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Splitting Branch  作者: hadron river
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今回残酷な描写ありです。

念のため、1番酷いと思った所を(注意)でかこってます。

アンディが宝くじの当たりの確認をしている時から時間を遡り、空が紫の時。

西のある国にて。


「おい、逃げたぞ! 捕まえろ!」


追いつかれまいと必死に逃げるのみ

「ハッ、ハッ、ハッ」

それ故頭には何も考えがない。

ただひたすら、走るのみ。


「何をしてるんだ! 看守はどこ行った!」


「そ、それが……殺されたみたいです……」

その場に動揺が走る。


「ただの奴隷に殺されるなど不甲斐ない。あいつを捕まえたらたっぷり痛めつけてやれ! その次はお前ら看守の訓練だ! 量を今の倍にするからな!」


「はっ!」


「さっさと捕まえろ! 捕まえた者には罰を免除してやる!」


しかしいくら頑張れど発見が遅すぎた。

彼は捕まらない。既にかなりの距離を逃げていた。

その者は体こそ痩せ細っていたが、日々の労働により鍛えられた筋肉は体の大部分を占めており、運動能力も十分であった。

だからこそ逃げ出せた。


逃げる事が、出来た。


そして人を殺す事に躊躇いがなかった。


森の中で安全を確認すると座り込み呼吸を整えようとする。

そこで目にする。空から降ってくる物を。

そしてそれは落ちると同時光る。


そこで、

結構、来たな。追っ手は見当たらない。

あれを確認しても大丈夫だろ。

と思い。向かう。


ーーーーー


1つの生命が空から舞い降りた。


降下する塊には生命体がいた。

それは他の生命の中に侵入し、自我を壊した後、その生命を乗っ取る存在。

自身の生を最重視し、その為により強力なより強靭な生命を探し、寄生した生命が他の生命との戦いに敗れるとすぐ勝者に乗り移る。そしてそれは寄生した生命が寿命により死を迎える時にのみ死を迎える。

その生命には本来、知性は無いが寄生を繰り返す事で体の使い方等の生命の能力に関わる知性がつき、個体差が大きく出ない限り同種との勝負には大方負けはない。


そしてそれは地に着き魚に取り付いた。


ーーーーー


そこには衝突の跡はなかったが、先程波のない湖から波のような音が聞こえた事により確信していた。

その水を見て急いで飲みにいった。

その者は死にかけていた、食料と飲み水を少なくとも1日とっていなかった。

そこに現れた水の塊、飲まずにはいられなかった。

そして落ち着きを取り戻すと見た。

挙動のおかしな鳥を。


そこで思う。

どうせ、いつかは死ぬ。

大自然の力に殺されるなら。

だったら……。

と。


その者は常に死ぬ時は、人間の様な理不尽な存在ではなく自然に死にたい、自然に殺されたいと。

今、目の前の動物が自然かどうかは関係なかった。


ただ、理不尽な人間が嫌だったのだ。


(注意)

そして噛りついた。鳥の喉元に。

それを引き千切る。

するとどうだろうか。喉の中に魚がいた。

鳥は動かず魚も動かず、初めは喉に詰まっていたのかと思ったが違った。

魚が少し動いた。

そして口目掛けて飛んで来た。

不可避。油断などなかったが突然過ぎた。

焦りにより少し息が出来ずにいたが突然魚が口から落ちた。噛んでもいないのに血まみれの魚が。

そして生命は人間に侵入した。

(注意)


その生命体はその人間の脳から人間の能力を確かめた。

そこで初めて高度な知性を、今までとは比べ物にならない程の知性を得た。

知性の段階を大幅に飛躍し最初に感じたのは、形容し難い感謝そして激しい幸福。

しかしその根底にあったのは未だ誰も経験した事のない大き過ぎる驚き。

その驚愕が生命体に一瞬の隙をもたらした。

それが本来あり得ない事をもたらした。


一瞬の硬直、その隙で人間の我が生命体に対抗した。

そこで初めて知る事となる。

人類の強大な自我と本当の死に直面した時の脅威の生への執着を。


そしてかつてどんな生命体もなし得なかった事を成し遂げる。

寄生する側とされる側、つまり寄生生命体と人間の共存を。


「……あ、これで、声が……出るな。言語はこれでいいのか? 何でお前は消えない?」


(声出ないけど、聞こえるのか?)


「聞こえる。何故消えない?」


そして人間は、

声出さなくても聞こえるのか。

と思った。


「返事をしろ。黙り込むな」


(今のは聞こえてなかったのか)


生命体は、

どういう事だ。

と思い質問する。


「何の話だ? お前は何も言ってなかった」


(お前が中に入って余裕が出来たな。暫く死ななそうだな)


「話をそらすな。……いや、聞いても分からないか。1つ聞く。何故今まで思考をしなかった? これ程考える事に特化した生物は知らないぞ」


(……奴隷……だったからだ。俺の記憶を探れ)


「……案外面倒臭がりか」


(お前の事は、どう呼べばいいんだ?)


「名前か? 個を分けるには便利だが、一定数を越すと不便だ。不必要だろ? それに俺はお前を人間と呼び、お前はこの場合俺を主人と呼べば済む」


(当て付けか? 俺はエスラボだったと思う。お前はどうする?)


「……あってるはずだ。今後お前と付き合わないといけないからな……俺は、イティサラプ? 語感がおかしな。イティサラブにしよう」


(何だそれ?)


「パラサイトの逆読みだ。名前など考える事が無駄だからな」


二種が共存した1つの脅威的な生命体が誕生した。

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