黒夢
今回短めですが、話の区切りがいいところだったのでご了承ください。
はい。
彼女は今そこで流れている音楽を嫌った。
それは普段聞くとただ単に陽気な音楽と感じるであろう何の変哲も無いものであり、本来なら全く気に留めないであろうはずのものが異様に彼女の気に障った。
そしてそれは異常なまでに耳に残り、脳内で反響を繰り返し、大音量で届いているように感じたからだ。
「……うるさい」
……。ここどこ?
そう彼女が思ったのも無理はない。
そこは真っ暗な何処かであった。
「何も……ない」
彼女は考えようとするが、音がそれを妨げる。
「………………」
そこで彼女は音源から離れようと考えたが、それは直ぐに諦める事となった。
何故なら音は彼女の中から響いていたからだ。
それに気付き、驚きを隠せない。
「何で?」
その時音楽は全く別の雰囲気のものへと変化した。
音楽に乗せられ不安が増していきつつある時、一瞬その空間全体が光に包まれる。
直後、様々な事が彼女の中を駆け巡った。
それは夢なのか、一瞬の中で起きた事を今認識しているのか、過去の失われた記憶なのか定かではないが確かに体験したものであると彼女は思った。
「……今のは?」
ーーーーー
「あなたって本当にバカよね。いいえ、あなたは愚かよ。どうしてそうなったのかしら?」
「……何が? ……もしかして私を知ってるの?」
「幸い完全でない様だけど、気を付けなさい。世界に飲み込まれないあなたを……」
「待って……意味が、分からない」
意識が途切れ、体に浮遊感を覚えた。
ーーーーー
……これは、何なの? それにこの時は音が……。
そう考えていると、前方で誰かが何者かに飲まれるのを確認する。
それが近づくと同時、意識が無くなった。
8月に入って、完全に夏休みシーズンなので投稿ペース少しあげるかもしれません。
はい。




