偶然その船にはアンディしか乗ってなく、自分に話しかけられているとすぐに分かり、
「何が?」
と返した。
「いや、実はさ一昨日には橋が通れたんだよ。でもさ、昨日の朝日が出るとほぼ同時にまた崩れちまったんだよ」
「確かに運が悪いみたいだが、別にマギロルドに着けば問題はないさ」
「そうかい。ならもう少し歩きな、すぐそこだからよ。さ、もう着いたぜ」
「ありがとう。……なぁ、何でこの仕事してんだ? 今しか金が入らないよな? 別の仕事してんのか?」
「もちろんだよ。工事の連中と同じさ。ま、今日はたまたま俺だったわけよ」
「そうか。仕事の邪魔したな。ありがとうな」
そう言い、マギロルドへ向かい再び歩き出した。
ーーーーー
暫く歩きようやく到着する。
「やっと着いた。それにしても何で国境に監視とか検閲とかが無いんだ?」
そう言ってアンディは国境を越えた。




