不安
とりあえず、夏休み企画で今日から5日連続投稿します。
多分。
あれから数日が経過しアンディの周囲で奇妙な事が多々あった。
突然誰もいない所から声が聞こえたり、正体不明の淡い光が現れる他、ずっと誰かに見られている様な感覚。
そんないやに影の存在を連想させる出来事が、この数日アンディの中に拭いきれない不安を漂わせた。
そんな時であった。アンディの不安を別のものに変える者がアンディの視界に現れた。
「え?」
アンディはそのローブを確認し、戸惑いを隠せないでいた。
「何であれがここに居るんだ?」
そして追いかけようと考えるが、体はそれに反し歩みを続ける。
確かに途中で消える人を追いかけるのは賭けだと理解しているが、今のアンディには微塵もない思考。
しかしアンディは何故か追いかけなかった。
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「予定は変わったが明日にはトンネルを通れるようになるらしい」
「今度こそ本当に大丈夫な情報なの? 俺もう暇で暇でめっちゃ退屈だったよ」
「……何か言って欲しいのか?」
「え? いや別に」
「だったらお前は喋り方を学んどけ、絶対役に立つ」
「何だよそれ! 絶対バカにしてるだろ!」
「当たり前だ」
今まで何の変哲もない会話からアーチは、スーロがここ数日、日によって精神的に少し不安定に陥っているのに気付いていた。
しかしアーチはスーロを信頼しているが故、何もしないでいた。
しかし珍しく
「……今日は大丈夫か……」
と呟いてしまった。
「……何か言ったか?」
スーロはアーチの発言を聞き取ったが、意味が分からず聞きなおす所からやり直そうとしたが、それが裏目にでる。
「いや……何も。それより何かしようぜ。暇で暇で退屈何だよ」
「……気に入ったのか? 言いたいだけならやめてくれ」
「そうか? 俺は気に入ったんだけどな」
と笑いながら言った。
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アンディは追いかけなかった事を後悔しているが、それと共に安堵の情で満たされていた。
アンディの不安が影以外のものへと移りその安心はかなりのものであったが、先ほどの体が言うことを聞かない現象がまたアンディの心に動揺を運び込んだ。
さっきのは、俺があのローブ達を心の何処かで恐れているから起きた逃げか、或いは何かの力が作用したのか?
とアンディは考え、頭を振り影を考えないようにし、影以外の可能性だけを探し出した。




